Eigen3で3D空間の回転を理解する:Eigen::AngleAxis::axis()の基礎から応用まで
2025-04-07
Eigen::AngleAxis::axis() の説明
- 使用方法
Eigen::AngleAxis
オブジェクトを作成します。axis()
関数を呼び出し、軸ベクトルを取得します。
- 戻り値
Eigen::Vector3d
型のベクトル。このベクトルは、回転軸の方向を表し、単位ベクトル(長さが1)です。 - 機能
Eigen::AngleAxis
オブジェクトが表す回転の軸ベクトルを取得します。
例
#include <iostream>
#include <Eigen/Geometry>
int main() {
// 回転軸と回転角度を設定
Eigen::Vector3d axis(1, 0, 0); // x軸周りの回転
double angle = M_PI / 2; // 90度の回転
// AngleAxisオブジェクトを作成
Eigen::AngleAxisd angleAxis(angle, axis);
// 回転軸ベクトルを取得
Eigen::Vector3d rotationAxis = angleAxis.axis();
// 回転軸ベクトルを表示
std::cout << "回転軸: " << rotationAxis.transpose() << std::endl;
return 0;
}
Eigen3の Eigen::AngleAxis::axis()
関数は、3次元空間における回転を軸と角度で表現する Eigen::AngleAxis
オブジェクトから、回転軸の方向を表す単位ベクトルを取得するために使用されます。
具体的には、
- この関数は、回転の方向を特定する必要がある場合などに役立ちます。
- このベクトルは、回転軸の方向を示し、その長さは1に正規化されています。つまり、単位ベクトルです。
axis()
関数を呼び出すと、この回転軸の方向を表す3次元ベクトルが返されます。Eigen::AngleAxis
クラスは、3次元回転を、回転軸と回転角度という2つのパラメータで表現します。
-
Eigen::AngleAxis オブジェクトが初期化されていない場合
- エラー
Eigen::AngleAxis
オブジェクトが適切に初期化されていない状態でaxis()
関数を呼び出すと、予期しない結果(NaNや不正なベクトル)が返される可能性があります。 - トラブルシューティング
Eigen::AngleAxis
オブジェクトを初期化する際に、有効な回転角度と回転軸ベクトルを提供していることを確認してください。例えば、コンストラクタを使用して初期化する、またはset()
関数を使用します。 - 例
この問題を避けるためには、#include <iostream> #include <Eigen/Geometry> int main() { Eigen::AngleAxisd angleAxis; // 初期化されていない Eigen::Vector3d axis = angleAxis.axis(); // 不正な結果の可能性 std::cout << axis.transpose() << std::endl; // 予期しない出力 return 0; }
Eigen::AngleAxisd angleAxis(angle, axis_vector);
のように初期化するか、angleAxis.set(angle, axis_vector);
を使用します。
- エラー
-
回転軸ベクトルが正規化されていない場合
- エラー
Eigen::AngleAxis
オブジェクトを初期化する際に、回転軸ベクトルが単位ベクトル(長さが1)でない場合、axis()
関数が返すベクトルも正規化されているとは限りません。 - トラブルシューティング
回転軸ベクトルをEigen::Vector3d::normalized()
関数を使用して正規化してからEigen::AngleAxis
オブジェクトを初期化します。 - 例
この問題を避けるためには、以下のようにします。#include <iostream> #include <Eigen/Geometry> int main() { Eigen::Vector3d axis(1, 2, 3); // 正規化されていない double angle = M_PI / 4; Eigen::AngleAxisd angleAxis(angle, axis); Eigen::Vector3d returnedAxis = angleAxis.axis(); std::cout << "返された軸ベクトル: " << returnedAxis.transpose() << std::endl; std::cout << "返された軸ベクトルの長さ: " << returnedAxis.norm() << std::endl; return 0; }
Eigen::Vector3d axis(1, 2, 3); axis.normalize(); Eigen::AngleAxisd angleAxis(angle, axis);
- エラー
-
数値的な誤差
- エラー
浮動小数点演算の性質上、数値的な誤差が発生する可能性があります。特に、非常に小さい角度や複雑な回転を扱う場合に顕著になることがあります。 - トラブルシューティング
必要に応じて、許容誤差を設定して比較を行うか、より高精度のデータ型(double
など)を使用します。また、Eigen::Quaternion
と相互変換して回転を扱うことで、数値的な安定性を向上させられる場合があります。
- エラー
-
コンパイルエラー
- エラー
Eigen3ライブラリが正しくインストールされていないか、インクルードパスが正しく設定されていない場合、コンパイルエラーが発生する可能性があります。 - トラブルシューティング
Eigen3ライブラリがシステムに正しくインストールされていることを確認し、コンパイラに正しいインクルードパスとリンクパスを設定します。
- エラー
-
期待される結果と違う結果
- エラー
期待する回転軸と違う結果が返ってくる場合、回転角度と回転軸の方向の設定を間違えている可能性があります。 - トラブルシューティング
回転角度と回転軸の方向を再度確認し、必要であればデバッグを行い、回転の方向を可視化することで確認します。
- エラー
#include <iostream>
#include <Eigen/Geometry>
int main() {
// x軸周りに90度回転するAngleAxisを作成
Eigen::Vector3d axis(1, 0, 0);
double angle = M_PI / 2;
Eigen::AngleAxisd angleAxis(angle, axis);
// 回転軸ベクトルを取得
Eigen::Vector3d rotationAxis = angleAxis.axis();
// 結果を表示
std::cout << "回転軸: " << rotationAxis.transpose() << std::endl;
std::cout << "回転軸の長さ: " << rotationAxis.norm() << std::endl;
return 0;
}
説明
- 出力される回転軸ベクトルは
(1, 0, 0)
であり、長さは1(単位ベクトル)です。 angleAxis.axis()
を呼び出して、回転軸ベクトルを取得し、そのベクトルと長さを表示します。- このコードは、x軸周りに90度回転する
Eigen::AngleAxisd
オブジェクトを作成します。
#include <iostream>
#include <Eigen/Geometry>
int main() {
// 正規化されていない回転軸ベクトル
Eigen::Vector3d axis(1, 2, 3);
double angle = M_PI / 4;
// 回転軸ベクトルを正規化
axis.normalize();
// 正規化された回転軸ベクトルでAngleAxisを作成
Eigen::AngleAxisd angleAxis(angle, axis);
// 回転軸ベクトルを取得
Eigen::Vector3d rotationAxis = angleAxis.axis();
// 結果を表示
std::cout << "正規化された回転軸: " << rotationAxis.transpose() << std::endl;
std::cout << "回転軸の長さ: " << rotationAxis.norm() << std::endl;
return 0;
}
説明
- 出力される回転軸ベクトルは正規化され、長さは1になります。
- 正規化された回転軸ベクトルで
Eigen::AngleAxisd
オブジェクトを作成し、axis()
関数で取得した回転軸ベクトルを表示します。 axis.normalize()
を使用して、回転軸ベクトルを正規化します。- このコードは、正規化されていない回転軸ベクトル
(1, 2, 3)
を使用してEigen::AngleAxisd
オブジェクトを作成します。
#include <iostream>
#include <Eigen/Geometry>
int main() {
// 回転軸と回転角度を設定
Eigen::Vector3d axis(0, 1, 0); // y軸周りの回転
double angle = M_PI / 3; // 60度の回転
// AngleAxisオブジェクトを作成
Eigen::AngleAxisd angleAxis(angle, axis);
// 回転軸ベクトルを取得
Eigen::Vector3d rotationAxis = angleAxis.axis();
// 回転を適用するベクトル
Eigen::Vector3d vectorToRotate(1, 0, 0);
// 回転を適用
Eigen::Vector3d rotatedVector = angleAxis * vectorToRotate;
// 結果を表示
std::cout << "回転軸: " << rotationAxis.transpose() << std::endl;
std::cout << "回転前のベクトル: " << vectorToRotate.transpose() << std::endl;
std::cout << "回転後のベクトル: " << rotatedVector.transpose() << std::endl;
return 0;
}
- 回転後のベクトルを表示します。
- ベクトル
(1, 0, 0)
を回転させるために、angleAxis * vectorToRotate
のようにEigen::AngleAxisd
オブジェクトを乗算演算子として使用します。 axis()
関数を使用して回転軸ベクトルを取得します。- このコードは、y軸周りに60度回転する
Eigen::AngleAxisd
オブジェクトを作成します。
Eigen::Quaternion (クォータニオン) を使用する
-
代替方法
Eigen::AngleAxis
からEigen::Quaternion
への変換は、Eigen::Quaterniond(angleAxis)
のようにコンストラクタを使用します。- クォータニオンから回転軸を取得するには、クォータニオンを
Eigen::AngleAxis
に変換し、axis()
を使用します。しかし、直接クォータニオンから回転軸を求める計算も可能です。
-
- クォータニオンは、回転を4つの成分で表現する方法です。
Eigen::AngleAxis
とEigen::Quaternion
は相互に変換可能です。- クォータニオンは、回転の合成や補間などの操作が効率的に行えるため、多くの3Dグラフィックスやロボティクスアプリケーションで広く使用されています。
Eigen::Matrix3d (回転行列) を使用する
-
代替方法
- 回転行列から回転軸を直接計算するには、行列の固有ベクトルを求める必要があります。Eigen3の
Eigen::EigenSolver
クラスが利用できます。
- 回転行列から回転軸を直接計算するには、行列の固有ベクトルを求める必要があります。Eigen3の
-
説明
- 回転行列は、3x3の行列で回転を表現します。
Eigen::AngleAxis
からEigen::Matrix3d
への変換は、Eigen::Matrix3d matrix = angleAxis.toRotationMatrix();
のようにtoRotationMatrix()
関数を使用します。- 回転行列から回転軸を求めるのは少し複雑になります。
Eigen::Transform を使用する。
- 代替方法
Eigen::Transform
から回転軸を直接求めるのは複雑ですが、Transform
を回転行列へ変換し、そこから回転軸を求めることができます。
- 説明
Eigen::Transform
は、回転と並進を組み合わせた変換を表現します。Eigen::AngleAxis
からEigen::Transform
への変換は、Eigen::Transform<double, 3, Eigen::Affine>::from(angleAxis)
のようにfrom()
関数を使用します。