Eigen3 AngleAxis プログラミング入門!回転処理をマスターしよう

2025-04-26

  • つまり、回転行列から軸と角度への変換を行います。
  • この演算子は、回転行列を受け取り、その行列を等価な軸と角度に変換して AngleAxis オブジェクトに代入します。
  • Eigen::AngleAxis は、回転を軸と角度で表現するためのクラスです。

詳細

    • const MatrixBase< Derived > &mat: 代入する回転行列です。MatrixBase は Eigen3 の行列の基底クラスであり、Derived は実際の行列の型を表します。通常は Eigen::Matrix3f (float型3x3行列) や Eigen::Matrix3d (double型3x3行列) などの回転行列が渡されます。
  1. 処理

    • この演算子は、与えられた回転行列 mat を解析し、回転軸と回転角度を抽出します。
    • Eigen3 は、回転行列から軸と角度を計算するための内部アルゴリズムを使用します。
    • 計算された軸と角度は、AngleAxis オブジェクトの内部変数に格納されます。
  2. 戻り値

    • AngleAxis&: 演算子を呼び出した AngleAxis オブジェクトへの参照を返します。これにより、演算子を連鎖させることができます。


#include <iostream>
#include <Eigen/Geometry>

int main() {
  Eigen::Matrix3f rotationMatrix;
  // 回転行列を何らかの方法で初期化する
  rotationMatrix = Eigen::AngleAxisf(M_PI / 4, Eigen::Vector3f::UnitZ()).toRotationMatrix();

  Eigen::AngleAxisf angleAxis;
  angleAxis = rotationMatrix; // 回転行列からAngleAxisオブジェクトを生成

  std::cout << "Angle: " << angleAxis.angle() << std::endl;
  std::cout << "Axis: " << angleAxis.axis().transpose() << std::endl;

  return 0;
}

この例では、まずZ軸周りに45度回転する回転行列 rotationMatrix を生成しています。次に、angleAxis = rotationMatrix; を実行することで、この回転行列から angleAxis オブジェクトを初期化しています。最後に、angleAxis オブジェクトから回転角度と軸を出力しています。

重要な点

  • 回転行列から軸と角度への変換は、数値的に不安定になる可能性があります。Eigen3 は、安定性を高めるためのアルゴリズムを使用していますが、場合によっては精度が低下する可能性があります。
  • この演算子は、与えられた行列が有効な回転行列であることを前提としています。有効でない行列を渡すと、予期しない結果になる可能性があります。


一般的なエラーとトラブルシューティング

    • エラー
      Assertion failed や不正な結果(軸や角度がNaN、無限大など)が発生する可能性があります。
    • 原因
      operator= に渡された行列が、有効な回転行列(直交行列で、行列式が1)でない場合に発生します。
    • トラブルシューティング
      • 行列が正しく初期化されているか確認してください。
      • 行列の直交性を確認してください(mat.transpose() * mat が単位行列に非常に近いか)。
      • 行列式が1に近いか確認してください(mat.determinant() が1に近いか)。
      • 行列の要素に非数値(NaN、無限大)が含まれていないか確認してください。
  1. 数値的な不安定性

    • エラー
      回転軸や角度の計算結果にわずかな誤差が生じる可能性があります。特に、回転角度が0度または180度に近い場合に誤差が大きくなることがあります。
    • 原因
      回転行列から軸と角度への変換は、数値的に不安定な処理です。
    • トラブルシューティング
      • 入力行列の精度を確認してください。
      • 必要に応じて、Eigen::AngleAxis のコンストラクタを直接使用して、軸と角度を直接設定することを検討してください。
      • 回転の表現をクォータニオン(Eigen::Quaternion)に切り替えることも有効です。クォータニオンは、回転の表現として数値的に安定しています。
  2. 型の不一致

    • エラー
      コンパイルエラーが発生する可能性があります。
    • 原因
      operator= に渡された行列の型が、AngleAxis の型と一致しない場合に発生します。
    • トラブルシューティング
      • AngleAxis の型(Eigen::AngleAxisfEigen::AngleAxisd など)と、行列の型(Eigen::Matrix3fEigen::Matrix3d など)が一致していることを確認してください。
  3. 行列の次元が3x3でない

    • エラー
      コンパイルエラーもしくは実行時にエラーが発生する可能性があります。
    • 原因
      operator= に渡された行列が3x3の行列でない場合に発生します。
    • トラブルシューティング
      • AngleAxis は3次元空間での回転を表現するため、3x3の回転行列のみを受け付けます。行列の次元を確認してください。
  4. 行列の要素が不正

    • エラー
      NaNやinfなどが軸や回転角に発生する。
    • 原因
      渡された行列の要素が極端に大きい、もしくは小さい値である。
    • トラブルシューティング
      • 行列の要素をデバッグし、不正な値がないか確認してください。
      • 行列の要素を正規化もしくはクランプするなどの処理を加えてください。

デバッグのヒント

  • クォータニオンとの比較
    回転行列からクォータニオンへの変換を行い、AngleAxis の結果と比較することで、エラーの原因を特定できる場合があります。
  • 回転行列の確認
    回転行列の直交性、行列式、要素の範囲などを確認する関数を作成し、デバッグに役立てます。
  • デバッガの使用
    デバッガを使用して、行列の値や AngleAxis オブジェクトの内部変数をステップ実行しながら確認します。
  • アサーションの有効化
    Eigen3 のアサーションを有効にしてコンパイルすることで、エラー発生時に詳細な情報を得ることができます。


#include <iostream>
#include <Eigen/Geometry>

int main() {
  // Z軸周りに 90 度回転する回転行列を作成
  Eigen::Matrix3f rotationMatrix;
  rotationMatrix = Eigen::AngleAxisf(M_PI / 2, Eigen::Vector3f::UnitZ()).toRotationMatrix();

  // 回転行列から AngleAxis オブジェクトを生成
  Eigen::AngleAxisf angleAxis;
  angleAxis = rotationMatrix;

  // AngleAxis オブジェクトから回転軸と回転角度を出力
  std::cout << "回転角度: " << angleAxis.angle() << " ラジアン" << std::endl;
  std::cout << "回転軸: " << angleAxis.axis().transpose() << std::endl;

  return 0;
}

説明

  1. Eigen::AngleAxisf(M_PI / 2, Eigen::Vector3f::UnitZ()).toRotationMatrix(); で、Z軸周りに90度回転する回転行列 rotationMatrix を作成します。
  2. Eigen::AngleAxisf angleAxis;AngleAxis オブジェクト angleAxis を宣言します。
  3. angleAxis = rotationMatrix; で、回転行列 rotationMatrixangleAxis に代入し、angleAxis オブジェクトを初期化します。
  4. angleAxis.angle()angleAxis.axis() で、angleAxis オブジェクトから回転角度と回転軸を取得し、出力します。
#include <iostream>
#include <Eigen/Geometry>

int main() {
  // 非常に小さな回転角度を持つ回転行列を作成(数値的に不安定になりやすい)
  Eigen::Matrix3f rotationMatrix;
  rotationMatrix = Eigen::AngleAxisf(1e-6f, Eigen::Vector3f::UnitX()).toRotationMatrix();

  // 回転行列から AngleAxis オブジェクトを生成
  Eigen::AngleAxisf angleAxis;
  angleAxis = rotationMatrix;

  // 結果を出力(誤差が大きい可能性がある)
  std::cout << "回転角度: " << angleAxis.angle() << " ラジアン" << std::endl;
  std::cout << "回転軸: " << angleAxis.axis().transpose() << std::endl;

  // クォータニオンを使用した場合の比較
  Eigen::Quaternionf quaternion(rotationMatrix);
  Eigen::AngleAxisf angleAxisFromQuaternion(quaternion);

  std::cout << "クォータニオンからの回転角度: " << angleAxisFromQuaternion.angle() << " ラジアン" << std::endl;
  std::cout << "クォータニオンからの回転軸: " << angleAxisFromQuaternion.axis().transpose() << std::endl;

  return 0;
}

説明

  1. Eigen::AngleAxisf(1e-6f, Eigen::Vector3f::UnitX()).toRotationMatrix(); で、非常に小さな回転角度(1e-6 ラジアン)の回転行列を作成します。このような小さな回転角度の場合、数値的な不安定性が顕著になりやすいです。
  2. angleAxis = rotationMatrix; で回転行列から AngleAxis オブジェクトを生成し、結果を出力します。
  3. Eigen::Quaternionf quaternion(rotationMatrix); で回転行列からクォータニオン quaternion を作成します。
  4. Eigen::AngleAxisf angleAxisFromQuaternion(quaternion); でクォータニオンから AngleAxis オブジェクトを生成し、結果を出力します。
  5. クォータニオンから生成した AngleAxis オブジェクトの結果と比較することで、数値的な不安定性の影響を確認できます。クォータニオンは、回転の表現として数値的に安定しているため、より正確な結果が得られる場合があります。
#include <iostream>
#include <Eigen/Geometry>

int main() {
  // 有効な回転行列ではない行列を作成
  Eigen::Matrix3f invalidRotationMatrix;
  invalidRotationMatrix << 1, 2, 3,
                           4, 5, 6,
                           7, 8, 9;

  // 無効な回転行列から AngleAxis オブジェクトを生成(結果は未定義)
  Eigen::AngleAxisf angleAxis;
  angleAxis = invalidRotationMatrix;

  // 結果を出力(NaNや無限大になる可能性がある)
  std::cout << "回転角度: " << angleAxis.angle() << " ラジアン" << std::endl;
  std::cout << "回転軸: " << angleAxis.axis().transpose() << std::endl;

  return 0;
}
  1. invalidRotationMatrix を有効な回転行列ではない行列として初期化します。
  2. angleAxis = invalidRotationMatrix;AngleAxis オブジェクトを生成し、結果を出力します。
  3. この例では、invalidRotationMatrix が有効な回転行列ではないため、angleAxis の結果は未定義となり、NaNや無限大などの不正な値が出力される可能性があります。


代替方法

    • 軸と角度が既に分かっている場合は、Eigen::AngleAxis のコンストラクタを直接使用してオブジェクトを生成できます。
    • 数値的な安定性が高く、直接的な制御が可能です。
    #include <iostream>
    #include <Eigen/Geometry>
    
    int main() {
      float angle = M_PI / 4; // 45度
      Eigen::Vector3f axis(0, 0, 1); // Z軸
    
      Eigen::AngleAxisf angleAxis(angle, axis);
    
      std::cout << "回転角度: " << angleAxis.angle() << " ラジアン" << std::endl;
      std::cout << "回転軸: " << angleAxis.axis().transpose() << std::endl;
    
      return 0;
    }
    
  1. Eigen::Quaternion を使用する

    • 回転をクォータニオンで表現し、必要に応じて AngleAxis に変換します。
    • クォータニオンは回転の表現として数値的に安定しており、補間などの操作も容易です。
    #include <iostream>
    #include <Eigen/Geometry>
    
    int main() {
      Eigen::Matrix3f rotationMatrix;
      rotationMatrix = Eigen::AngleAxisf(M_PI / 2, Eigen::Vector3f::UnitZ()).toRotationMatrix();
    
      // 回転行列からクォータニオンを生成
      Eigen::Quaternionf quaternion(rotationMatrix);
    
      // クォータニオンから AngleAxis を生成
      Eigen::AngleAxisf angleAxis(quaternion);
    
      std::cout << "回転角度: " << angleAxis.angle() << " ラジアン" << std::endl;
      std::cout << "回転軸: " << angleAxis.axis().transpose() << std::endl;
    
      return 0;
    }
    
  2. 回転行列を直接扱う

    • 回転行列自体が必要な場合や、AngleAxis への変換が不要な場合は、回転行列を直接扱うことができます。
    • 特定の状況では、回転行列を直接操作する方が効率的な場合があります。
    #include <iostream>
    #include <Eigen/Geometry>
    
    int main() {
      Eigen::Matrix3f rotationMatrix;
      rotationMatrix = Eigen::AngleAxisf(M_PI / 2, Eigen::Vector3f::UnitZ()).toRotationMatrix();
    
      // 回転行列を直接使用
      std::cout << "回転行列:\n" << rotationMatrix << std::endl;
    
      return 0;
    }
    
  3. 回転ベクトルを使用する

    • 回転ベクトル(回転軸と回転角度の積)を使用して回転を表すこともできます。
    • Eigen::AngleAxis との変換は容易です。
    #include <iostream>
    #include <Eigen/Geometry>
    
    int main() {
      float angle = M_PI / 4;
      Eigen::Vector3f axis(0, 1, 0);
    
      Eigen::Vector3f rotationVector = angle * axis; //回転ベクトル
      Eigen::AngleAxisf angleAxis(rotationVector.norm(), rotationVector.normalized());
    
      std::cout << "回転角度: " << angleAxis.angle() << " ラジアン" << std::endl;
      std::cout << "回転軸: " << angleAxis.axis().transpose() << std::endl;
    
      return 0;
    }
    

使い分けのポイント

  • 回転ベクトルで回転を表現したい場合
    回転ベクトルを使用します。
  • 回転行列を直接操作する必要がある場合
    回転行列を直接扱います。
  • 数値的な安定性が重要な場合
    クォータニオン (Eigen::Quaternion) を使用し、必要に応じて AngleAxis に変換します。
  • 軸と角度が既知の場合
    Eigen::AngleAxis のコンストラクタを直接使用します。