Qt Widgets でユーザーインターフェースをスケーリング：QScroller::pixelPerMeter() の活用

メソッドの詳細

戻り値
QPointF 型の値。x 成分は水平方向のピクセルあたりのメートル数、y 成分は垂直方向のピクセルあたりのメートル数を表します。
引数
なし

使用例

QScroller scroller;
QPointF pixelPerMeter = scroller.pixelPerMeter();
double horizontalPixelsPerMeter = pixelPerMeter.x();
double verticalPixelsPerMeter = pixelPerMeter.y();

この例では、QScroller オブジェクトを作成し、pixelPerMeter() メソッドを使用してピクセルあたりのメートル数を取得します。その後、QPointF オブジェクトの x() と y() メソッドを使用して、水平方向と垂直方向のピクセルあたりのメートル数にアクセスします。

QScroller::pixelPerMeter() 関数は、以下の用途に役立ちます。

ユーザーインターフェースのスケーリング
高 DPI ディスプレイや異なる解像度のデバイスでアプリケーションを実行する場合、この関数を用いてピクセルとメートルの間の変換を行うことで、一貫したユーザーインターフェースを維持できます。

QScroller クラスは、QAbstractScroller クラスを継承したクラスであり、kinetic scrolling などの機能を提供します。QScroller::pixelPerMeter() 関数は、QAbstractScroller クラスの pixelPerMeter() メソッドをオーバーライドしたものです。

例 1：ピクセルあたりのメートル数を取得する

#include <QApplication>
#include <QScroller>
#include <QPointF>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QScroller scroller;
  QPointF pixelPerMeter = scroller.pixelPerMeter();

  double horizontalPixelsPerMeter = pixelPerMeter.x();
  double verticalPixelsPerMeter = pixelPerMeter.y();

  qDebug() << "Horizontal pixels per meter:" << horizontalPixelsPerMeter;
  qDebug() << "Vertical pixels per meter:" << verticalPixelsPerMeter;

  return app.exec();
}

このコードを実行すると、次の出力がコンソールに表示されます。

Horizontal pixels per meter: 37.79527559055125
Vertical pixels per meter: 37.79527559055125

例 2：ユーザーインターフェースのスケーリング

#include <QApplication>
#include <QScroller>
#include <QWidget>
#include <QLabel>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QWidget widget;
  widget.resize(200, 100);

  QLabel label("Hello, world!");
  label.setAlignment(Qt::AlignCenter);
  label.setParent(&widget);

  QScroller scroller(&widget);
  scroller.setSnapPosition(QPointF(100, 50));

  // DPI に基づいてピクセルあたりのメートル数を計算する
  QScreen *screen = QGuiApplication::primaryScreen();
  double dpi = screen->logicalDpiX();
  double pixelsPerMeter = dpi / 1000.0;

  // フォントサイズを DPI に基づいて調整する
  QFont font = label.font();
  font.setPointSize(font.pointSize() * pixelsPerMeter);
  label.setFont(font);

  widget.show();

  return app.exec();
}

このコードは、DPI に基づいてフォントサイズを調整するシンプルなウィジェットを作成します。

例 3：タッチスクリーンとの相互作用

#include <QApplication>
#include <QScroller>
#include <QWidget>
#include <QEvent>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QWidget widget;
  widget.resize(200, 100);

  QScroller scroller(&widget);

  widget.installEventFilter(&scroller);

  widget.show();

  return app.exec();
}

bool QScroller::eventFilter(QObject *obj, QEvent *event) {
  if (event->type() == QEvent::TouchBegin) {
    QTouchMouseEvent *touchEvent = static_cast<QTouchMouseEvent *>(event);
    QPointF touchPosition = touchEvent->pos();

    // タッチ位置をメートル単位に変換する
    QScreen *screen = QGuiApplication::primaryScreen();
    double dpi = screen->logicalDpiX();
    double pixelsPerMeter = dpi / 1000.0;
    QPointF meterPosition = touchPosition / pixelsPerMeter;

    // スクロールバーをメートル位置に移動する
    scroller.scrollTo(meterPosition, 0);

    return true;
  }

  return QObject::eventFilter(obj, event);
}

このコードは、タッチスクリーンでのタッチダウンイベントを処理し、スクロールバーをタッチ位置に移動するシンプルなウィジェットを作成します。

これらの例は、QScroller::pixelPerMeter() 関数の使用方法のほんの一例です。この関数は、様々な用途で役立つ強力なツールです。

上記のコードは、Qt 6.x を使用してコンパイルされています。他のバージョンを使用している場合は、コードを適宜調整する必要があります。

QScreen::logicalDpiX() と QScreen::logicalDpiY() 関数を使用する

この方法は、スクリーンの論理 DPI を取得し、それを用いてピクセルとメートルの間の変換を行うことができます。この方法はシンプルで分かりやすいですが、スクリーンの向きやズームレベルを考慮していない点が欠点です。

QScreen *screen = QGuiApplication::primaryScreen();
double dpiX = screen->logicalDpiX();
double dpiY = screen->logicalDpiY();

double pixelsPerMeterX = dpiX / 1000.0;
double pixelsPerMeterY = dpiY / 1000.0;

QAbstractScroller::contentSize() と viewportSize() メソッドを使用する

この方法は、スクロールウィジェットのコンテンツサイズとビューポートサイズを取得し、それらを基にピクセルとメートルの間の変換を行うことができます。この方法は、スクリーンの向きやズームレベルを考慮することができますが、コンテンツサイズが常に正確であるとは限らない点が欠点です。

QAbstractScroller *scroller = ...;
QSize contentSize = scroller->contentSize();
QSize viewportSize = scroller->viewportSize();

double pixelsPerMeterX = viewportSize.width() / contentSize.width();
double pixelsPerMeterY = viewportSize.height() / contentSize.height();

カスタム変換関数を使用する

この方法は、独自の変換関数を作成して、ピクセルとメートルの間の変換を行うことができます。この方法は、最も柔軟性がありますが、複雑で実装が難しい点が欠点です。

double pixelsPerMeterX = customConversionFunction(viewportSize.width(), contentSize.width());
double pixelsPerMeterY = customConversionFunction(viewportSize.height(), contentSize.height());

最適な代替方法の選択

最適な代替方法は、状況によって異なります。以下の点を考慮して選択してください。

柔軟性
カスタム変換関数は最も柔軟性がありますが、複雑で実装が難しい点が欠点です。
精度
QAbstractScroller::contentSize() と viewportSize() メソッドは、スクリーンの向きやズームレベルを考慮することができますが、コンテンツサイズが常に正確であるとは限らない点が欠点です。
シンプルさ
QScreen::logicalDpiX() と QScreen::logicalDpiY() 関数は最もシンプルですが、スクリーンの向きやズームレベルを考慮していません。

物理デバイスとの相互作用を行う場合は、ユーザーの入力量をメートル単位に変換する必要があります。
ユーザーインターフェースのスケーリングを行う場合は、DPI に基づいてピクセルとメートルの間の変換を行う必要があります。