Qt GUIのスクロールイベント処理を深掘り：QScrollEvent::~QScrollEvent() とスマートポインタ

QScrollEvent::~QScrollEvent()は、Qt GUIにおけるスクロールイベントの破棄を処理する仮想デストラクタです。この関数は、QScrollEventオブジェクトがスコープから外れた際に自動的に呼び出されます。

役割

QScrollEvent::~QScrollEvent()は以下の役割を果たします。

潜在的なリークの防止
オブジェクトがスコープから外れた後も、資源が保持され続けることを防ぎます。

引数

この関数は引数を受け取りません。

戻り値

この関数は何も返しません。

使用例

通常、QScrollEvent::~QScrollEvent()を明示的に呼び出す必要はありません。オブジェクトがスコープから外れた際に自動的に呼び出されます。

オブジェクトがスコープから外れた後も、資源が保持され続ける可能性があるため、明示的にdelete演算子を使用する場合は注意が必要です。
QScrollEvent::~QScrollEvent()は、仮想デストラクタであるため、派生クラスでオーバーライドすることができます。
QScrollEventオブジェクトは、スクロール操作に関する情報をカプセル化するクラスです。

例

class MyWidget : public QWidget {
public:
  MyWidget(QWidget* parent = nullptr) : QWidget(parent) {}

protected:
  void scrollContents(const QPointF& delta) {
    QScrollEvent* event = new QScrollEvent(QEvent::Scroll);
    event->setContentPos(contentPos() + delta);
    QApplication::sendEvent(this, event);
  }
};

上記の例では、MyWidgetクラスのscrollContents()関数内で、QScrollEventオブジェクトを作成し、QApplication::sendEvent()関数を使用してウィジェットに送信しています。QScrollEvent::~QScrollEvent()は、イベントが処理された後に自動的に呼び出され、オブジェクトが保持しているメモリを解放します。

例 1: 単純な使用例

class MyWidget : public QWidget {
public:
  MyWidget(QWidget* parent = nullptr) : QWidget(parent) {}

protected:
  void scrollContents(const QPointF& delta) {
    QScrollEvent* event = new QScrollEvent(QEvent::Scroll);
    event->setContentPos(contentPos() + delta);
    QApplication::sendEvent(this, event);
  }
};

例 2: 派生クラスでのオーバーライド

class MyScrollEvent : public QScrollEvent {
public:
  MyScrollEvent(QEvent::Type type, const QPointF& contentPos, const QPointF& startPos,
               const QPointF& endPos, QReason reason = QReason::Unspecified)
      : QScrollEvent(type, contentPos, startPos, endPos, reason) {}

  virtual ~MyScrollEvent() override {
    // 派生クラスで処理したい処理をここに記述する
  }
};

この例では、MyScrollEvent という派生クラスを作成し、QScrollEvent::~QScrollEvent() をオーバーライドしています。オーバーライドされたデストラクタ内で、派生クラスで処理したい処理を記述することができます。

オブジェクトがスコープから外れた後も、資源が保持され続ける可能性があるため、明示的に delete 演算子を使用する場合は注意が必要です。
QScrollEvent::~QScrollEvent() は、仮想デストラクタであるため、派生クラスでオーバーライドすることができます。
QScrollEvent オブジェクトは、スクロール操作に関する情報をカプセル化するクラスです。

しかし、状況によっては QScrollEvent::~QScrollEvent() を使用するよりも適切な代替方法が存在します。

スマートポインタの使用

スマートポインタを使用すると、オブジェクトのポインタを自動的に解放することができます。これにより、手動で delete 演算子を使用する必要がなくなり、コードがより簡潔で読みやすくなります。

class MyWidget : public QWidget {
public:
  MyWidget(QWidget* parent = nullptr) : QWidget(parent) {}

protected:
  void scrollContents(const QPointF& delta) {
    std::unique_ptr<QScrollEvent> event(new QScrollEvent(QEvent::Scroll));
    event->setContentPos(contentPos() + delta);
    QApplication::sendEvent(this, event.release());
  }
};

上記の例では、std::unique_ptr スマートポインタを使用して QScrollEvent オブジェクトを管理しています。QApplication::sendEvent() 関数に渡す前に、release() メンバ関数を呼び出してオブジェクトの所有権を解放します。

RAII パターン

RAII (Resource Acquisition Is Initialization) パターンは、オブジェクトの作成と破棄を自動的に行うためのテクニックです。このパターンを使用すると、オブジェクトがスコープから外れた際に自動的に破棄されるため、明示的に delete 演算子を使用する必要がなくなります。

class MyWidget : public QWidget {
public:
  MyWidget(QWidget* parent = nullptr) : QWidget(parent) {}

protected:
  void scrollContents(const QPointF& delta) {
    QScrollEvent event(QEvent::Scroll);
    event.setContentPos(contentPos() + delta);
    QApplication::sendEvent(this, &event);
  }
};

上記の例では、RAII パターンを使用して QScrollEvent オブジェクトを管理しています。オブジェクトはスコープに入った時点で作成され、スコープから外れた時点で自動的に破棄されます。

カスタムデストラクタの使用

場合によっては、QScrollEvent::~QScrollEvent() をオーバーライドして、独自の破棄処理を実装することが必要になる場合があります。

class MyScrollEvent : public QScrollEvent {
public:
  MyScrollEvent(QEvent::Type type, const QPointF& contentPos, const QPointF& startPos,
               const QPointF& endPos, QReason reason = QReason::Unspecified)
      : QScrollEvent(type, contentPos, startPos, endPos, reason) {}

  virtual ~MyScrollEvent() override {
    // 派生クラスで処理したい処理をここに記述する
  }
};