Qt GUIプログラミング:イベント処理の必須テクニック!「QScrollPrepareEvent::startPos()」でスクロール開始位置を的確に取得


QScrollPrepareEvent::startPos() 関数は、スクロール操作が開始された際のポインタの位置を取得するために使用されます。これは、スクロールバーやドラッグ操作など、様々な種類のスクロール操作に適用されます。

使用方法

QPointF startPos = event->startPos();

このコードは、QScrollPrepareEvent オブジェクトから startPos() 関数を呼び出し、スクロール操作が開始された際のポインタの位置を QPointF 型の変数 startPos に格納します。

戻り値

startPos() 関数は、スクロール操作が開始された際のポインタの位置を QPointF 型で返します。この値は、ウィジェット内の座標系で表されます。

次のコードは、スクロール操作が開始された際に、スクロールされた距離を計算する方法を示しています。

void widget_scrollPrepareEvent(QScrollPrepareEvent *event)
{
    QPointF startPos = event->startPos();

    // ...

    QPointF endPos = event->pos();
    QPointF delta = endPos - startPos;

    // スクロールされた距離を計算する
    double scrollDistance = delta.manhattanLength();
}
  • startPos() 関数は、タッチイベントやマウスイベントなど、様々な種類のイベントで呼び出すことができます。
  • startPos() 関数は、スクロール操作が開始された際のポインタの位置のみを取得します。スクロール操作が完了した際のポインタの位置を取得するには、pos() 関数を使用する必要があります。
  • QScrollPrepareEvent オブジェクトは、スクロール操作が開始される前に送信されます。


スクロールされた距離を計算する

void widget_scrollPrepareEvent(QScrollPrepareEvent *event)
{
    QPointF startPos = event->startPos();

    // ...

    QPointF endPos = event->pos();
    QPointF delta = endPos - startPos;

    // スクロールされた距離を計算する
    double scrollDistance = delta.manhattanLength();
}
  1. startPos() 関数を使って、スクロール操作が開始された際のポインタの位置を取得します。
  2. pos() 関数を使って、現在のポインタの位置を取得します。
  3. 2つのポインタの位置の差を計算します。
  4. manhattanLength() 関数を使って、差のマンハッタン距離を計算します。マンハッタン距離は、2つの点間の水平方向と垂直方向の距離の合計です。

スクロールされた方向を判断する

void widget_scrollPrepareEvent(QScrollPrepareEvent *event)
{
    QPointF startPos = event->startPos();

    // ...

    QPointF endPos = event->pos();
    QPointF delta = endPos - startPos;

    // スクロールされた方向を判断する
    if (delta.x() > 0) {
        // 右方向にスクロール
    } else if (delta.x() < 0) {
        // 左方向にスクロール
    } else if (delta.y() > 0) {
        // 下方向にスクロール
    } else if (delta.y() < 0) {
        // 上方向にスクロール
    }
}

このコードは、スクロール操作が開始された際に、スクロールされた方向を判断する方法を示しています。

  1. startPos() 関数を使って、スクロール操作が開始された際のポインタの位置を取得します。
  2. pos() 関数を使って、現在のポインタの位置を取得します。
  3. 2つのポインタの位置の差を計算します。
  4. 差の x() 成分と y() 成分を比較して、スクロールされた方向を判断します。
void widget_scrollPrepareEvent(QScrollPrepareEvent *event)
{
    QPointF startPos = event->startPos();

    // ...

    QPointF endPos = event->pos();
    QPointF delta = endPos - startPos;

    // スクロールバーの位置を更新する
    horizontalScrollBar->setValue(horizontalScrollBar->value() + delta.x());
    verticalScrollBar->setValue(verticalScrollBar->value() + delta.y());
}

このコードは、スクロール操作が開始された際に、スクロールバーの位置を更新する方法を示しています。

  1. startPos() 関数を使って、スクロール操作が開始された際のポインタの位置を取得します。
  2. pos() 関数を使って、現在のポインタの位置を取得します。
  3. 2つのポインタの位置の差を計算します。
  4. 差の x() 成分と y() 成分を使って、水平方向と垂直方向のスクロールバーの位置を更新します。
  • スクロール操作以外にも、QScrollPrepareEvent オブジェクトを使用して様々な操作を行うことができます。詳細については、Qt ドキュメントを参照してください。
  • これらの例は、基本的な使用方法を示すものです。具体的な実装は、アプリケーションの要件に応じて変更する必要があります。


QMouseEvent::pos() を使用する

QMouseEvent::pos() 関数は、イベントが発生した際のポインタの位置を返します。これは、マウスイベントだけでなく、タッチイベントにも適用できます。

利点

  • ほとんどの状況で十分な精度を提供する
  • シンプルで使いやすい

欠点

  • マルチタッチイベントを処理する場合は、どのタッチイベントがスクロール操作を開始したのかを特定する必要がある
  • スクロール操作が開始される前にイベントが発生した場合は、正確な開始位置を取得できない可能性がある


void widget_mousePressEvent(QMouseEvent *event)
{
    QPointF startPos = event->pos();

    // ...
}

QGestureEvent::startPos() を使用する

QGestureEvent::startPos() 関数は、ジェスチャが開始された際のポインタの位置を返します。これは、ピンチジェスチャやスワイプジェスチャなど、マルチタッチジェスチャを処理するのに役立ちます。

利点

  • ジェスチャの種類を特定できる
  • マルチタッチジェスチャを処理する際に正確な開始位置を取得できる

欠点

  • すべてのジェスチャタイプでサポートされているわけではない
  • QScrollPrepareEvent イベントよりも発生頻度が低い


void widget_gestureEvent(QGestureEvent *event)
{
    if (QGestureRecognizer::Type == QGestureRecognizer::Pinch) {
        QPointF startPos = event->startPos();

        // ...
    }
}

カスタムイベントを使用する

独自のイベントクラスを作成して、スクロール操作が開始された際に送信することができます。このイベントには、開始位置などの必要な情報を格納することができます。

利点

  • 既存のイベントシステムと統合しやすい
  • アプリケーションに特化した情報をイベントに含めることができる

欠点

  • デバッグが難しい
  • 複雑で実装に時間がかかる


class MyScrollStartEvent : public QEvent
{
public:
    MyScrollStartEvent(const QPointF &startPos)
        : QEvent(Type)
        , startPos(startPos)
    {}

    QPointF startPos;
};

void widget_scrollPrepareEvent(QScrollPrepareEvent *event)
{
    MyScrollStartEvent myEvent(event->startPos());
    QCoreApplication::instance()->sendEvent(this, &myEvent);
}

タイマーを使用する

タイマーを使用して、定期的にポインタの位置を監視し、変化を検知することができます。変化が検知されたら、スクロール操作が開始されたと判断することができます。

利点

  • 低電力デバイスで動作する可能性が高い
  • シンプルで実装しやすい

欠点

  • CPU 使用率が高くなる可能性がある
  • 正確性に欠ける可能性がある
void widget_timerEvent(QTimerEvent *event)
{
    static QPointF lastPos;

    QPointF currentPos = mousePos();

    if (currentPos != lastPos) {
        // スクロール操作が開始された
        // ...

        lastPos = currentPos;
    }
}