Qt Widgets モジュールのスクロール動作を理解して、より良い UI を設計しよう！ QScrollerProperties::QScrollerProperties() の役割とは

QScrollerProperties::QScrollerProperties() は、Qt Widgets モジュールにおける QScroller クラスのスクロール動作を制御するプロパティを初期化するコンストラクタです。このコンストラクタは、デフォルトのスクロールプロパティを設定します。

構文

QScrollerProperties::QScrollerProperties();

説明

このコンストラクタは、以下のデフォルト値を設定します。

ScrollMetric::FrameRate
QScrollerProperties::StandardFrameRate
ScrollMetric::VerticalOvershootPolicy
QScrollerProperties::NoOvershoot
ScrollMetric::HorizontalOvershootPolicy
QScrollerProperties::NoOvershoot
ScrollMetric::OvershootDuration
350 milliseconds
ScrollMetric::SnapTime
400 milliseconds
ScrollMetric::SnapSpeed
1000 pixels/second
ScrollMetric::BouncingDistance
2000 pixels
ScrollMetric::DragSpeed
1000 pixels/second

QScrollerProperties properties;

// デフォルト値を使用
QScroller scroller(widget);
scroller.setScrollerProperties(properties);

QScrollerProperties オブジェクトは、setDefaultScrollerProperties() メソッドを使用してデフォルトのスクロールプロパティを設定できます。
QScrollerProperties オブジェクトは、scrollMetric() メソッドを使用して個々のスクロールプロパティ値を取得および設定できます。
QScrollerProperties オブジェクトは、QScroller クラスの setScrollerProperties() メソッドを使用してスクローラーに適用できます。

例

#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QScroller>
#include <QScrollerProperties>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    // ウィジェットを作成
    QWidget widget;
    widget.resize(400, 300);

    // スクロラーを作成
    QScroller scroller(&widget);

    // デフォルトのスクロールプロパティを設定
    QScrollerProperties properties;
    scroller.setScrollerProperties(properties);

    // ウィジェットを表示
    widget.show();

    return app.exec();
}

説明

このコードでは、以下の処理が行われます。

QApplication オブジェクトを作成します。
QWidget オブジェクトを作成し、サイズを設定します。
QScroller オブジェクトを作成し、ウィジェットをスクロール対象として設定します。
QScrollerProperties::QScrollerProperties() コンストラクタを使用してデフォルトのスクロールプロパティを設定します。
ウィジェットを表示します。

このコードを実行すると、デフォルトのスクロールプロパティを使用してウィジェットをスクロールできます。

このコードは、QScrollerProperties オブジェクトを使用して個々のスクロールプロパティ値を取得および設定する方法を示していません。

代替方法

QScrollerProperties::QScrollerProperties() の代替方法として、以下の方法があります。

個々のスクロールプロパティを設定する

QScrollerProperties オブジェクトの scrollMetric() メソッドを使用して、個々のスクロールプロパティ値を取得および設定できます。

QScrollerProperties properties;

// スクロール速度を設定
properties.setScrollMetric(QScrollerProperties::ScrollMetric::DragSpeed, 500);

// バウンド距離を設定
properties.setScrollMetric(QScrollerProperties::ScrollMetric::BouncingDistance, 1000);

// スナップ速度を設定
properties.setScrollMetric(QScrollerProperties::ScrollMetric::SnapSpeed, 750);

// スナップ時間を設定
properties.setScrollMetric(QScrollerProperties::ScrollMetric::SnapTime, 250);

// オーバーシュート持続時間を設定
properties.setScrollMetric(QScrollerProperties::ScrollMetric::OvershootDuration, 200);

// 水平方向のオーバーシュートポリシーを設定
properties.setScrollMetric(QScrollerProperties::ScrollMetric::HorizontalOvershootPolicy, QScrollerProperties::OvershootAlwaysOff);

// 垂直方向のオーバーシュートポリシーを設定
properties.setScrollMetric(QScrollerProperties::ScrollMetric::VerticalOvershootPolicy, QScrollerProperties::OvershootAlwaysOn);

// フレームレートを設定
properties.setScrollMetric(QScrollerProperties::ScrollMetric::FrameRate, QScrollerProperties::Fps30);

// スクロラーにプロパティを設定
QScroller scroller(widget);
scroller.setScrollerProperties(properties);

別の QScrollerProperties オブジェクトをコピーする

既存の QScrollerProperties オブジェクトをコピーして、新しいオブジェクトを作成できます。

QScrollerProperties properties1;

// スクロール速度を設定
properties1.setScrollMetric(QScrollerProperties::ScrollMetric::DragSpeed, 500);

// バウンド距離を設定
properties1.setScrollMetric(QScrollerProperties::ScrollMetric::BouncingDistance, 1000);

// ...

QScrollerProperties properties2 = properties1;

// スクロラーにプロパティを設定
QScroller scroller(widget);
scroller.setScrollerProperties(properties2);

setDefaultScrollerProperties() メソッドを使用する

QScrollerProperties::setDefaultScrollerProperties() メソッドを使用して、デフォルトのスクロールプロパティを設定できます。このメソッドは、アプリケーション全体のデフォルトのスクロールプロパティを設定します。

QScrollerProperties properties;

// スクロール速度を設定
properties.setScrollMetric(QScrollerProperties::ScrollMetric::DragSpeed, 500);

// バウンド距離を設定
properties.setScrollMetric(QScrollerProperties::ScrollMetric::BouncingDistance, 1000);

// ...

QScrollerProperties::setDefaultScrollerProperties(properties);

どの方法を選択するべきか

どの方法を選択するかは、状況によって異なります。

アプリケーション全体のデフォルトのスクロールプロパティを設定したい場合は、setDefaultScrollerProperties() メソッドを使用する 方法が最適です。
既存の QScrollerProperties オブジェクトを再利用したい場合は、別の QScrollerProperties オブジェクトをコピーする 方法が最適です。
特定のニーズに合わせたスクロールプロパティを設定する必要がある場合は、個々のスクロールプロパティを設定する 方法が最適です。

QScrollerProperties オブジェクトは、スレッドセーフではありません。複数のスレッドから QScrollerProperties オブジェクトにアクセスする場合は、適切な同期メカニズムを使用する必要があります。