知っておけば役立つ! Qt GUI プログラミングにおける QQuaternion::vector() メソッドの使い方
QQuaternion::vector()
メソッドは、四元数を表すQQuaternion
クラスにおいて、そのベクトル部分を取得するためのメソッドです。四元数は、3D空間における回転を効率的に表現するために用いられる数学的表現であり、Qt GUIライブラリでは、3Dグラフィックスやアニメーションなどの機能において重要な役割を果たします。
メソッドの役割
QQuaternion::vector()
メソッドは、QQuaternion
オブジェクトに格納されているベクトル部分のみを抽出します。ベクトル部分は、回転軸の方向を表現するものであり、その大きさは回転角度の半分を表します。
メソッドの構文
QVector3D QQuaternion::vector() const;
戻り値
メソッドは、QVector3D
型のオブジェクトを返します。このオブジェクトは、x
、y
、z
成分を持つ3Dベクトルを表します。
QQuaternion quaternion(0.70710678, 0.70710678, 0.0, 0.0); // 45度回転を表す四元数
QVector3D vector = quaternion.vector();
// vector.x() は 0.70710678
// vector.y() は 0.70710678
// vector.z() は 0.0
- 四元数を用いた3D回転の計算は、複雑な数学的処理を伴いますが、Qt GUIライブラリはこれらの処理を抽象化し、開発者が使いやすいように提供しています。
QQuaternion::vector()
メソッドは、四元数のスカラー部分を取得するscalar()
メソッドと対照的な役割を果たします。スカラー部分は、回転の大きさを表します。
#include <QApplication>
#include <QMainWindow>
#include <Qt3D/Q3DScene>
#include <Qt3D/Q3DModel>
#include <Qt3D/Q3DMaterial>
#include <Qt3D/Q3DPhongMaterial>
#include <Qt3D/Q3DTransform>
#include <Qt3DRenderer/Q3DRenderer>
int main(int argc, char* argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// ウィンドウを作成
QMainWindow window;
window.resize(800, 600);
// シーンを作成
Q3DScene scene;
// モデルを作成
Q3DModel* model = new Q3DModel(&scene);
model->setObject(new Qt3D::Q3DObjectLoader(&scene, ":/model.obj")); // 3Dモデルファイルを指定
// マテリアルを作成
Q3DPhongMaterial* material = new Q3DPhongMaterial(&scene);
material->setColor(Qt::red);
// トランスフォームを作成
Q3DTransform* transform = new Q3DTransform(&scene);
// 四元数を作成
QQuaternion quaternion(0.70710678, 0.70710678, 0.0, 0.0); // 45度回転を表す四元数
// ベクトルを取得
QVector3D vector = quaternion.vector();
// 回転軸を設定
transform->setRotationAxis(vector);
// 回転角度を設定
transform->setAngle(45.0f); // 45度回転
// モデルにトランスフォームを設定
model->addComponent(transform);
// モデルにマテリアルを設定
model->setMaterial(material);
// シーンにモデルを追加
scene.addRootEntity(model);
// ビューワーを作成
Q3DRenderer renderer(&scene);
renderer.setCamera(window.camera());
// ビューワーをウィンドウに追加
QWidget* widget = renderer.widget();
window.setCentralWidget(widget);
// ウィンドウを表示
window.show();
return app.exec();
}
コード解説
- Qt GUIライブラリのヘッダーファイルをインクルードします。
QApplication
オブジェクトを作成し、アプリケーションのインスタンスを作成します。QMainWindow
オブジェクトを作成し、メインウィンドウを作成します。Q3DScene
オブジェクトを作成し、3Dシーンを作成します。Q3DModel
オブジェクトを作成し、3Dモデルをロードします。Q3DPhongMaterial
オブジェクトを作成し、モデルのマテリアルを設定します。Q3DTransform
オブジェクトを作成し、モデルの回転を制御します。QQuaternion
オブジェクトを作成し、回転を表す四元数を作成します。vector()
メソッドを使用して、四元数からベクトル部分を取得します。setRotationAxis()
メソッドを使用して、回転軸をベクトルに設定します。setAngle()
メソッドを使用して、回転角度を45度に設定します。- モデルにトランスフォームとマテリアルを設定します。
- シーンにモデルを追加します。
Q3DRenderer
オブジェクトを作成し、3Dシーンをレンダリングします。- ビューワーをウィンドウに追加し、ウィンドウを表示します。
このコードを実行すると、赤い立方体が45度回転する3Dモデルが表示されます。
- コードを拡張して、他の種類の回転やアニメーションを実装することができます。
- 3Dモデルファイルは、OBJ形式など、Qt 3Dでサポートされている形式である必要があります。
- このコードは、Qt CreatorなどのIDEを使用してコンパイルして実行することができます。
直接成分にアクセスする
QQuaternion
は、x
、y
、z
および w
という 4 つの成分を持つ構造体として表現されます。ベクトル部分は、x
、y
、z
成分で構成されているため、これらの成分に直接アクセスすることでベクトル部分を抽出することができます。
QQuaternion quaternion(0.70710678, 0.70710678, 0.0, 0.0);
QVector3D vector(quaternion.x(), quaternion.y(), quaternion.z());
長所
- 計算コストが比較的低い
- シンプルで分かりやすい
短所
- エラーが発生しやすい
- 四元数の構造を理解する必要がある
normalized() メソッドと xAxis() メソッドを組み合わせて使用する
normalized()
メソッドは、四元数を正規化し、スカラー部分が 1 になるようにします。xAxis()
メソッドは、正規化された四元数の回転軸を返します。これらのメソッドを組み合わせることで、ベクトル部分を抽出することができます。
QQuaternion quaternion(0.70710678, 0.70710678, 0.0, 0.0);
QVector3D vector = quaternion.normalized().xAxis();
長所
- コードが比較的簡潔
- 正規化された四元数のみを扱うため、計算が安定している
短所
- 2 つのメソッド呼び出しが必要
toEulerAngles() メソッドを使用する
toEulerAngles()
メソッドは、四元数をオイラー角に変換します。オイラー角は、3 つの回転角度で回転を表現するものであり、ベクトル部分はオイラー角の最初の回転角度に相当します。
QQuaternion quaternion(0.70710678, 0.70710678, 0.0, 0.0);
QVector3D eulerAngles = quaternion.toEulerAngles();
QVector3D vector(eulerAngles.x(), 0.0, 0.0); // 最初の回転角度のみ抽出
長所
- わかりやすく直感的な方法
短所
- 余分なオイラー角情報が取得される
- 計算コストが比較的高い
カスタム関数を使用する
上記のいずれの方法も適していない場合は、カスタム関数を作成してベクトル部分を抽出することができます。この方法は、より柔軟な制御が可能ですが、複雑になる可能性があります。