Qt GUIプログラミングにおける四元数と3D回転 - QQuaternion::fromAxes()の分かりやすい解説とサンプルコード
QQuaternion::fromAxes()
は、3つの軸ベクトル (x 軸、y 軸、z 軸) を用いて、四元数を作成する静的関数です。四元数は、3D 回転を表す数学的な表現として用いられます。
構文
QQuaternion QQuaternion::fromAxes(const QVector3D &xAxis, const QVector3D &yAxis, const QVector3D &zAxis);
引数
zAxis
: z 軸ベクトルを表すQVector3D
型のオブジェクトyAxis
: y 軸ベクトルを表すQVector3D
型のオブジェクトxAxis
: x 軸ベクトルを表すQVector3D
型のオブジェクト
戻り値
3つの軸ベクトルに基づいて作成された四元数を返す QQuaternion
型のオブジェクト
詳細
QQuaternion::fromAxes()
は、3つの軸ベクトルを基に、四元数の各要素 (x、y、z、w) を計算します。この関数は、以下の手順で動作します。
- 3つの軸ベクトルが正規直交系を成していることを確認します。
- 各軸ベクトルの長さを 1 に正規化します。
- 以下の式に基づいて四元数の各要素を計算します。
w = sqrt(1.0f - (x * x + y * y + z * z))
x = x / (2.0f * w)
y = y / (2.0f * w)
z = z / (2.0f * w)
- 計算された四元数を返します。
例
QVector3D xAxis(1.0f, 0.0f, 0.0f);
QVector3D yAxis(0.0f, 1.0f, 0.0f);
QVector3D zAxis(0.0f, 0.0f, 1.0f);
QQuaternion quaternion = QQuaternion::fromAxes(xAxis, yAxis, zAxis);
このコードは、x 軸、y 軸、z 軸に沿った回転を表す四元数を作成します。
- 四元数は、3D 回転を表す以外にも、様々な用途に利用できます。
- 他の方法としては、
QQuaternion::fromAxisAndAngle()
やQQuaternion::fromEulerAngles()
などの関数を利用する方法があります。 QQuaternion::fromAxes()
は、3つの軸ベクトルを用いて四元数を作成する最も一般的な方法の一つです。
#include <QtOpenGL>
int main() {
// 3つの軸ベクトルを作成
QVector3D xAxis(1.0f, 0.0f, 0.0f);
QVector3D yAxis(0.0f, 1.0f, 0.0f);
QVector3D zAxis(0.0f, 0.0f, 1.0f);
// 軸ベクトルに基づいて四元数を作成
QQuaternion quaternion = QQuaternion::fromAxes(xAxis, yAxis, zAxis);
// 回転角度を設定
float angle = 45.0f;
// 回転軸を設定
QVector3D rotationAxis = yAxis;
// 四元数と回転角度、回転軸を使用して回転行列を作成
QMatrix4x4 rotationMatrix = QMatrix4x4(quaternion.normalized().toRotationMatrix());
rotationMatrix.rotate(angle, rotationAxis);
// 回転行列を OpenGL に適用
glMultMatrix4f((const GLfloat *) rotationMatrix.data());
// 描画処理
// ...
return 0;
}
このコードでは、まず xAxis
、yAxis
、zAxis
という 3 つの軸ベクトルを作成します。次に、これらの軸ベクトルを使用して QQuaternion::fromAxes()
関数で四元数を作成します。
その後、回転角度と回転軸を設定し、四元数とこれらの情報を使用して QMatrix4x4
型の回転行列を作成します。最後に、この回転行列を OpenGL に適用して、オブジェクトを回転させます。
- 四元数は、3D 回転以外にも、様々な用途に利用できます。
QQuaternion::fromAxes()
関数以外にも、3D 回転を表す四元数を作成する方法はいくつかあります。- このコードはあくまで一例であり、実際のアプリケーションでは状況に応じて変更する必要があります。
QQuaternion::fromAxisAndAngle() 関数
QQuaternion::fromAxisAndAngle()
関数は、回転軸と回転角度を指定して四元数を作成します。この関数は、軸ベクトルが正規化されている必要がないため、QQuaternion::fromAxes()
関数よりもシンプルで効率的な場合ががあります。
QVector3D rotationAxis(0.0f, 1.0f, 0.0f);
float angle = 45.0f;
QQuaternion quaternion = QQuaternion::fromAxisAndAngle(rotationAxis, angle);
オイラー角から四元数への変換
オイラー角は、3つの回転角度 (ロール、ピッチ、ヨー) を用いて 3D 回転を表す方法です。これらの角度を四元数に変換するには、以下の式を使用できます。
float roll = 0.0f;
float pitch = 0.0f;
float yaw = 0.0f;
QQuaternion quaternion;
quaternion.setEulerAngles(roll, pitch, yaw);
回転行列から四元数への変換
回転行列は、3D 回転を表す 3x3 行列です。この行列を四元数に変換するには、以下の式を使用できます。
QMatrix4x4 rotationMatrix;
// ...
QQuaternion quaternion;
quaternion.setFromRotationMatrix(rotationMatrix);
方法 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|
QQuaternion::fromAxes() | 軸ベクトルのみが必要 | 軸ベクトルが正規化されている必要がある |
QQuaternion::fromAxisAndAngle() | 軸ベクトルが正規化されている必要がない | 回転軸が 1 つしかない場合にのみ使用できる |
オイラー角から四元数への変換 | 回転を 3 つの角度で表現できる | 万向節ロックの問題が発生する可能性がある |
回転行列から四元数への変換 | 回転行列が既にある場合に便利 | 回転行列を四元数に変換する計算コストが高い |