【初心者向け】Qt GUIでオートリピートを検知:QKeyEvent::isAutoRepeat()の使い方とサンプルコード


QKeyEvent::isAutoRepeat()は、Qt GUIアプリケーションにおいて、キーの連続入力を検知するために使用される便利なメソッドです。このメソッドは、キーが押された後、一定時間経過すると自動的にキー入力が繰り返されるオートリピート機能が有効かどうかを判断します。

具体的な動作

  1. キー押下イベント発生
    ユーザーがキーを押すと、QKeyEventオブジェクトが生成されます。
  2. isAutoRepeat()メソッドの呼び出し: このメソッドを呼び出すことで、キー入力がオートリピートかどうかを確認できます。
  3. 結果の判定
    メソッドは、trueを返します。キーがオートリピートされている場合、falseを返します。キーが初めて押された場合。

void keyPressEvent(QKeyEvent *event) {
    if (event->isAutoRepeat()) {
        // キーがオートリピートされている場合の処理
        qDebug() << "Key is auto-repeating";
    } else {
        // キーが初めて押された場合の処理
        qDebug() << "Key is pressed for the first time";
    }
}

この例では、keyPressEvent()スロット内でisAutoRepeat()メソッドを呼び出し、キー入力がオートリピートかどうかを判定しています。オートリピートされている場合は、"Key is auto-repeating"というメッセージを出力します。そうでない場合は、"Key is pressed for the first time"というメッセージを出力します。

応用例

  • 入力補助機能
    障がい者の方など、キー入力が困難なユーザーのために、オートリピート機能を活用した入力補助機能を提供できます。
  • ゲーム操作の簡略化
    ゲームにおいて、特定のキーを押し続けることで、連続的にアクションを実行できる機能を実現できます。
  • タイピング速度の向上
    オートリピート機能を活用することで、ユーザーのタイピング速度を向上させることができます。
  • オートリピート機能は、ユーザーの操作に悪影響を与える可能性があるため、状況に応じて適切に利用する必要があります。
  • オートリピートの開始時間や速度は、オペレーティングシステムの設定によって異なります。
  • すべてのキーがオートリピート機能をサポートしているわけではありません。


例1: キー入力がオートリピートされた場合にカウントをインクリメントする

#include <QApplication>
#include <QLabel>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    QLabel label("Count: 0");
    label.show();

    int count = 0;

    QObject::connect(&label, &QLabel::keyPressEvent,
                     [&](QKeyEvent *event) {
                         if (event->isAutoRepeat()) {
                             count++;
                             label.setText(QString("Count: %1").arg(count));
                         }
                     });

    return app.exec();
}

このコードでは、QLabelラベルを作成し、"Count: 0"というテキストを表示します。ラベルにキーが押された場合、keyPressEvent()スロットが呼び出されます。このスロット内で、isAutoRepeat()メソッドを使用してキー入力がオートリピートかどうかを判定します。オートリピートされている場合は、count変数を1増分し、ラベルのテキストを更新します。

例2: キー入力がオートリピートされた場合に背景色を変更する

#include <QApplication>
#include <QLabel>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    QLabel label("Press a key");
    label.setStyleSheet("background-color: white");
    label.show();

    QObject::connect(&label, &QLabel::keyPressEvent,
                     [&](QKeyEvent *event) {
                         if (event->isAutoRepeat()) {
                             label.setStyleSheet("background-color: yellow");
                         } else {
                             label.setStyleSheet("background-color: white");
                         }
                     });

    return app.exec();
}

このコードでは、QLabelラベルを作成し、"Press a key"というテキストを表示します。ラベルの背景色は白に設定されています。ラベルにキーが押された場合、keyPressEvent()スロットが呼び出されます。このスロット内で、isAutoRepeat()メソッドを使用してキー入力がオートリピートかどうかを判定します。オートリピートされている場合は、ラベルの背景色を黄色に変更します。そうでない場合は、背景色を白に戻します。



QKeyEvent::isAutoRepeat()は、キー入力がオートリピートかどうかを判定する便利なメソッドですが、状況によっては代替方法の方が適切な場合があります。以下では、QKeyEvent::isAutoRepeat()の代替方法として考えられるいくつかの方法を紹介します。

タイマーを使用する

オートリピート機能は、キーが押された後、一定時間経過すると自動的にキー入力が繰り返されるという仕組みです。この仕組みを再現するために、タイマーを使用することができます。

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QTimer>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    QLabel label("Count: 0");
    label.show();

    int count = 0;
    QTimer *timer = new QTimer(&label);
    timer->setInterval(250); // 250ミリ秒ごとにタイマーを発行

    QObject::connect(timer, &QTimer::timeout, [&]() {
        count++;
        label.setText(QString("Count: %1").arg(count));
    });

    QObject::connect(&label, &QLabel::keyPressEvent,
                     [&](QKeyEvent *event) {
                         timer->start(); // キーが押されたらタイマーを開始
                     });

    QObject::connect(&label, &QLabel::keyReleaseEvent,
                     [&](QKeyEvent *event) {
                         timer->stop(); // キーが離されたらタイマーを停止
                     });

    return app.exec();
}

このコードでは、タイマーを使用することで、キーが押された後、250ミリ秒ごとにcount変数を1増分し、ラベルのテキストを更新しています。

キーイベントの発生頻度を監視する

キーイベントの発生頻度を監視することで、オートリピートかどうかを判定することができます。

#include <QApplication>
#include <QLabel>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    QLabel label("Count: 0");
    label.show();

    int count = 0;
    QTime lastKeyPressTime = QTime::currentTime();

    QObject::connect(&label, &QLabel::keyPressEvent,
                     [&](QKeyEvent *event) {
                         QTime currentKeyPressTime = QTime::currentTime();
                         if (currentKeyPressTime.msecsSince(lastKeyPressTime) < 50) { // 50ミリ秒以内にキーが2回以上押された場合
                             count++;
                             label.setText(QString("Count: %1").arg(count));
                         }
                         lastKeyPressTime = currentKeyPressTime;
                     });

    return app.exec();
}

このコードでは、前回のキー押下時間と現在のキー押下時間を比較することで、50ミリ秒以内にキーが2回以上押された場合にcount変数を1増分し、ラベルのテキストを更新しています。

キーイベントのソースを判定する

キーイベントのソースを判定することで、オートリピートかどうかを判定することができます。

#include <QApplication>
#include <QLabel>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    QLabel label("Count: 0");
    label.show();

    int count = 0;

    QObject::connect(&label, &QLabel::keyPressEvent,
                     [&](QKeyEvent *event) {
                         if (event->source() == QInputEvent::Keyboard) { // キーボードからのイベントの場合
                             count++;
                             label.setText(QString("Count: %1").arg(count));
                         }
                     });

    return app.exec();
}

このコードでは、キーイベントのソースがキーボードからのイベントかどうかを判定することで、オートリピートかどうかを判定しています。

オペレーティングシステムの設定を使用する

オペレーティングシステムの設定によっては、オートリピート機能を無効化したり、開始時間や速度を変更したりすることができます。

  • 実際のアプリケーションで使用する場合には、必要に応じてコードを修正して使用してください。
  • これらの代替方法は、すべて状況によってメリットとデメリットがあります。