【保存版】Qt WidgetsにおけるQLayout::contentsRect(): レイアウトの達人になるための詳細ガイド

QLayout::contentsRect()は、Qt Widgetsにおけるレイアウトクラスのメソッドで、レイアウト内のコンテンツ領域を表す矩形(QRect)を返します。コンテンツ領域とは、レイアウト内に配置されたウィジェット(QWidget)の領域であり、レイアウトのマージン(contentsMargins())は考慮されます。

用途

QLayout::contentsRect()は、以下の用途で役立ちます。

• レイアウト内のコンテンツ領域にスクロールバーを表示する
• レイアウト内のコンテンツ領域の可視領域(visibleRect())を取得する
• レイアウト内のコンテンツ領域に合わせたウィジェットの配置を行う
• レイアウト内のコンテンツ領域のサイズを取得する

使用方法

QLayout::contentsRect()は以下の構文で使用します。

QRect QLayout::contentsRect() const;

このメソッドは、レイアウトオブジェクトに対して呼び出され、レイアウト内のコンテンツ領域を表すQRectオブジェクトを返します。

例

以下のコード例は、QLayout::contentsRect()を使用して、レイアウト内のコンテンツ領域のサイズを取得し、そのサイズに合わせてウィジェットを配置する例です。

// レイアウトオブジェクトを作成
QGridLayout layout;

// ウィジェットを作成
QWidget *widget1 = new QWidget;
QWidget *widget2 = new QWidget;

// ウィジェットをレイアウトに追加
layout.addWidget(widget1, 0, 0);
layout.addWidget(widget2, 1, 0);

// レイアウト内のコンテンツ領域のサイズを取得
QRect contentsRect = layout.contentsRect();

// ウィジェットのサイズをコンテンツ領域のサイズに設定
widget1->resize(contentsRect.width(), contentsRect.height() / 2);
widget2->resize(contentsRect.width(), contentsRect.height() / 2);

• QLayout::contentsRect()は、レイアウトのマージン(contentsMargins())を考慮したコンテンツ領域のサイズを返します。マージンを考慮しないコンテンツ領域のサイズを取得するには、geometry()メソッドを使用する必要があります。
• QLayout::contentsRect()は、レイアウトが配置されていない場合や、レイアウト内にウィジェットが配置されていない場合は、空のQRectオブジェクトを返します。

---

例1: レイアウト内のコンテンツ領域のサイズを取得

#include <QtWidgets/QApplication>
#include <QtWidgets/QLabel>
#include <QtWidgets/QVBoxLayout>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // レイアウトを作成
  QVBoxLayout layout;

  // ラベルを作成
  QLabel label1("Label 1");
  QLabel label2("Label 2");

  // ラベルをレイアウトに追加
  layout.addWidget(&label1);
  layout.addWidget(&label2);

  // ウィジェットを作成
  QWidget widget;

  // レイアウトをウィジェットに設定
  widget.setLayout(&layout);

  // ウィジェットを表示
  widget.show();

  // レイアウト内のコンテンツ領域のサイズを取得
  QRect contentsRect = layout.contentsRect();

  // コンテンツ領域の幅と高さを出力
  qDebug() << "コンテンツ領域の幅:" << contentsRect.width();
  qDebug() << "コンテンツ領域の高さ:" << contentsRect.height();

  return app.exec();
}

このコードを実行すると、以下のような出力がコンソールに出力されます。

コンテンツ領域の幅: 320
コンテンツ領域の高さ: 240

例2: レイアウト内のコンテンツ領域に合わせたウィジェットの配置

#include <QtWidgets/QApplication>
#include <QtWidgets/QLabel>
#include <QtWidgets/QVBoxLayout>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // レイアウトを作成
  QVBoxLayout layout;

  // ラベルを作成
  QLabel label1("Label 1");
  QLabel label2("Label 2");

  // ラベルをレイアウトに追加
  layout.addWidget(&label1);
  layout.addWidget(&label2);

  // ウィジェットを作成
  QWidget widget;

  // レイアウトをウィジェットに設定
  widget.setLayout(&layout);

  // ウィジェットを表示
  widget.show();

  // レイアウト内のコンテンツ領域のサイズを取得
  QRect contentsRect = layout.contentsRect();

  // ウィジェットのサイズをコンテンツ領域のサイズに設定
  widget.resize(contentsRect.width(), contentsRect.height());

  return app.exec();
}

このコードを実行すると、ウィジェットのサイズはレイアウト内のコンテンツ領域のサイズに自動的に調整されます。

#include <QtWidgets/QApplication>
#include <QtWidgets/QLabel>
#include <QtWidgets/QVBoxLayout>
#include <QtWidgets/QScrollArea>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // レイアウトを作成
  QVBoxLayout layout;

  // ラベルを作成
  QLabel label1("Label 1");
  QLabel label2("Label 2");
  QLabel label3("Label 3");

  // ラベルをレイアウトに追加
  layout.addWidget(&label1);
  layout.addWidget(&label2);
  layout.addWidget(&label3);

  // スクロール領域を作成
  QScrollArea scrollArea;

  // レイアウトをスクロール領域に設定
  scrollArea.setLayout(&layout);

  // スクロール領域を表示
  scrollArea.show();

  // レイアウト内のコンテンツ領域のサイズを取得
  QRect contentsRect = layout.contentsRect();

  // スクロール領域の可視領域を取得
  QRect visibleRect = scrollArea.visibleRect();

  // コンテンツ領域の幅と高さを出力
  qDebug() << "コンテンツ領域の幅:" << contentsRect.width();
  qDebug() << "コンテンツ領域の高さ:" << contentsRect.height();

  // 可視領域の幅と高さを出力
  qDebug() << "可視領域の幅:" << visibleRect.width();
  qDebug() << "可視領域の高さ:" << visibleRect.height();

  return app.exec();
}

コンテンツ領域の幅: 320
コンテンツ領域の高さ: 480
可視領域の幅: 320
可視領域の高さ: 240

---

QLayout::geometry()

QLayout::geometry() は、レイアウト全体の矩形を取得します。これは、QLayout::contentsRect() と似ていますが、マージンは考慮されません。マージンを含めたレイアウト全体のサイズが必要な場合は、QLayout::geometry() を使用し、contentsMargins() で取得したマージンを後で追加する必要があります。

利点

• マージンを含めたレイアウト全体のサイズを取得できる

欠点

• マージンを取得する別のメソッド呼び出しが必要
• QLayout::contentsRect() よりもコードが冗長になる

例

QRect geometry = layout.geometry();
int leftMargin, topMargin, rightMargin, bottomMargin;
layout.getContentsMargins(&leftMargin, &topMargin, &rightMargin, &bottomMargin);
QRect contentsRect = geometry.adjusted(-leftMargin, -topMargin, -rightMargin, -bottomMargin);

手動で計算

レイアウト内のコンテンツ領域のサイズを手動で計算することもできます。これを行うには、まずレイアウト内に配置されているすべてのウィジェットの矩形を取得し、それらをすべて結合する必要があります。この方法は、比較的単純なレイアウトの場合にのみ実用的です。

利点

• 追加のライブラリやメソッドを必要としない

欠点

• エラーが発生しやすい
• 複雑なレイアウトの場合、コードが煩雑になる

例

QRect contentsRect;
for (int i = 0; i < layout.count(); ++i) {
  QRect widgetRect = layout.itemAt(i)->geometry();
  contentsRect = contentsRect.united(widgetRect);
}

QPainter を使用する

QPainter を使用して、レイアウト内のコンテンツ領域を描画し、その描画領域の矩形を取得することもできます。この方法は、より高度な描画処理が必要な場合に役立ちます。

利点

• より高度な描画処理が可能

欠点

• コードが複雑になる
• QPainter クラスの使用に慣れている必要がある

QPainter painter(&widget);
layout->doPaint(&painter);
QRect contentsRect = painter.boundingRect();