【初心者向け】Qt Widgetsでレイアウトを自在に操る:QLayoutItem::spacerItem()の使い方


QLayoutItem::spacerItem()は、Qt Widgetsにおけるレイアウト管理クラスQLayoutItemの仮想関数であり、そのオブジェクト自身へのポインタを返します。これは、レイアウト内に空白スペースを挿入するために使用されます。

詳細

QLayoutItem::spacerItem()は、以下の目的で使用されます。

  • ウィジェットの配置: ウィジェットをレイアウト内の特定の位置に配置するために、空白スペースを使用してウィジェットを押し込みます。
  • レイアウトの伸縮: レイアウトを伸縮するために、空白スペースを使用してレイアウトを最大限に広げます。
  • ウィジェット間のスペース調整: ウィジェット間のスペースを調整するために、水平方向または垂直方向に空白スペースを挿入します。

使用方法

QLayoutItem::spacerItem()を使用するには、以下の手順に従います。

  1. QSpacerItemオブジェクトを作成します。
  2. オブジェクトのサイズとサイズポリシーを設定します。
  3. レイアウトにオブジェクトを追加します。

以下の例は、水平方向に伸縮する空白スペースをレイアウトに追加する方法を示しています。

QSpacerItem *spacer = new QSpacerItem(20, 0, QSizePolicy::Expanding, QSizePolicy::Minimum);
layout->addItem(spacer);

この例では、QSpacerItemオブジェクトが作成され、幅20ピクセル、高さ0ピクセル、水平方向に伸縮するサイズポリシーが設定されます。その後、このオブジェクトがレイアウトに追加されます。



#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QHBoxLayout>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // ウィジェットを作成
  QLabel *label1 = new QLabel("Label 1");
  QLabel *label2 = new QLabel("Label 2");

  // レイアウトを作成
  QHBoxLayout *layout = new QHBoxLayout;

  // ウィジェットをレイアウトに追加
  layout->addWidget(label1);
  layout->addWidget(label2);

  // 水平方向に伸縮する空白スペースを挿入
  QSpacerItem *spacer = new QSpacerItem(20, 0, QSizePolicy::Expanding, QSizePolicy::Minimum);
  layout->addItem(spacer);

  // ウィンドウを作成
  QWidget window;
  window.setLayout(layout);
  window.setWindowTitle("Spacer Example");
  window.show();

  return app.exec();
}

この例では、QHBoxLayoutレイアウトを使用して、2つのラベルと水平方向に伸縮する空白スペースを含むウィンドウを作成します。空白スペースは、ラベル間のスペースを調整し、ウィンドウのサイズに合わせて伸縮します。

例2: 垂直方向に伸縮する空白スペースを挿入する

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QVBoxLayout>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // ウィジェットを作成
  QLabel *label1 = new QLabel("Label 1");
  QLabel *label2 = new QLabel("Label 2");

  // レイアウトを作成
  QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout;

  // ウィジェットをレイアウトに追加
  layout->addWidget(label1);
  layout->addWidget(label2);

  // 垂直方向に伸縮する空白スペースを挿入
  QSpacerItem *spacer = new QSpacerItem(0, 20, QSizePolicy::Minimum, QSizePolicy::Expanding);
  layout->addItem(spacer);

  // ウィンドウを作成
  QWidget window;
  window.setLayout(layout);
  window.setWindowTitle("Spacer Example");
  window.show();

  return app.exec();
}

この例は、例1と似ていますが、QVBoxLayoutレイアウトを使用して、2つのラベルと垂直方向に伸縮する空白スペースを含むウィンドウを作成します。空白スペースは、ラベル間のスペースを調整し、ウィンドウの高さに合わせて伸縮します。

例3: ウィジェットを配置する

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QHBoxLayout>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // ウィジェットを作成
  QLabel *label1 = new QLabel("Label 1");
  QLabel *label2 = new QLabel("Label 2");

  // レイアウトを作成
  QHBoxLayout *layout = new QHBoxLayout;

  // 左側にラベル1を配置
  layout->addWidget(label1);

  // 右側に空白スペースを挿入
  QSpacerItem *spacer = new QSpacerItem(40, 0, QSizePolicy::Expanding, QSizePolicy::Minimum);
  layout->addItem(spacer);

  // 右側にラベル2を配置
  layout->addWidget(label2);

  // ウィンドウを作成
  QWidget window;
  window.setLayout(layout);
  window.setWindowTitle("Spacer Example");
  window.show();

  return app.exec();
}

この例では、QHBoxLayoutレイアウトを使用して、ラベル1を左側に、ラベル2を右側に配置するウィンドウを作成します。空白スペースは、ラベル2とウィンドウの右端の間のスペースを調整するために使用されます。



しかし、QLayoutItem::spacerItem()を使用する代わりに、レイアウト内に空白スペースを挿入するための代替方法がいくつかあります。

QSizePolicy::Expanding を使用する

QSizePolicyを使用して、ウィジェットまたはレイアウトアイテムを伸縮させることができます。これは、レイアウト内に空白スペースを挿入するのに役立ちます。

QLabel *label = new QLabel("Label");
label->setSizePolicy(QSizePolicy::Expanding, QSizePolicy::Preferred);
layout->addWidget(label);

この例では、QLabelウィジェットのサイズポリシーが設定されています。QSizePolicy::Expandingは、ウィジェットを水平方向と垂直方向に最大限に拡大することを意味します。QSizePolicy::Preferredは、ウィジェットの優先的なサイズを維持することを意味します。

stretch() メソッドを使用する

QHBoxLayoutQVBoxLayoutなどのレイアウトクラスには、stretch()メソッドがあります。このメソッドは、レイアウトアイテムを伸縮させるために使用できます。

QHBoxLayout *layout = new QHBoxLayout;
layout->addWidget(label1);
layout->stretch(1);
layout->addWidget(label2);

この例では、QHBoxLayoutレイアウトの2番目のアイテムが伸縮するように設定されています。これは、label2label1よりも多くのスペースを占めることを意味します。

addSpacing() メソッドを使用する

QHBoxLayoutQVBoxLayoutなどのレイアウトクラスには、addSpacing()メソッドがあります。このメソッドは、レイアウト内に固定サイズの空白スペースを挿入するために使用できます。

QHBoxLayout *layout = new QHBoxLayout;
layout->addWidget(label1);
layout->addSpacing(20);
layout->addWidget(label2);

この例では、QHBoxLayoutレイアウトの2つのアイテム間に20ピクセルの空白スペースが挿入されます。

QSpacerItem クラスを使用する

QSpacerItemクラスは、レイアウト内に空白スペースを挿入するために使用できる特別なウィジェットです。QLayoutItem::spacerItem()を使用する代わりに、QSpacerItemオブジェクトを直接作成することができます。

QSpacerItem *spacer = new QSpacerItem(20, 0, QSizePolicy::Expanding, QSizePolicy::Minimum);
layout->addItem(spacer);

この例は、QLayoutItem::spacerItem()の例とほぼ同じですが、QSpacerItemオブジェクトを直接作成しています。

QLayoutItem::spacerItem()は、レイアウト内に空白スペースを挿入するための便利な方法ですが、唯一の方法ではありません。上記の代替方法を検討し、ご自身のレイアウトの要件に最適な方法を選択してください。

  • 複雑なレイアウトを作成する場合は、複数の方法を組み合わせて使用することがあります。
  • 各方法には長所と短所があります。