【初心者向け】Qt GUI プログラミング: キーボードショートカットを自在に操る QKeySequence クラス
QKeySequence クラスは、Qt GUI におけるキーボードショートカットの定義と処理に使用されるクラスです。 キーボードのキーと修飾キー(Shift、Ctrl、Alt、Meta) の組み合わせを表すオブジェクトを作成し、ショートカットキーの割り当てやキーイベントの処理などに活用できます。
主な機能
- キーシーケンスの文字列変換
- キーシーケンスの比較
- キーイベントの処理
- キーボードショートカットの定義
使用方法
QKeySequence クラスを使用するには、まずヘッダーファイル #include <QKeySequence>
をインクルードする必要があります。
次に、以下のいずれかの方法でキーシーケンスを作成できます。
- キーコードと修飾キーを使用する
個々のキーコードと修飾キーを組み合わせて、キーシーケンスを定義できます。 例えば、QKeySequence(Qt::CTRL + Qt::Key_P)
は、印刷機能のショートカットキー (Ctrl+P) を表します。 - 文字列を使用する
キーボードショートカットを文字列で指定できます。 例えば、QKeySequence(tr("Ctrl+P"))
は、印刷機能のショートカットキー (Ctrl+P) を表します。 - 標準ショートカットを使用する
QKeySequence::StandardKey
列挙型を使用して、あらかじめ定義された標準ショートカットを参照できます。 例えば、QKeySequence(QKeySequence::Print)
は、印刷機能のショートカットキー (Ctrl+P) を表します。
作成したキーシーケンスは、さまざまな場面で利用できます。 例えば、以下のような用途に使用できます。
- キーシーケンスを文字列に変換する
keySequence.toString()
メソッドを使用して、キーシーケンスを人間が読める形式の文字列に変換できます。 - キーシーケンスを比較する
keySequence1.matches(keySequence2)
メソッドを使用して、2つのキーシーケンスが一致するかどうかを判定できます。 - キーイベントを処理する
QKeyEvent::key()
メソッドを使用して、キーイベントのキーシーケンスを取得し、それに対応する処理を実行できます。 - ウィジェットにショートカットキーを割り当てる
widget->setShortcut(keySequence, action)
メソッドを使用して、ウィジェットにショートカットキーを割り当て、アクションを実行できます。
例
以下の例では、Ctrl+P
キーに print()
関数を割り当てる方法を示します。
#include <QKeySequence>
#include <QApplication>
#include <QPushButton>
void print() {
// 印刷処理を実行
}
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
QPushButton button("Print");
button.setShortcut(QKeySequence(Qt::CTRL + Qt::Key_P));
connect(&button, &QPushButton::clicked, print);
button.show();
return app.exec();
}
このコードを実行すると、Print
ボタンをクリックするか、Ctrl+P
キーを押すと、print()
関数が実行されます。
QKeySequence クラスの詳細については、Qt 公式ドキュメントを参照してください。
- キーボードショートカットは、オペレーティングシステムやウィジェットによって異なる場合があります。 アプリケーションで使用するショートカットキーは、事前に確認しておくことをお勧めします。
- QKeySequence クラスは、Qt GUI モジュールの一部です。 Qt GUI モジュールを使用するには、Qt をインストールする必要があります。
例 1: 標準ショートカットキーの使用
この例では、QKeySequence::Open
標準ショートカットキーを使用して、open()
関数を割り当てる方法を示します。
#include <QKeySequence>
#include <QApplication>
#include <QPushButton>
void open() {
// ファイルを開く処理を実行
}
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
QPushButton button("Open");
button.setShortcut(QKeySequence::Open); // 標準ショートカットキー (Ctrl+O) を使用
connect(&button, &QPushButton::clicked, open);
button.show();
return app.exec();
}
例 2: 文字列によるキーシーケンスの定義
この例では、文字列 "Ctrl+Shift+P" を使用してキーシーケンスを定義し、それに対応する処理を実行する方法を示します。
#include <QKeySequence>
#include <QApplication>
#include <QPushButton>
void specialAction() {
// 特殊な処理を実行
}
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
QPushButton button("Special Action");
button.setShortcut(QKeySequence(tr("Ctrl+Shift+P"))); // 文字列でキーシーケンスを定義
connect(&button, &QPushButton::clicked, specialAction);
button.show();
return app.exec();
}
例 3: キーコードと修飾キーによるキーシーケンスの定義
この例では、Qt::CTRL 修飾キーと Qt::Key_P キーコードを使用してキーシーケンスを定義し、それに対応する処理を実行する方法を示します。
#include <QKeySequence>
#include <QApplication>
#include <QPushButton>
void print() {
// 印刷処理を実行
}
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
QPushButton button("Print");
button.setShortcut(QKeySequence(Qt::CTRL + Qt::Key_P)); // キーコードと修飾キーでキーシーケンスを定義
connect(&button, &QPushButton::clicked, print);
button.show();
return app.exec();
}
例 4: キーイベントの処理
この例では、キーイベントのキーシーケンスを取得し、それに対応する処理を実行する方法を示します。
#include <QKeySequence>
#include <QApplication>
#include <QLabel>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
QLabel label("Press a key combination...");
label.show();
QApplication::instance()->installEventFilter(&label);
return app.exec();
}
bool QLabel::eventFilter(QEvent *event) {
if (event->type() == QEvent::KeyPress) {
QKeyEvent *keyEvent = static_cast<QKeyEvent *>(event);
QKeySequence keySequence = keyEvent->key();
if (keySequence == QKeySequence(Qt::CTRL + Qt::Key_Q)) {
// Ctrl+Q キーが押されたらアプリケーションを終了
QApplication::quit();
return true;
} else {
// その他のキーが押されたらラベルにキーシーケンスを表示
label.setText(QString("Key sequence: ") + keySequence.toString());
return false;
}
}
return QObject::eventFilter(event);
}
例 5: キーシーケンスの比較
この例では、2つのキーシーケンスが一致するかどうかを判定する方法を示します。
#include <QKeySequence>
int main() {
QKeySequence keySequence1(Qt::CTRL + Qt::Key_P);
QKeySequence keySequence2(QKeySequence::Print); // keySequence1 と同じ
if (keySequence1.matches(keySequence2)) {
std::cout << "keySequence1 and keySequence2 are equal" << std::endl;
} else {
std::cout << "keySequence1 and keySequence2 are not equal" << std::endl;
}
return 0;
}
代替方法
以下に、QKeySequence クラスの代替方法として考えられるいくつかの方法を紹介します。
ローレベルのキーイベント処理
QKeyEvent クラスを使用して、キーイベントを直接処理することができます。 この方法は、より細かい制御が可能ですが、QKeySequence クラスよりも複雑でコード量が多くなります。
#include <QKeyEvent>
#include <QApplication>
#include <QLabel>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
QLabel label("Press a key...");
label.show();
QApplication::instance()->installEventFilter(&label);
return app.exec();
}
bool QLabel::eventFilter(QEvent *event) {
if (event->type() == QEvent::KeyPress) {
QKeyEvent *keyEvent = static_cast<QKeyEvent *>(event);
Qt::Key key = keyEvent->key();
Qt::KeyboardModifiers modifiers = keyEvent->modifiers();
if (key == Qt::Key_P && modifiers & Qt::ControlModifier) {
// Ctrl+P キーが押されたら処理を実行
// ...
return true;
} else {
// その他のキーが押されたら無視
return false;
}
}
return QObject::eventFilter(event);
}
カスタムショートカットキーシステム
独自のショートカットキーシステムを構築することもできます。 この方法は、より柔軟な制御が可能ですが、開発コストが高くなります。
サードパーティ製のライブラリ
QKeySequence クラスの機能に特化したサードパーティ製のライブラリが存在します。 これらのライブラリは、QKeySequence クラスよりも使いやすく、追加機能を提供している場合があります。
ショートカットキーを使用しない
状況によっては、ショートカットキーを使用せずに、他の方法でユーザー入力を受け付ける方が適切な場合があります。 例えば、メニューやボタンなどの GUI コンポーネントを使用することができます。
選択の指針
どの方法を選択するかは、以下の要素を考慮する必要があります。
- メンテナンス性
コードのメンテナンス性を考慮する必要があります。 複雑なコードは、後のメンテナンスが困難になる可能性があります。 - 開発コスト
カスタムショートカットキーシステムを構築したり、サードパーティ製のライブラリを使用したりするには、開発コストがかかります。 - 必要な機能
必要な機能に応じて、適切な方法を選択する必要があります。 QKeySequence クラスは、基本的なショートカットキー機能を提供しますが、より高度な機能には他の方法が必要となる場合があります。