マウスボタン離脱時のQLabel操作を極める！QLabel::mouseReleaseEvent()のすべて

QLabel::mouseReleaseEvent()は、Qt WidgetsにおけるQLabelウィジェット上でマウスボタンが離されたときに発生するイベントを処理するための仮想関数です。この関数は、マウスボタンが離されたときの位置やボタンの状態などの情報を取得し、それに応じた処理を実行するために使用されます。

使用方法

QLabel::mouseReleaseEvent()関数は、QLabelクラスを継承した派生クラスで再実装する必要があります。再実装時には、QMouseEvent*型のポインタを引数として受け取り、このイベントに関する情報にアクセスすることができます。

イベント情報の取得

QMouseEvent*型のポインタには、以下の情報が含まれています。

マウスボタンが押されたときの修飾キーの状態: modifiers() メソッドで取得
マウスボタンが押されたときのボタンの状態: buttons() メソッドで取得
マウスボタンが押された位置: localPos() メソッドで取得

例

以下の例は、QLabel::mouseReleaseEvent()関数を再実装し、マウスボタンが離されたときにラベルのテキストを変更するものです。

class MyLabel : public QLabel {
public:
    MyLabel(QWidget* parent = nullptr) : QLabel(parent) {}

protected:
    void mouseReleaseEvent(QMouseEvent* event) override {
        QLabel::mouseReleaseEvent(event);

        if (event->button() == Qt::LeftButton) {
            setText("マウスボタンが離されました");
        }
    }
};

QLabel::mouseReleaseEvent()関数は、マウスボタンが押された後にのみ発生します。マウスボタンが押されていない状態でマウスを動かしても、この関数は発生しません。
QLabel::mouseReleaseEvent()関数は、マウスボタンがQLabelウィジェット上で離された場合にのみ発生します。他のウィジェット上でマウスボタンが離された場合は、この関数は発生しません。

#include <QApplication>
#include <QLabel>

class MyLabel : public QLabel {
public:
    MyLabel(QWidget* parent = nullptr) : QLabel(parent) {}

protected:
    void mouseReleaseEvent(QMouseEvent* event) override {
        QLabel::mouseReleaseEvent(event);

        if (event->button() == Qt::LeftButton) {
            if (text() == "マウスボタンが離されました") {
                setText("元のテキストに戻ります");
                setStyleSheet("background-color: white;");
            } else {
                setText("マウスボタンが離されました");
                setStyleSheet("background-color: yellow;");
            }
        }
    }
};

int main(int argc, char* argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    MyLabel label;
    label.setText("元のテキスト");
    label.setFixedSize(200, 100);
    label.setAlignment(Qt::AlignCenter);

    label.show();

    return app.exec();
}

MyLabel クラスを定義します。このクラスは QLabel クラスを継承しており、mouseReleaseEvent() 関数を再実装しています。
mouseReleaseEvent() 関数内で、マウスボタンが左ボタンであることを確認します。
ラベルのテキストが "マウスボタンが離されました" である場合は、テキストを "元のテキスト" に戻し、背景色を白に設定します。
ラベルのテキストが "元のテキスト" である場合は、テキストを "マウスボタンが離されました" に変更し、背景色を黄色に設定します。
main() 関数内で、MyLabel オブジェクトを作成し、テキストとサイズを設定します。
ラベルを表示し、アプリケーションを実行します。

QLabel::mouseReleaseEvent() は、マウスボタンが QLabel ウィジェット上で離されたときに発生するイベントを処理するための仮想関数です。しかし、状況によっては、この関数を用いるよりも他の方法の方が適している場合があります。

代替方法

QLabel::mouseReleaseEvent() の代替方法として、以下の方法が考えられます。

QObject::signalsAndSlots メカニズムを使用する

QObject::signalsAndSlots メカニズムを使用すると、マウスボタンが離されたときにシグナルを発行し、そのシグナルを別のスロットに接続することができます。この方法の利点は、QLabel::mouseReleaseEvent() 関数を再実装する必要がないことです。

class MyLabel : public QLabel {
public:
    signals:
        void mouseReleased();

public:
    MyLabel(QWidget* parent = nullptr) : QLabel(parent) {}

protected:
    void mouseReleaseEvent(QMouseEvent* event) override {
        QLabel::mouseReleaseEvent(event);

        emit mouseReleased();
    }
};

int main(int argc, char* argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    MyLabel label;
    label.setText("元のテキスト");
    label.setFixedSize(200, 100);
    label.setAlignment(Qt::AlignCenter);

    QObject* receiver = new QObject;
    QObject::connect(&label, &MyLabel::mouseReleased, receiver, &QObject::SLOT(onLabelMouseReleased));

    label.show();

    return app.exec();
}

void QObject::onLabelMouseReleased() {
    // ラベルがクリックされたときの処理を記述
}

QAbstractButton::clicked() シグナルを使用する

QAbstractButton クラスは、QLabel クラスを含む多くの Qt ウィジェットの基底クラスです。QAbstractButton クラスには、clicked() というシグナルがあり、このシグナルはボタンがクリックされたときに発行されます。マウスボタンが離されたときもボタンがクリックされたとみなされるため、このシグナルを使用することができます。

class MyLabel : public QLabel {
public:
    signals:
        void clicked();

public:
    MyLabel(QWidget* parent = nullptr) : QLabel(parent) {}

protected:
    void mousePressEvent(QMouseEvent* event) override {
        QLabel::mousePressEvent(event);

        lastMousePressPos = event->pos();
    }

    void mouseReleaseEvent(QMouseEvent* event) override {
        QLabel::mouseReleaseEvent(event);

        if (event->pos() == lastMousePressPos) {
            emit clicked();
        }
    }
};

int main(int argc, char* argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    MyLabel label;
    label.setText("元のテキスト");
    label.setFixedSize(200, 100);
    label.setAlignment(Qt::AlignCenter);

    QObject* receiver = new QObject;
    QObject::connect(&label, &MyLabel::clicked, receiver, &QObject::SLOT(onLabelClicked));

    label.show();

    return app.exec();
}

void QObject::onLabelClicked() {
    // ラベルがクリックされたときの処理を記述
}

方法	利点	欠点
`QLabel::mouseReleaseEvent()`	柔軟性が高い	再実装が必要
`QObject::signalsAndSlots` メカニズム	再実装が不要	複雑になる可能性がある
`QAbstractButton::clicked()` シグナル	シンプル	ボタンとして扱う必要がある