Qt GUIでOpenGL描画をもっとスムーズに!glDrawArraysIndirectで描画コマンドを最適化


QOpenGLExtraFunctions::glDrawArraysIndirect() は、OpenGL 3.1 以降で導入された間接描画機能の一つです。この関数は、描画コマンドをバッファに格納し、そのバッファをポインタで指定することで、描画処理を効率的に実行することができます。

従来の描画コマンドでは、個々の描画コマンドを直接 CPU から GPU に送信していました。しかし、描画コマンドの数が多い場合や複雑な描画処理を行う場合、この方法は CPU 負荷が高くなり、パフォーマンスが低下する可能性がありました。

一方、glDrawArraysIndirect() を使用すると、描画コマンドをバッファに格納し、そのバッファをポインタで指定することで、描画処理を効率的に実行することができます。これにより、CPU 負荷を軽減し、パフォーマンスを向上させることができます。

利点

glDrawArraysIndirect() を使用することの主な利点は次のとおりです。

  • 描画処理の柔軟性の向上: 描画コマンドをバッファに格納することで、描画処理をより柔軟に制御することができます。
  • パフォーマンスの向上: CPU 負荷が軽減されることで、描画処理のパフォーマンスが向上します。
  • CPU 負荷の軽減: 描画コマンドをバッファに格納することで、CPU から GPU に送信するデータ量を削減することができます。

使い方

glDrawArraysIndirect() を使用するには、次の手順を実行する必要があります。

  1. 描画コマンドをバッファに格納します。
  2. バッファをポインタで指定します。
  3. glDrawArraysIndirect() 関数を呼び出します。

// 描画コマンドを格納するバッファを作成します。
GLuint buffer;
glGenBuffers(1, &buffer);
glBindBuffer(GL_ARRAY_BUFFER, buffer);
glBufferData(GL_ARRAY_BUFFER, sizeof(drawCommands), drawCommands, GL_STATIC_DRAW);

// バッファをポインタで指定します。
GLintptr offset = 0;

// glDrawArraysIndirect() 関数を呼び出します。
glDrawArraysIndirect(GL_TRIANGLES, offset, sizeof(drawCommands) / sizeof(DrawCommand));

注意事項

glDrawArraysIndirect() を使用するには、OpenGL 3.1 以降のバージョンを使用する必要があります。また、バッファが有効な OpenGL バッファオブジェクトであることを確認する必要があります。



コード

#include <QApplication>
#include <QGLWidget>

class GLWidget : public QGLWidget {
public:
    GLWidget(QWidget *parent = 0);

protected:
    void initializeGL();
    void paintGL();

private:
    GLuint buffer;
    DrawCommand drawCommands[3];
};

GLWidget::GLWidget(QWidget *parent) : QGLWidget(parent) {
}

void GLWidget::initializeGL() {
    // 描画コマンドを格納するバッファを作成します。
    glGenBuffers(1, &buffer);
    glBindBuffer(GL_ARRAY_BUFFER, buffer);

    // 描画コマンドを初期化します。
    drawCommands[0].count = 3;
    drawCommands[0].instanceCount = 1;
    drawCommands[0].firstIndex = 0;
    drawCommands[0].baseVertex = 0;
    drawCommands[0].baseInstance = 0;
    drawCommands[0].mode = GL_TRIANGLES;

    // バッファに描画コマンドを格納します。
    glBufferData(GL_ARRAY_BUFFER, sizeof(drawCommands), drawCommands, GL_STATIC_DRAW);
}

void GLWidget::paintGL() {
    // バッファをポインタで指定します。
    GLintptr offset = 0;

    // glDrawArraysIndirect() 関数を呼び出します。
    glDrawArraysIndirect(GL_TRIANGLES, offset, sizeof(drawCommands) / sizeof(DrawCommand));
}

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    GLWidget widget;
    widget.show();

    return app.exec();
}

説明

このコードは以下の手順を実行します。

  1. GLWidget クラスを定義します。このクラスは、OpenGL コンテキストと描画処理を行うためのメソッドを提供します。
  2. initializeGL() メソッドを定義します。このメソッドは、描画コマンドを格納するバッファを作成し、描画コマンドを初期化します。
  3. paintGL() メソッドを定義します。このメソッドは、バッファをポインタで指定し、glDrawArraysIndirect() 関数を呼び出して三角形を描画します。
  4. main() 関数を定義します。この関数は、QApplication オブジェクトを作成し、GLWidget ウィジェットを作成して表示します。

実行方法

このコードを実行するには、次の手順を実行する必要があります。

  1. Qt Creator などの Qt 開発環境をインストールします。
  2. 上記のコードを Qt プロジェクトに保存します。
  3. プロジェクトをビルドして実行します。


そこで、ここでは glDrawArraysIndirect() の代替となる方法をいくつか紹介します。

glDrawArrays()

glDrawArrays() は、間接描画機能を使用せずに描画コマンドを直接 CPU から GPU に送信する伝統的な方法です。この方法は、glDrawArraysIndirect() よりもシンプルで、すべての OpenGL バージョンで使用できます。

glMultiDrawArrays()

glDrawElements()

glDrawElements() は、インデックス配列を使用して描画する関数です。この関数は、複雑な描画処理を行う場合に役立ちます。

glDrawElementsIndirect()

glDrawElementsIndirect() は、間接描画機能を使用してインデックス配列で描画する関数です。この関数は、glDrawElements() よりも効率的で、描画コマンドの数が多い場合に役立ちます。

Vertex Buffer Objects (VBOs)

VBOs は、描画データを GPU メモリに格納するオブジェクトです。VBOs を使用すると、CPU から GPU に送信するデータ量を削減し、描画処理のパフォーマンスを向上させることができます。

Vertex Array Objects (VAOs)

選択

どの代替方法を選択するかは、描画処理の要件によって異なります。

  • 描画処理のパフォーマンスを向上させるためには、VBOs と VAOs を併用することを検討する必要があります。
  • 複雑な描画処理を行う場合は、glDrawElements() または glDrawElementsIndirect() を使用すると適しています。
  • 描画コマンドの数が多い場合は、glMultiDrawArrays() または glDrawArraysIndirect() を使用すると効率的です。
  • シンプルで汎用性の高い方法は glDrawArrays() です。