Qt GUIにおけるデバッガの使い分け:QOpenGLExtraFunctions::glDebugMessageControl() とその代替方法
QOpenGLExtraFunctions::glDebugMessageControl()
は、OpenGL ES 3.x、OpenGL 3.x、または OpenGL 4.x コンテキストで使用される関数で、デバッグメッセージの制御を行います。この関数は、特定のソース、タイプ、および重大度を持つデバッグメッセージを出力するかどうかを指定するために使用されます。
詳細
この関数のプロトタイプは以下の通りです。
void QOpenGLExtraFunctions::glDebugMessageControl(GLenum source, GLenum type, GLenum severity, GLsizei count, const GLuint *ids, GLboolean enabled);
各パラメータの意味は以下の通りです。
enabled
: デバッグメッセージの出力可否を指定します。GL_TRUE
の場合、指定された条件に一致するデバッグメッセージが出力されます。GL_FALSE
の場合、出力されません。ids
: デバッグメッセージの ID を配列で指定します。count
: デバッグメッセージの ID 数を指定します。severity
: デバッグメッセージの重大度を指定します。可能な値は次のとおりです。GL_DEBUG_SEVERITY_HIGH
: 高GL_DEBUG_SEVERITY_MEDIUM
: 中GL_DEBUG_SEVERITY_LOW
: 低GL_DEBUG_SEVERITY_NOTIFICATION
: 通知
例
以下の例では、すべてのソース、タイプ、および重大度のデバッグメッセージを出力します。
QOpenGLExtraFunctions *functions = QOpenGLContext::current()->functions();
functions->glDebugMessageControl(GL_DEBUG_SOURCE_ALL_SOURCES, GL_DEBUG_TYPE_ALL_TYPES, GL_DEBUG_SEVERITY_ALL_SEVERITIES, 0, nullptr, GL_TRUE);
- デバッグメッセージは、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。デバッグが必要ない場合は、デバッグメッセージを出力しないように設定することをお勧めします。
- この関数は、デバッグメッセージを出力するかどうかを制御するだけです。デバッグメッセージの内容を変更することはできません。
- この関数は、OpenGL ES 3.x、OpenGL 3.x、または OpenGL 4.x コンテキストでのみ使用できます。
コード
#include <QCoreApplication>
#include <QOpenGLContext>
#include <QOpenGLFunctions>
#include <stdio.h>
void debugMessageCallback(GLenum source, GLenum type, GLenum severity, GLsizei count, const GLuint *ids, const GLchar *message)
{
printf("Source: %d\n", source);
printf("Type: %d\n", type);
printf("Severity: %d\n", severity);
printf("Count: %d\n", count);
for (int i = 0; i < count; ++i) {
printf("ID: %d\n", ids[i]);
}
printf("Message: %s\n\n", message);
}
int main(int argc, char *argv[])
{
QCoreApplication app(argc, argv);
QOpenGLContext context;
context.create();
context.makeCurrent();
QOpenGLFunctions *functions = context.functions();
// デバッグメッセージの出力可否をすべて True に設定
functions->glDebugMessageControl(GL_DEBUG_SOURCE_ALL_SOURCES, GL_DEBUG_TYPE_ALL_TYPES, GL_DEBUG_SEVERITY_ALL_SEVERITIES, 0, nullptr, GL_TRUE);
// デバッグメッセージのコールバック関数を設定
functions->glDebugMessageCallback(&debugMessageCallback, nullptr);
// OpenGL の描画処理を行う
// コンテキストを解放
context.doneCurrent();
context.destroy();
return 0;
}
説明
このコードは、以下の手順を実行します。
QCoreApplication
オブジェクトを作成します。QOpenGLContext
オブジェクトを作成し、カレントコンテキストとして設定します。QOpenGLFunctions
オブジェクトを取得します。glDebugMessageControl()
関数を呼び出し、すべてのソース、タイプ、および重大度のデバッグメッセージを出力するように設定します。glDebugMessageCallback()
関数を呼び出し、デバッグメッセージのコールバック関数を設定します。- OpenGL の描画処理を行います。
- コンテキストを解放します。
デバッグメッセージの表示
上記のコードを実行すると、デバッグメッセージがコンソールに出力されます。デバッグメッセージには、ソース、タイプ、重大度、ID、およびメッセージの内容が含まれています。
- デバッグメッセージは、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。デバッグが必要ない場合は、デバッグメッセージを出力しないように設定することをお勧めします。
- このコードは、OpenGL ES 3.x、OpenGL 3.x、または OpenGL 4.x コンテキストでのみ使用できます。
QOpenGLExtraFunctions::glDebugMessageControl()
は、OpenGL ES 3.x、OpenGL 3.x、または OpenGL 4.x コンテキストで使用される関数で、デバッグメッセージの制御を行います。しかし、この関数は、以下の理由で代替を検討する必要があります。
- パフォーマンスへの影響
デバッグメッセージの出力は、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。 - 複雑な設定が必要
すべてのソース、タイプ、および重大度を個別に設定する必要があります。 - すべてのバージョンで利用可能ではない
OpenGL ES 2.0 などの古いバージョンでは利用できません。
代替方法
QOpenGLExtraFunctions::glDebugMessageControl()
の代替方法として、以下の方法が考えられます。
OpenGL デバッガを使用する
OpenGL デバッガは、デバッグメッセージの出力だけでなく、デバッグ情報の可視化、ブレークポイントの設定、ステップ実行などの機能を提供します。代表的な OpenGL デバッガは以下の通りです。
プラットフォーム固有のデバッグ機能を使用する
一部のプラットフォームでは、OpenGL デバッガとは別に、デバッグメッセージの出力機能を提供しています。例えば、Windows では glDebugOutput
関数、macOS では GLContextSetDebugProc
関数を使用できます。
カスタムデバッグメッセージを実装する
独自のデバッグメッセージを実装することで、より詳細な情報を取得したり、パフォーマンスへの影響を最小限に抑えたりすることができます。
各方法の詳細
OpenGL デバッガ
OpenGL デバッガは、デバッグメッセージの出力だけでなく、デバッグ情報の可視化、ブレークポイントの設定、ステップ実行などの機能を提供します。これらの機能は、複雑な OpenGL アプリケーションのデバッグに役立ちます。
プラットフォーム固有のデバッグ機能
プラットフォーム固有のデバッグ機能は、OpenGL デバッガよりも軽量で、パフォーマンスへの影響が少ない場合があります。しかし、OpenGL デバッガほど機能が豊富ではない場合があります。
カスタムデバッグメッセージ
カスタムデバッグメッセージは、最も柔軟性の高い方法ですが、最も複雑な方法でもあります。独自のデバッグメッセージを実装するには、OpenGL の内部動作に関する深い知識が必要です。
最適な方法の選択
最適な方法は、アプリケーションのニーズと要件によって異なります。複雑な OpenGL アプリケーションをデバッグする場合は、OpenGL デバッガを使用するのが最善の方法です。パフォーマンスが重要な場合は、プラットフォーム固有のデバッグ機能を使用するか、カスタムデバッグメッセージを実装することを検討する必要があります。