Qt GUIにおけるOpenGLテクスチャ画像転送:QOpenGLExtraFunctions::glCopyImageSubData() 関数徹底解説


このチュートリアルでは、QOpenGLExtraFunctions::glCopyImageSubData() 関数の詳細な説明と、Qt GUI プログラミングにおける使用方法について解説します。

void QOpenGLExtraFunctions::glCopyImageSubData(
    GLuint srcName,
    GLenum srcImageFormat,
    GLint srcLevel,
    GLint srcX,
    GLint srcY,
    GLint srcWidth,
    GLint srcHeight,
    GLuint dstName,
    GLenum dstImageFormat,
    GLint dstLevel,
    GLint dstX,
    GLint dstY,
    GLint dstWidth,
    GLint dstHeight
);

引数

  • dstWidth, dstHeight: コピー先画像の幅と高さ
  • dstX, dstY: コピー先画像の左下隅の座標
  • dstLevel: コピー先テクスチャミップマップレベル
  • dstImageFormat: コピー先テクスチャ画像のフォーマット
  • dstName: コピー先のテクスチャオブジェクトの名前
  • srcWidth, srcHeight: ソース画像の幅と高さ
  • srcX, srcY: ソース画像の左下隅の座標
  • srcLevel: ソーステクスチャミップマップレベル
  • srcImageFormat: ソーステクスチャ画像のフォーマット
  • srcName: ソーステクスチャオブジェクトの名前

動作

この関数は、ソーステクスチャ画像の一部を、指定されたフォーマットとサイズで、コピー先テクスチャ画像にコピーします。ソースとコピー先のテクスチャは、異なるフォーマットとサイズを持つことができますが、フォーマットは互換性がある必要があります。

フォーマットの互換性

フォーマットの互換性は、以下の条件を満たす場合に保証されます。

  • 両方のフォーマットが、同じビット深度を持つこと (例: 8 ビット、16 ビット)
  • 両方のフォーマットが、同じデータ型を持つこと (例: unsigned byte、float)
  • 両方のフォーマットが、同じ色の構成要素を持つこと (例: RGB、RGBA)

フォーマットが互換性がない場合、glCopyImageSubData() 関数はエラーを生成します。

// ソーステクスチャとコピー先テクスチャを作成します。
GLuint srcTexture, dstTexture;
glGenTextures(2, &srcTexture, &dstTexture);

// ソーステクスチャに画像データをロードします。
...

// コピー先テクスチャのフォーマットとサイズを設定します。
glTexImage2D(GL_TEXTURE_2D, 0, GL_RGBA8, dstWidth, dstHeight, 0,
            GL_RGBA, GL_UNSIGNED_BYTE, nullptr);

// ソーステクスチャ画像の一部をコピー先テクスチャにコピーします。
QOpenGLExtraFunctions *funcs = QOpenGLContext::current()->extraFunctions();
funcs->glCopyImageSubData(srcTexture, GL_RGBA8, 0, 0, 0,
                          srcWidth, srcHeight, dstTexture, GL_RGBA8, 0,
                          0, 0, dstWidth, dstHeight);

この例では、ソーステクスチャ画像の一部が、同じフォーマットとサイズを持つコピー先テクスチャにコピーされます。

QOpenGLExtraFunctions::glCopyImageSubData() 関数は、Qt GUI プログラミングにおいて、異なるテクスチャ間で効率的に画像データを転送する際に役立ちます。この関数を使用する際は、フォーマットの互換性に関する注意事項を理解しておくことが重要です。

  • この関数は、テクスチャオブジェクトがバインドされていることを前提としています。テクスチャオブジェクトをバインドしていない場合は、最初に glBindTexture() 関数を使用してバインドする必要があります。
  • QOpenGLExtraFunctions::glCopyImageSubData() 関数は、OpenGL 4.3 以降でのみ使用できます。古いバージョンの OpenGL を使用している場合は、代わりに glCopyTexSubImage2D() 関数を使用する必要があります。


#include <QOpenGLContext>
#include <QOpenGLFunctions>

// ...

// ソーステクスチャとコピー先テクスチャを作成します。
GLuint srcTexture, dstTexture;
glGenTextures(2, &srcTexture, &dstTexture);

// ソーステクスチャに画像データをロードします。
// ...

// コピー先テクスチャのフォーマットとサイズを設定します。
glTexImage2D(GL_TEXTURE_2D, 0, GL_RGBA8, dstWidth, dstHeight, 0,
            GL_RGBA, GL_UNSIGNED_BYTE, nullptr);

// ソーステクスチャ画像の一部をコピー先テクスチャにコピーします。
QOpenGLContext::current()->makeCurrent();
QOpenGLFunctions *funcs = QOpenGLContext::current()->extraFunctions();
funcs->glCopyImageSubData(srcTexture, GL_RGBA8, 0, 0, 0,
                          srcWidth, srcHeight, dstTexture, GL_RGBA8, 0,
                          0, 0, dstWidth, dstHeight);

// ...
  1. #include <QOpenGLContext>#include <QOpenGLFunctions> ヘッダーファイルをインクルードします。これらのヘッダーファイルは、Qt GUI プログラミングにおける OpenGL API 関数へのアクセスを提供します。
  2. GLuint srcTexture, dstTexture; 変数を宣言します。これらの変数は、ソーステクスチャとコピー先テクスチャの OpenGL テクスチャオブジェクト識別子 (ID) を格納するために使用されます。
  3. glGenTextures(2, &srcTexture, &dstTexture); 関数を使用して、2 つの新しい OpenGL テクスチャオブジェクトを作成します。
  4. ソーステクスチャに画像データをロードします。画像データのロード方法は、使用している画像フォーマットと画像読み込みライブラリによって異なります。
  5. glTexImage2D(GL_TEXTURE_2D, 0, GL_RGBA8, dstWidth, dstHeight, 0, GL_RGBA, GL_UNSIGNED_BYTE, nullptr); 関数を使用して、コピー先テクスチャのフォーマットとサイズを設定します。この例では、フォーマットは GL_RGBA8 (8 ビットの RGBA データ) で、サイズは dstWidth x dstHeight ピクセルです。
  6. QOpenGLContext::current()->makeCurrent(); 関数を使用して、現在の OpenGL コンテキストをアクティブにします。
  7. QOpenGLFunctions *funcs = QOpenGLContext::current()->extraFunctions(); 関数を使用して、現在の OpenGL コンテキストに関連付けられた OpenGL 関数ポインタを取得します。
  8. funcs->glCopyImageSubData(srcTexture, GL_RGBA8, 0, 0, 0, srcWidth, srcHeight, dstTexture, GL_RGBA8, 0, 0, 0, dstWidth, dstHeight); 関数を使用して、ソーステクスチャ画像の一部をコピー先テクスチャにコピーします。この例では、ソース画像の左下隅から srcWidth x srcHeight ピクセルの領域が、コピー先画像の左下隅にコピーされます。


代替方法

  • フレームバッファオブジェクト (FBO) を使用した方法

    この方法は、より複雑ですが、より柔軟性とパフォーマンスを提供します。

    // FBO とレンダバッファを作成します。
    GLuint fbo, colorBuffer;
    glGenFramebuffers(1, &fbo);
    glGenRenderbuffers(1, &colorBuffer);
    
    // FBO をバインドします。
    glBindFramebuffer(GL_FRAMEBUFFER, fbo);
    
    // カラーバッファを FBO にアタッチします。
    glFramebufferRenderbuffer(GL_FRAMEBUFFER, GL_COLOR_ATTACHMENT0,
                             GL_RENDERBUFFER, colorBuffer);
    
    // ソーステクスチャを FBO に描画します。
    glDrawBuffer(GL_COLOR_ATTACHMENT0);
    ... // ソーステクスチャを描画するコード
    
    // コピー先テクスチャに FBO から読み取ります。
    glReadPixels(0, 0, dstWidth, dstHeight, GL_RGBA, GL_UNSIGNED_BYTE, pixels);
    
    // FBO をアンバインドします。
    glBindFramebuffer(GL_FRAMEBUFFER, 0);
    
    // コピー先テクスチャに画像データを書き込みます。
    glTexSubImage2D(GL_TEXTURE_2D, 0, 0, 0, dstWidth, dstHeight, GL_RGBA,
                   GL_UNSIGNED_BYTE, pixels);
    
    delete[] pixels;
    
  • glReadPixels() と glTexSubImage2D() 関数

    この方法は、古いバージョンの OpenGL で使用できますが、glCopyImageSubData() 関数よりも非効率的です。

    // ソーステクスチャから画像データを読み取ります。
    GLint width, height;
    glGetTexLevelParameteriv(GL_TEXTURE_2D, 0, GL_TEXTURE_WIDTH, &width);
    glGetTexLevelParameteriv(GL_TEXTURE_2D, 0, GL_TEXTURE_HEIGHT, &height);
    GLubyte *pixels = new GLubyte[width * height * 4];
    glReadPixels(0, 0, width, height, GL_RGBA, GL_UNSIGNED_BYTE, pixels);
    
    // コピー先テクスチャに画像データを書き込みます。
    glTexSubImage2D(GL_TEXTURE_2D, 0, 0, 0, width, height, GL_RGBA,
                   GL_UNSIGNED_BYTE, pixels);
    
    delete[] pixels;
    

それぞれの方法の比較

方法利点欠点
glCopyImageSubData()効率的、シンプルOpenGL 4.3 以降でのみ使用可能
glReadPixels()glTexSubImage2D()古いバージョンの OpenGL で使用可能非効率的
FBO を使用した方法柔軟性とパフォーマンスが高い複雑

最適な方法は、ニーズと使用している OpenGL のバージョンによって異なります。

  • より柔軟性とパフォーマンスが必要な場合は、FBO を使用した方法を検討してください。
  • 古いバージョンの OpenGL を使用している場合は、glReadPixels()glTexSubImage2D() 関数を使用する必要があります。
  • 最新の OpenGL バージョンを使用している場合は、glCopyImageSubData() 関数が最良の選択肢です。