【初心者向け】C++ でオブジェクトを確実に解放する方法:QValidator のデストラクタを解説
QValidator::~QValidator()
は、Qt GUIにおける入力検証クラスQValidator
のデストラクタ関数です。この関数は、QValidator
オブジェクトが破棄されるときに自動的に呼び出され、オブジェクトが占有していたメモリなどのリソースを解放します。
機能
QValidator::~QValidator()
は以下の機能を主に担っています。
- メモリ解放
QValidator
オブジェクトが使用していたメモリを解放します。これにより、メモリリークを防ぎ、システムリソースを効率的に利用することができます。 - オブジェクトの破棄
QValidator
オブジェクトを完全に破棄します。破棄されたオブジェクトは、もはや使用できなくなります。
注意点
QValidator::~QValidator()
は、明示的に呼び出す必要はありません。オブジェクトが破棄されるときに自動的に呼び出されます。
QValidator::~QValidator()
は、オブジェクトが所有する他のオブジェクトも破棄します。QValidator::~QValidator()
は仮想関数であり、派生クラスでオーバーライドすることができます。オーバーライドする場合は、基底クラスのデストラクタを呼び出すことを忘れずに実装する必要があります。
class MyValidator : public QValidator
{
public:
~MyValidator() override
{
// メモリ解放処理
// ...
// 所有する他のオブジェクトの破棄
delete myObject;
}
private:
QObject* myObject;
};
例1:基本的な使用例
この例では、QValidator
オブジェクトを作成し、破棄します。
#include <QApplication>
#include <QLineEdit>
#include <QValidator>
int main(int argc, char *argv[])
{
QApplication app(argc, argv);
// QLineEditを作成
QLineEdit lineEdit;
// QValidatorを作成
QValidator *validator = new QValidator;
// QLineEditにQValidatorを設定
lineEdit.setValidator(validator);
// ウィジェットを表示
lineEdit.show();
// イベントループを実行
return app.exec();
}
例2:派生クラスでのオーバーライド
この例では、QValidator
を派生したクラスを作成し、~QValidator()
をオーバーライドします。オーバーライドされた~QValidator()
では、メモリ解放処理と所有する他のオブジェクトの破棄処理を追加します。
#include <QApplication>
#include <QLineEdit>
#include <QValidator>
class MyValidator : public QValidator
{
public:
MyValidator()
{
// コンストラクタ処理
// ...
}
~MyValidator() override
{
// メモリ解放処理
// ...
// 所有する他のオブジェクトの破棄
delete myObject;
}
private:
QObject* myObject;
};
int main(int argc, char *argv[])
{
QApplication app(argc, argv);
// QLineEditを作成
QLineEdit lineEdit;
// MyValidatorを作成
MyValidator *validator = new MyValidator;
// QLineEditにMyValidatorを設定
lineEdit.setValidator(validator);
// ウィジェットを表示
lineEdit.show();
// イベントループを実行
return app.exec();
}
説明
- 例2では、
MyValidator
というQValidator
を派生したクラスを作成しています。MyValidator
クラスは、~QValidator()
をオーバーライドしており、メモリ解放処理と所有する他のオブジェクトの破棄処理を追加しています。main()
関数では、MyValidator
オブジェクトを作成し、lineEdit
に設定しています。 - 例1では、
QValidator
オブジェクトを作成し、lineEdit
に設定しています。その後、アプリケーションを実行しています。
これらの例は、QValidator::~QValidator()
の基本的な使用方法を示しています。具体的な使用方法については、開発しているアプリケーションの要件に合わせて調整する必要があります。
- 上記の例は、Qt 6を使用しています。他の Qt バージョンを使用している場合は、コードを適宜修正する必要があります。
しかし、状況によっては、QValidator::~QValidator()
を明示的に呼び出す必要がない場合もあります。そのような場合は、以下の代替方法を検討することができます。
スマートポインタを使用する
スマートポインタは、オブジェクトのポインタを自動的に管理する C++ テンプレートクラスです。スマートポインタを使用すると、オブジェクトが不要になったときに自動的に破棄されるため、QValidator::~QValidator()
を明示的に呼び出す必要がなくなります。
例:
std::unique_ptr<QValidator> validator(new QValidator);
// ...
// オブジェクトが不要になったら
validator.reset();
RAII を使用する
RAII(Resource Acquisition Is Initialization)は、オブジェクトが作成されたときにリソースを取得し、破棄されるときにリソースを解放する C++ のプログラミングテクニックです。RAII を使用すると、オブジェクトのスコープに沿ってリソースが自動的に管理されるため、QValidator::~QValidator()
を明示的に呼び出す必要がなくなります。
class MyValidatorScopeGuard
{
public:
MyValidatorScopeGuard(QValidator* validator) : validator_(validator) {}
~MyValidatorScopeGuard()
{
delete validator_;
}
private:
QValidator* validator_;
};
// ...
{
MyValidatorScopeGuard guard(new QValidator);
// ...
// オブジェクトが不要になったら
}
所有権を別のオブジェクトに移行する
QValidator
オブジェクトの所有権を別のオブジェクトに移行することもできます。別のオブジェクトが QValidator
オブジェクトを所有している場合、そのオブジェクトが破棄されるときに QValidator
オブジェクトも破棄されます。
class MyWidget : public QWidget
{
public:
MyWidget()
{
validator_ = new QValidator;
}
~MyWidget()
{
delete validator_;
}
private:
QValidator* validator_;
};
// ...
MyWidget* widget = new MyWidget;
// ...
// widget が不要になったら
delete widget;
カスタムデストラクタを実装する
状況によっては、上記の代替方法が適切ではない場合があります。そのような場合は、QValidator
の派生クラスを作成し、カスタムデストラクタを実装することができます。カスタムデストラクタでは、必要な処理を実行してから、基底クラスのデストラクタを呼び出すようにする必要があります。
class MyValidator : public QValidator
{
public:
~MyValidator() override
{
// カスタム処理
// ...
// 基底クラスのデストラクタを呼び出す
QValidator::~QValidator();
}
};