OpenGLプログラミングの達人になるための指南書!Qt GUI開発におけるQOpenGLContext::functions()の応用例集


QOpenGLContext::functions() 関数は、現在の OpenGL コンテキストに関連する OpenGL 関数のポインターを取得するためのものです。これらのポインターは、OpenGL API 関数を直接呼び出すために使用できます。

構文

QOpenGLFunctions *QOpenGLContext::functions() const;

戻り値

現在の OpenGL コンテキストに関連する QOpenGLFunctions オブジェクトへのポインター。コンテキストまたは共有コンテキストが現在のコンテキストでない場合、またはコンテキストが無効な場合は、nullptr が返されます。

詳細

QOpenGLContext::functions() 関数は、現在の OpenGL コンテキストに関連する OpenGL 関数のポインターを返す QOpenGLFunctions オブジェクトを作成します。このオブジェクトは、OpenGL API 関数を直接呼び出すために使用できます。

QOpenGLFunctions オブジェクトは、OpenGL API 関数のプロトタイプとポインターを提供する一連のメンバー関数とメソッドを備えています。これらの関数は、OpenGL バージョンと現在のコンテキストによって決定される特定のバージョンの OpenGL 関数のポインターを返します。

次の例は、QOpenGLContext::functions() 関数を使用して glClearColor() 関数のポインターを取得し、そのポインターを使用してウィンドウの色を赤色に設定する方法を示しています。

void MyWidget::initializeGL()
{
    // OpenGL コンテキストを現在のコンテキストにする
    makeCurrent();

    // QOpenGLFunctions オブジェクトを取得する
    QOpenGLFunctions *functions = functions();

    // glClearColor() 関数のポインターを取得する
    void (*glClearColorPtr)(GLfloat, GLfloat, GLfloat, GLfloat) = functions->glClearColor;

    // ウィンドウの色を赤色に設定する
    glClearColorPtr(1.0f, 0.0f, 0.0f, 1.0f);
}

注意事項

QOpenGLContext::functions() 関数は、現在の OpenGL コンテキストが現在のコンテキストでない場合、またはコンテキストが無効な場合は nullptr を返します。このような場合、OpenGL API 関数を呼び出す前に、functions() 関数の戻り値をチェックする必要があります。

また、QOpenGLFunctions オブジェクトは、OpenGL バージョンと現在のコンテキストによって決定される特定のバージョンの OpenGL 関数のポインターを返します。異なる OpenGL バージョンで異なる API 関数の名前またはプロトタイプがある場合、適切なバージョンの関数を呼び出すために、QOpenGLFunctions オブジェクトのバージョン情報を使用する必要があります。

  • QOpenGLContext::functions() 関数は、Qt 5.6 以降で使用できます。

QOpenGLContext::functions() 関数は、Qt GUI アプリケーションで OpenGL API 関数を直接呼び出すための強力なツールです。この関数は、OpenGL コンテキストに関連する OpenGL 関数のポインターを取得し、それらのポインターを使用して OpenGL API 関数を呼び出すことができます。



例 1: ウィンドウの色を設定する

void MyWidget::initializeGL()
{
    // OpenGL コンテキストを現在のコンテキストにする
    makeCurrent();

    // QOpenGLFunctions オブジェクトを取得する
    QOpenGLFunctions *functions = functions();

    // glClearColor() 関数のポインターを取得する
    void (*glClearColorPtr)(GLfloat, GLfloat, GLfloat, GLfloat) = functions->glClearColor;

    // ウィンドウの色を赤色に設定する
    glClearColorPtr(1.0f, 0.0f, 0.0f, 1.0f);
}

例 2: 三角形を描画する

この例では、QOpenGLContext::functions() 関数を使用して glVertex3fv() 関数のポインターを取得し、そのポインターを使用して三角形を描画します。

void MyWidget::paintGL()
{
    // OpenGL コンテキストを現在のコンテキストにする
    makeCurrent();

    // QOpenGLFunctions オブジェクトを取得する
    QOpenGLFunctions *functions = functions();

    // glVertex3fv() 関数のポインターを取得する
    void (*glVertex3fvPtr)(const GLfloat *) = functions->glVertex3fv;

    // 三角形の頂点座標を定義する
    GLfloat vertices[] = {
        0.0f, 0.5f, 0.0f,
        -0.5f, -0.5f, 0.0f,
        0.5f, -0.5f, 0.0f
    };

    // 三角形を描画する
    glVertex3fvPtr(vertices);
}

これらの例は、QOpenGLContext::functions() 関数の基本的な使用方法を示すものです。この関数は、OpenGL API 関数を直接呼び出すためのより複雑なシナリオに使用することもできます。

  • これらの例は、Qt Creator と OpenGL ライブラリをインストールしたシステムでコンパイルして実行できます。


  • 関数は、OpenGL バージョンと現在のコンテキストによって決定される特定のバージョンの OpenGL 関数のポインターを返します。異なる OpenGL バージョンで異なる API 関数の名前またはプロトタイプがある場合、適切なバージョンの関数を呼び出すために、QOpenGLFunctions オブジェクトのバージョン情報を使用する必要があります。
  • 関数は、現在の OpenGL コンテキストが現在のコンテキストでない場合、またはコンテキストが無効な場合は nullptr を返します。

これらの制限を回避するために、QOpenGLContext::functions() 関数の代替方法を使用することができます。

代替方法 1: ローダー関数を使用する

OpenGL 関数のポインターを取得するもう 1 つの方法は、ローダー関数を使用することです。ローダー関数は、OpenGL バージョンと現在のコンテキストに基づいて、適切な OpenGL 関数のポインターを返します。

Qt は、QOpenGLContext::getProcAddress() 関数というローダー関数を提供しています。この関数は、OpenGL 関数の名前と、その関数のポインターを格納するためのポインターを渡します。

次の例は、QOpenGLContext::getProcAddress() 関数を使用して glClearColor() 関数のポインターを取得する方法を示しています。

void MyWidget::initializeGL()
{
    // OpenGL コンテキストを現在のコンテキストにする
    makeCurrent();

    // glClearColor() 関数のポインターを取得する
    void (*glClearColorPtr)(GLfloat, GLfloat, GLfloat, GLfloat) =
        reinterpret_cast<void (*)(GLfloat, GLfloat, GLfloat, GLfloat)>(
            getProcAddress("glClearColor")
        );

    // ウィンドウの色を赤色に設定する
    glClearColorPtr(1.0f, 0.0f, 0.0f, 1.0f);
}

代替方法 2: GL3W を使用する

GL3W は、OpenGL 関数のポインターをロードするためのオープンソース ライブラリです。GL3W は、Qt と互換性があり、QOpenGLContext::functions() 関数の代替手段として使用できます。

GL3W を使用するには、次の手順を実行する必要があります。

  1. GL3W ライブラリをダウンロードしてインストールします。
  2. GL3W ヘッダー ファイルをインクルードします。
  3. GL3W 関数を呼び出して、OpenGL 関数のポインターをロードします。

次の例は、GL3W を使用して glClearColor() 関数のポインターを取得する方法を示しています。

#include <GL3W/GL3/gl3w.h>

void MyWidget::initializeGL()
{
    // OpenGL コンテキストを現在のコンテキストにする
    makeCurrent();

    // GL3W を初期化する
    if (glewInit() != GLEW_OK) {
        // エラー処理
    }

    // glClearColor() 関数のポインターを取得する
    void (*glClearColorPtr)(GLfloat, GLfloat, GLfloat, GLfloat) = glClearColor;

    // ウィンドウの色を赤色に設定する
    glClearColorPtr(1.0f, 0.0f, 0.0f, 1.0f);
}

QOpenGLContext::functions() 関数は、現在の OpenGL コンテキストに関連する OpenGL 関数のポインターを取得するための便利な方法ですが、いくつかの制限があります。これらの制限を回避するには、ローダー関数または GL3W などの代替方法を使用することができます。