Qtヘッダーセクション操作を自由自在に！mouseReleaseEvent()を超えた高度なテクニック

QHeaderView::mouseReleaseEvent()は、Qt WidgetsにおけるQHeaderViewクラスの仮想関数であり、ヘッダーセクション上でマウスボタンが離されたときに呼び出されます。この関数は、ヘッダーセクションの選択、ソート、移動などの操作を処理するために使用されます。

引数

この関数は、QMouseEvent*型の引数eを受け取ります。この引数は、マウスイベントに関する情報を含むオブジェクトです。

処理内容

mouseReleaseEvent()関数では、以下の処理が一般的に行われます。

マウス位置の取得
e->pos()を使用して、マウスボタンが離された位置を取得します。
ヘッダーセクションのインデックスの取得
sectionAt()を使用して、マウス位置に対応するヘッダーセクションのインデックスを取得します。
ヘッダーセクションの選択
setSelected()を使用して、ヘッダーセクションが選択された状態を設定します。
ヘッダーセクションのソート
sortIndicator()を使用して、ヘッダーセクションのソートインジケータの状態を設定します。
ヘッダーセクションの移動
moveSection()を使用して、ヘッダーセクションを新しい位置に移動します。

例

void QHeaderView::mouseReleaseEvent(QMouseEvent *e)
{
    int section = sectionAt(e->pos());
    if (section != -1) {
        setSelected(section);
        sortIndicator(section, Qt::AscendingOrder);
    }
}

この例では、マウスボタンがヘッダーセクション上で離されたときに、そのセクションが選択され、昇順ソートされます。

注意事項

mouseReleaseEvent()関数内で、QAbstractItemViewクラスの他の仮想関数を呼び出す場合は、QHeaderView::mouseReleaseEvent()関数を最初に呼び出す必要があります。これは、QAbstractItemViewクラスの仮想関数がQHeaderViewクラスの仮想関数を呼び出す可能性があるためです。

void QHeaderView::mouseReleaseEvent(QMouseEvent *e)
{
    int section = sectionAt(e->pos());
    if (section != -1) {
        setSelected(section);
        sortIndicator(section, Qt::AscendingOrder);
    }
}

例2: ヘッダーセクションの移動

この例では、マウスボタンが押された状態でヘッダーセクションをドラッグすると、そのセクションが新しい位置に移動されます。

void QHeaderView::mousePressEvent(QMouseEvent *e)
{
    dragStartPos = e->pos();
    dragSection = sectionAt(e->pos());
}

void QHeaderView::mouseMoveEvent(QMouseEvent *e)
{
    if (dragSection != -1) {
        int newIndex = logicalIndexAt(e->pos());
        if (newIndex != -1) {
            moveSection(dragSection, newIndex);
        }
    }
}

void QHeaderView::mouseReleaseEvent(QMouseEvent *e)
{
    dragStartPos = QPoint();
    dragSection = -1;
}

例3: ヘッダーセクションのコンテキストメニューの表示

この例では、右クリックされたヘッダーセクションに対してコンテキストメニューが表示されます。

void QHeaderView::contextMenuEvent(QContextMenuEvent *e)
{
    int section = sectionAt(e->pos());
    if (section != -1) {
        QMenu menu(this);
        QAction *sortAscendingAction = menu.addAction(tr("Sort Ascending"));
        QAction *sortDescendingAction = menu.addAction(tr("Sort Descending"));
        menu.exec(e->globalPos());

        if (sortAscendingAction->isChecked()) {
            sortIndicator(section, Qt::AscendingOrder);
        } else if (sortDescendingAction->isChecked()) {
            sortIndicator(section, Qt::DescendingOrder);
        }
    }
}

これらの例は、QHeaderView::mouseReleaseEvent()関数を使用してヘッダーセクションの操作を行う方法を示しています。

しかし、mouseReleaseEvent()関数を使用せずに、ヘッダーセクションの操作を行うことも可能です。

代替方法

QHeaderView::sectionClicked()関数を使用する
この関数は、ヘッダーセクションがクリックされたときに呼び出されます。この関数は、ヘッダーセクションのインデックスと、マウスボタンが押されたボタンに関する情報を引数として受け取ります。この情報を使用して、ヘッダーセクションの選択、ソート、移動などの操作を行うことができます。
QHeaderView::customContextMenuRequested()関数を使用する
この関数は、ヘッダーセクション上で右クリックされたときに呼び出されます。この関数は、右クリックされたヘッダーセクションのインデックスと、マウスポインタの位置に関する情報を引数として受け取ります。この情報を使用して、ヘッダーセクションに対するコンテキストメニューを表示することができます。
QAbstractItemModelクラスのシグナルとスロットを使用する
ヘッダーセクションの操作をモデル側で処理したい場合は、QAbstractItemModelクラスのシグナルとスロットを使用することができます。例えば、ヘッダーセクションがクリックされたときに、dataChanged()シグナルをemitし、モデル側でそのシグナルを処理して、ヘッダーセクションの選択、ソート、移動などの操作を行うことができます。

例

例1: QHeaderView::sectionClicked()関数を使用する

void QHeaderView::sectionClicked(int logicalIndex)
{
    setSelected(logicalIndex);
    sortIndicator(logicalIndex, Qt::AscendingOrder);
}

例2: QHeaderView::customContextMenuRequested()関数を使用する

void QHeaderView::customContextMenuRequested(const QPoint &pos)
{
    int section = sectionAt(pos);
    if (section != -1) {
        QMenu menu(this);
        QAction *sortAscendingAction = menu.addAction(tr("Sort Ascending"));
        QAction *sortDescendingAction = menu.addAction(tr("Sort Descending"));
        menu.exec(pos);

        if (sortAscendingAction->isChecked()) {
            sortIndicator(section, Qt::AscendingOrder);
        } else if (sortDescendingAction->isChecked()) {
            sortIndicator(section, Qt::DescendingOrder);
        }
    }
}

例3: QAbstractItemModelクラスのシグナルとスロットを使用する

class MyModel : public QAbstractItemModel
{
public:
    Q_ сигналы:
        void headerSectionClicked(int logicalIndex);

public:
    slots:
        void onHeaderSectionClicked(int logicalIndex);
};

void MyModel::onHeaderSectionClicked(int logicalIndex)
{
    setSelected(logicalIndex);
    sortIndicator(logicalIndex, Qt::AscendingOrder);
}

これらの例は、mouseReleaseEvent()関数を使用せずに、ヘッダーセクションの操作を行う方法を示しています。

上記以外にも、QHeaderViewクラスの他の仮想関数や、Qt Widgetsフレームワークの他の機能を使用して、ヘッダーセクションの操作を行うことができます。

最適な方法

どの方法が最適かは、アプリケーションの要件によって異なります。一般的には、以下の点を考慮して、最適な方法を選択する必要があります。

コードの簡潔性と読みやすさ
モデル側で操作を処理する必要があるか
ヘッダーセクションでどのような操作を行う必要があるか