Qt Widgetsでヘッダーセクションを非表示にする：QHeaderView::hideSection()徹底解説

QHeaderView::hideSection() メソッドは、Qt Widgets ライブラリにおける QHeaderView クラスの機能の一つで、ヘッダーセクションを非表示にするために使用されます。このメソッドは、テーブルビューやツリービューなどのアイテムビューにおいて、特定の列または行を非表示にする際に役立ちます。

メソッドの構文

void QHeaderView::hideSection(int logicalIndex);

引数

logicalIndex: 非表示にするセクションの論理インデックス。

戻り値

なし。

詳細

ヘッダーセクションの表示状態を変更する際には、sectionHidden() メソッドを使用して現在の表示状態を確認することができます。
非表示になったセクションは、QHeaderView::showSection() メソッドを使用して再度表示することができます。
このメソッドは、ヘッダーセクションを非表示にするだけでなく、対応する列または行のアイテムも非表示にします。
logicalIndex は、非表示にするセクションのモデルにおける論理インデックスを指定します。論理インデックスは、QAbstractItemModel::indexFromItem() メソッドを使用して取得できます。

// テーブルビューのヘッダーから 3 番目の列を非表示にする
QHeaderView *headerView = tableView->horizontalHeader();
headerView->hideSection(3);

ヘッダーセクションを非表示にする際には、モデルデータの構造にも注意する必要があります。非表示にしたセクションに対応するデータ項目が不要であれば、モデルから削除する必要があります。
QHeaderView::hideSection() メソッドは、ヘッダーセクションの幅を変更するものではありません。セクションの幅を変更するには、QHeaderView::resizeSection() メソッドを使用する必要があります。

例 1: テーブルビューのヘッダーから特定の列を非表示にする

#include <QApplication>
#include <QTableView>
#include <QStandardItemModel>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    // モデルの作成
    QStandardItemModel *model = new QStandardItemModel(4, 5);
    model->setHeaderData(0, Qt::Horizontal, "名前");
    model->setHeaderData(1, Qt::Horizontal, "年齢");
    model->setHeaderData(2, Qt::Horizontal, "性別");
    model->setHeaderData(3, Qt::Horizontal, "住所");
    model->setHeaderData(4, Qt::Horizontal, "電話番号");

    for (int row = 0; row < model->rowCount(); ++row) {
        for (int col = 0; col < model->columnCount(); ++col) {
            model->setData(model->index(row, col), QString("行 %1 列 %2").arg(row + 1).arg(col + 1));
        }
    }

    // テーブルビューの作成
    QTableView *tableView = new QTableView;
    tableView->setModel(model);

    // ヘッダーから 3 番目の列を非表示にする
    QHeaderView *headerView = tableView->horizontalHeader();
    headerView->hideSection(3);

    // テーブルビューの表示
    tableView->show();

    return app.exec();
}

例 2: ツリービューのヘッダーから特定のブランチを非表示にする

#include <QApplication>
#include <QTreeView>
#include <QStandardItemModel>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    // モデルの作成
    QStandardItemModel *model = new QStandardItemModel;
    QStandardItem *rootItem = model->invisibleRootItem();

    QStandardItem *item1 = new QStandardItem("アイテム 1");
    QStandardItem *item2 = new QStandardItem("アイテム 2");
    QStandardItem *item3 = new QStandardItem("アイテム 3");

    rootItem->appendRow(item1);
    rootItem->appendRow(item2);
    rootItem->appendRow(item3);

    // ツリービューの作成
    QTreeView *treeView = new QTreeView;
    treeView->setModel(model);

    // ヘッダーから 2 番目のブランチを非表示にする
    QHeaderView *headerView = treeView->header();
    headerView->hideSection(2);

    // ツリービューの表示
    treeView->show();

    return app.exec();
}

これらの例は、QHeaderView::hideSection() メソッドを使用して、テーブルビューやツリービューのヘッダーセクションを非表示にする方法を示しています。ご自身のアプリケーションに合わせたカスタマイズが必要になる場合があります。

ヘッダーセクションを非表示にする以外にも、QHeaderView::showSection() メソッドを使用して再度表示したり、sectionHidden() メソッドを使用して現在の表示状態を確認したりすることができます。
上記の例では、QStandardItemModel クラスを使用しています。他のモデルクラスを使用している場合は、それに応じてコードを調整する必要があります。

QHeaderView::setSectionHidden() メソッドの使用

QHeaderView::setSectionHidden() メソッドは、QHeaderView::hideSection() メソッドと同様の機能を提供しますが、より詳細な制御が可能です。このメソッドには、論理インデックスに加えて、非表示にするかどうかを指定するブール値引数を受け取ります。

void QHeaderView::setSectionHidden(int logicalIndex, bool hide);

利点

プログラムフローの中で非表示状態を動的に切り替えることができます。
非表示にするだけでなく、再度表示するかどうかを明示的に指定することができます。

欠点

QHeaderView::hideSection() メソッドよりも冗長なコード記述が必要になります。

例

// 特定の条件に基づいてセクションを非表示にする
int logicalIndex = 3; // 非表示にするセクションの論理インデックス
bool hide = isEven(logicalIndex); // 論理インデックスが偶数の場合に非表示にする

headerView->setSectionHidden(logicalIndex, hide);

QHeaderView::resizeSection() メソッドの使用

QHeaderView::resizeSection() メソッドを使用して、セクションの幅を 0 に設定することで、実質的に非表示にすることができます。この方法は、シンプルな方法でセクションを非表示にする場合に役立ちます。

void QHeaderView::resizeSection(int logicalIndex, int size);

利点

コード記述が簡潔になります。

欠点

QHeaderView::setSectionHidden() メソッドのように、非表示状態を動的に切り替えることができません。
セクションが完全に非表示になるだけでなく、幅も 0 になるため、見た目上少し不自然になる場合があります。

例

// 特定のセクションを非表示にする
int logicalIndex = 3; // 非表示にするセクションの論理インデックス

headerView->resizeSection(logicalIndex, 0);

カスタムデリゲートの使用

より高度な制御が必要な場合は、カスタムデリゲートを使用して、特定のセクションの表示を制御することができます。この方法は、複雑な条件に基づいてセクションの表示を制御したり、セクションを非表示にする際に代替の表示を提供したりする場合に役立ちます。

利点

セクションを非表示にするだけでなく、代替の表示を提供することができます。
柔軟性と制御性に優れています。

欠点

カスタムデリゲートクラスを作成および実装する必要があります。
コード記述が複雑になります。

例

class MyItemDelegate : public QItemDelegate {
public:
    void paint(QPainter *painter, const QStyleOptionViewItem &option, const QModelIndex &index) const override {
        // 特定の条件に基づいてセクションを非表示にする
        int logicalIndex = index.column();
        if (shouldHideSection(logicalIndex)) {
            return;
        }

        // 標準の描画処理を実行する
        QItemDelegate::paint(painter, option, index);
    }

private:
    bool shouldHideSection(int logicalIndex) const {
        // セクションを非表示にするかどうかを判断するロジックを記述する
        return logicalIndex == 3; // 例：3 番目のセクションを非表示にする
    }
};

上記以外にも、QTableView::setColumnHidden() メソッドや QTreeView::setColumnHidden() メソッドを使用して、テーブルビューやツリービュー全体の列を非表示にする方法もあります。

どの代替方法が最適かは、具体的な要件と状況によって異なります。それぞれの方法の利点と欠点を比較検討し、ご自身のアプリケーションに合った方法を選択してください。