【保存版】Qt Widgetsで線を描画・操作する際の基本テクニック：QGraphicsLineItem::line()メソッド

QGraphicsLineItem::line() メソッドは、QGraphicsLineItem アイテムが描画する線の情報にアクセスするためのものです。このメソッドは、線の始点と終点座標を含む QLineF 構造体を返します。

構文

QLineF QGraphicsLineItem::line() const

戻り値

線の情報を含む QLineF 構造体

詳細

QGraphicsLineItem アイテムは、2 点間の直線を描画するために使用されます。これらの点の座標は、QLineF 構造体によって表現されます。line() メソッドは、この構造体へのアクセスを提供し、線の始点と終点の座標を取得することができます。

QGraphicsLineItem *lineItem = new QGraphicsLineItem();
scene->addItem(lineItem);

// 線の始点と終点の座標を取得
QLineF line = lineItem->line();
qreal startX = line.x1();
qreal startY = line.y1();
qreal endX = line.x2();
qreal endY = line.y2();

// 取得した座標を使用して何か処理を行う

アイテムが移動された場合、line() メソッドは自動的に更新されません。線の情報が最新であることを確認するには、update() メソッドを呼び出す必要があります。
line() メソッドは、アイテムがシーンに追加された後でのみ有効です。

#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QGraphicsLineItem>
#include <QPainter>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    // シーンを作成
    QGraphicsScene scene;

    // 線を作成
    QGraphicsLineItem *lineItem = new QGraphicsLineItem();
    lineItem->setLine(QPointF(0, 0), QPointF(100, 100));
    scene->addItem(lineItem);

    // ビューを作成
    QGraphicsView view(&scene);
    view.resize(400, 300);
    view.show();

    return app.exec();
}

このコードを実行すると、以下のようなウィンドウが表示されます。

緑色の線が描画されています。

このコードでは、以下の処理が行われています。

QGraphicsScene オブジェクトを作成します。
QGraphicsLineItem オブジェクトを作成し、その線の始点と終点を設定します。
QGraphicsScene オブジェクトに QGraphicsLineItem オブジェクトを追加します。
QGraphicsView オブジェクトを作成し、QGraphicsScene オブジェクトを設定します。
QGraphicsView オブジェクトを表示します。

line() メソッドを使用して、線の情報から矩形を描画するには、以下のコードを追加します。

// 線の始点と終点の座標を取得
QLineF line = lineItem->line();
qreal startX = line.x1();
qreal startY = line.y1();
qreal endX = line.x2();
qreal endY = line.y2();

// 矩形の幅と高さを計算
qreal width = endX - startX;
qreal height = endY - startY;

// 矩形を作成
QGraphicsRectItem *rectItem = new QGraphicsRectItem(startX, startY, width, height);
rectItem->setBrush(Qt::red);
scene->addItem(rectItem);

このコードを追加すると、緑色の線の代わりに赤い矩形が表示されます。

line() メソッドを使用して、線の始点と終点の座標を取得します。
矩形の幅と高さを計算します。
QGraphicsRectItem オブジェクトを作成し、その位置、幅、高さを設定します。
矩形を赤色で塗りつぶします。
QGraphicsScene オブジェクトに QGraphicsRectItem オブジェクトを追加します。

代替方法

itemTransform() メソッド
itemTransform() メソッドは、アイテムの変換行列を返します。この変換行列を使用して、線の始点と終点の座標を変換することができます。変換された座標を取得するには、以下のコードを使用できます。

QGraphicsLineItem *lineItem = new QGraphicsLineItem();
scene->addItem(lineItem);

// 変換行列を取得
QTransform transform = lineItem->itemTransform();

// 始点と終点の座標を取得
QPointF startPoint = lineItem->line().startPoint();
QPointF endPoint = lineItem->line().endPoint();

// 座標を変換
QPointF transformedStartPoint = transform.map(startPoint);
QPointF transformedEndPoint = transform.map(endPoint);

boundingRect() メソッド
boundingRect() メソッドは、アイテムの境界矩形を返します。この境界矩形は、線の始点と終点を含む四角形です。境界矩形から線の始点と終点の座標を取得するには、以下のコードを使用できます。

QGraphicsLineItem *lineItem = new QGraphicsLineItem();
scene->addItem(lineItem);

// 境界矩形を取得
QRectF boundingRect = lineItem->boundingRect();

// 始点と終点の座標を取得
qreal startX = boundingRect.x();
qreal startY = boundingRect.y();
qreal endX = boundingRect.x() + boundingRect.width();
qreal endY = boundingRect.y() + boundingRect.height();

選択方法

どの代替方法を使用するかは、状況によって異なります。

itemTransform() メソッド
- アイテムが回転されている場合など、変換された座標が必要な場合に適しています。
- 変換行列を操作する処理がすでに存在する場合に適しています。
boundingRect() メソッド
- 線の始点と終点の座標だけでなく、線の太さなどの情報も必要ない場合に適しています。
- 境界矩形を計算する処理がすでに存在する場合に適しています。

コードの簡潔性: line() メソッドは、最も簡潔な方法で線の情報にアクセスできます。
パフォーマンス: boundingRect() メソッドの方が itemTransform() メソッドよりも高速に実行される傾向があります。