マスク、パス、シェーダー、サブピクセルレンダリング:Qt Widgetsでピクセルマップアイテムの形状を操る4つの方法
QGraphicsPixmapItem::setShapeMode()
は、Qt Widgetsライブラリで提供されるグラフィックスシーンにおけるピクセルマップアイテムの形状モードを設定するための関数です。この関数は、アイテムの形状をどのように計算するかを決定します。
形状モード
QGraphicsPixmapItem::setShapeMode()
関数で使用できる形状モードは次の3種類です。
- HeuristicMaskShape
アイテムの形状は、ヒューリスティックアルゴリズムを使用してピクセルマップから推定されます。 - BoundingRectShape
アイテムの形状は、ピクセルマップの境界矩形に基づいて決定されます。 - MaskShape
(デフォルト) アイテムの形状は、ピクセルマップのマスク情報に基づいて決定されます。マスク情報がない場合は、ピクセルマップ全体の形状が使用されます。
コード例
QGraphicsPixmapItem *item = new QGraphicsPixmapItem(pixmap);
item->setShapeMode(QGraphicsPixmapItem::MaskShape);
scene->addItem(item);
このコード例では、pixmap
というピクセルマップを使用して QGraphicsPixmapItem
インスタンスを作成し、形状モードを MaskShape
に設定しています。その後、このアイテムを scene
というシーンに追加しています。
形状モードの選択
使用する形状モードは、アイテムの形状要件によって異なります。
- アイテムの形状が複雑な場合は、
HeuristicMaskShape
を使用するのが最善です。 - マスク情報がない場合は、
BoundingRectShape
またはHeuristicMaskShape
を使用できます。 - マスク情報がある場合は、通常
MaskShape
を使用します。
注意点
- 形状モードを変更すると、アイテムがシーン内の他のアイテムと干渉する可能性があります。
- 形状モードを変更すると、アイテムの境界矩形も更新されます。
- 形状モードを変更すると、アイテムの形状が更新されます。
上記以外にも、QGraphicsPixmapItem
クラスには、形状に関連する他の関数も用意されています。
contains()
関数: 指定された点がアイテム内にあるかどうかを判定します。boundingRect()
関数: アイテムの境界矩形を取得します。shape()
関数: アイテムの形状を取得します。
これらの関数は、アイテムの形状を操作したり、アイテムと他のアイテムとの関係を確認したりする際に役立ちます。
#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsPixmapItem>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// ピクセルマップとマスクを作成
QPixmap pixmap("image.png");
QBitmap mask("mask.bmp");
// ピクセルマップアイテムを作成
QGraphicsPixmapItem *item = new QGraphicsPixmapItem(pixmap);
// マスク情報を設定
item->setMask(mask);
// 形状モードを MaskShape に設定
item->setShapeMode(QGraphicsPixmapItem::MaskShape);
// シーンを作成
QGraphicsScene scene;
// アイテムをシーンに追加
scene.addItem(item);
// ビューを作成
QGraphicsView view(&scene);
view.show();
return app.exec();
}
このコード例では、image.png
というピクセルマップと mask.bmp
というマスクを作成し、QGraphicsPixmapItem
インスタンスに設定しています。その後、形状モードを MaskShape
に設定し、アイテムを scene
というシーンに追加しています。最後に、ビューを作成してシーンを表示しています。
例2:境界矩形に基づいて形状を設定する
#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsPixmapItem>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// ピクセルマップを作成
QPixmap pixmap("image.png");
// ピクセルマップアイテムを作成
QGraphicsPixmapItem *item = new QGraphicsPixmapItem(pixmap);
// 形状モードを BoundingRectShape に設定
item->setShapeMode(QGraphicsPixmapItem::BoundingRectShape);
// シーンを作成
QGraphicsScene scene;
// アイテムをシーンに追加
scene.addItem(item);
// ビューを作成
QGraphicsView view(&scene);
view.show();
return app.exec();
}
このコード例では、image.png
というピクセルマップを作成し、QGraphicsPixmapItem
インスタンスに設定しています。その後、形状モードを BoundingRectShape
に設定し、アイテムを scene
というシーンに追加しています。最後に、ビューを作成してシーンを表示しています。
例3:ヒューリスティックアルゴリズムを使用して形状を推定する
#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsPixmapItem>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// ピクセルマップを作成
QPixmap pixmap("image.png");
// ピクセルマップアイテムを作成
QGraphicsPixmapItem *item = new QGraphicsPixmapItem(pixmap);
// 形状モードを HeuristicMaskShape に設定
item->setShapeMode(QGraphicsPixmapItem::HeuristicMaskShape);
// シーンを作成
QGraphicsScene scene;
// アイテムをシーンに追加
scene.addItem(item);
// ビューを作成
QGraphicsView view(&scene);
view.show();
return app.exec();
}
- 実際のアプリケーションでは、必要に応じてコードを修正する必要があります。
- コード例は説明を簡潔にするために省略されている部分があります。
- これらのコード例は、Qt Widgets 6.7.1 と Qt Creator 4.15.2 を使用してテストされています。
しかし、状況によっては QGraphicsPixmapItem::setShapeMode()
以外の方法でアイテムの形状を設定する方が適切な場合があります。以下、いくつかの代替方法とそれぞれの利点と欠点について説明します。
マスクを設定する
QGraphicsPixmapItem::setMask()
関数を使用して、アイテムの形状を定義するマスクを設定できます。マスクは、透明なピクセルと不透明なピクセルで構成されたビットマップです。不透明なピクセルはアイテムの一部として表示され、透明なピクセルは無視されます。
利点
- マスクは、アイテムの形状を効率的に表現できます。
- マスクを使用して複雑な形状を定義できます。
欠点
- マスクは、メモリを多く消費する可能性があります。
- マスクを作成する必要があります。
例
QPixmap pixmap("image.png");
QBitmap mask("mask.bmp");
QGraphicsPixmapItem *item = new QGraphicsPixmapItem(pixmap);
item->setMask(mask);
パスを設定する
QGraphicsPixmapItem::setPath()
関数を使用して、アイテムの形状を定義するパスを設定できます。パスは、一連の点と線分で構成されたベクターグラフィックです。
利点
- パスは、メモリ使用量が少ない場合があります。
- パスを使用して滑らかな形状を定義できます。
欠点
- 複雑な形状を定義するには、より多くのコードが必要になる場合があります。
例
QPixmap pixmap("image.png");
QPainterPath path;
path.addEllipse(QRect(0, 0, 100, 100));
QGraphicsPixmapItem *item = new QGraphicsPixmapItem(pixmap);
item->setPath(path);
カスタムシェーダーを使用する
QGraphicsShader
クラスを使用して、アイテムの形状を定義するカスタムシェーダーを作成できます。シェーダーは、ピクセルごとにフラグメントの色を計算するプログラムです。
利点
- カスタムシェーダーを使用して非常に複雑な形状を定義できます。
欠点
- カスタムシェーダーは、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。
- カスタムシェーダーの作成には、高度なプログラミングスキルが必要です。
例
QPixmap pixmap("image.png");
QFragmentShader *shader = new QFragmentShader;
shader->load("shader.frag");
QGraphicsShader *graphicsShader = new QGraphicsShader(shader);
QGraphicsPixmapItem *item = new QGraphicsPixmapItem(pixmap);
item->setShader(graphicsShader);
サブピクセルレンダリングを使用する
QGraphicsPixmapItem::setSubPixelRenderingEnabled()
関数を使用して、アイテムのサブピクセルレンダリングを有効にすることができます。サブピクセルレンダリングは、アイテムを滑らかに表示するためにピクセルを補間する技術です。
利点
- サブピクセルレンダリングは、特に小さなアイテムに効果的です。
- サブピクセルレンダリングを使用して、アイテムを滑らかに表示できます。
欠点
- サブピクセルレンダリングは、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。
例
QPixmap pixmap("image.png");
QGraphicsPixmapItem *item = new QGraphicsPixmapItem(pixmap);
item->setSubPixelRenderingEnabled(true);
QGraphicsPixmapItem::setShapeMode()
は、アイテムの形状を設定するための汎用的な方法ですが、状況によっては上記で紹介した代替方法の方が適切な場合があります。最適な方法は、アイテムの形状要件とパフォーマンス要件によって異なります。
- [Qt Documentation: Customizing the