Qt Widgets：QGraphicsProxyWidgetのcreateProxyForChildWidget() メソッドの代替方法

QGraphicsProxyWidget::createProxyForChildWidget()は、Qt Widgetsライブラリの一部であるQGraphicsProxyWidgetクラスのメソッドで、非トップレベルウィジェットのためのプロキシウィジェットを作成するために使用されます。このメソッドは、埋め込まれたウィジェットの子ウィジェットに対してのみ呼び出され、その子ウィジェットをQGraphicsSceneに統合するためのプロキシウィジェットを返します。

詳細説明

QGraphicsProxyWidgetは、QWidgetをQGraphicsSceneに埋め込むための便利なクラスです。埋め込まれたウィジェットは、シーン内の他のグラフィックアイテムと同様に、スケーリング、回転、移動などの操作が可能になります。

しかし、埋め込まれたウィジェットの子ウィジェットは、デフォルトではQGraphicsSceneに直接統合されません。これらのウィジェットをシーンに統合するには、createProxyForChildWidget()メソッドを使用する必要があります。

このメソッドは、以下の2つの状況で使用されます。

1. 埋め込まれたウィジェットの子ウィジェットがポップアップウィジェットの場合： 例えば、QComboBoxのドロップダウンリストやQToolButtonのメニューなどが該当します。
2. 埋め込まれたウィジェットの子ウィジェットを個別に操作したい場合： 例えば、埋め込まれたダイアログボックス内の特定のボタンのみを操作したい場合などが該当します。

createProxyForChildWidget()メソッドは、以下の引数を取ります。

• child: プロキシウィジェットを作成する対象となる子ウィジェットへのポインタ

メソッドの戻り値は、作成されたプロキシウィジェットへのポインタです。このプロキシウィジェットは、通常のQGraphicsItemと同様に操作することができます。

例

以下のコード例は、QGroupBoxを埋め込み、その中のラベルを個別に操作する方法を示しています。

QGroupBox *groupBox = new QGroupBox("Contact Details");
QLabel *numberLabel = new QLabel("Telephone number:");
numberLabel->setParent(groupBox);

QGraphicsScene scene;
QGraphicsProxyWidget *proxy = scene.addWidget(groupBox);

// 個別にラベルを操作する
numberLabel->setText("123-456-7890");

このコードでは、createProxyForChildWidget()メソッドは明示的に呼び出されていませんが、QGraphicsScene::addWidget()メソッド内部で自動的に呼び出されます。

• プロキシウィジェットは、埋め込まれたウィジェットの子ウィジェットの位置とサイズを反映するように自動的に更新されます。
• 埋め込まれたウィジェットの子ウィジェットがすでにプロキシウィジェットで管理されている場合は、createProxyForChildWidget()メソッドは既存のプロキシウィジェットを返します。
• createProxyForChildWidget()メソッドは、非トップレベルウィジェットに対してのみ使用できます。トップレベルウィジェットの場合は、直接QGraphicsSceneに追加することができます。

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#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsProxyWidget>
#include <QGroupBox>
#include <QLabel>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    // QGroupBoxを作成
    QGroupBox *groupBox = new QGroupBox("連絡先情報");

    // ラベルを作成
    QLabel *nameLabel = new QLabel("名前:");
    nameLabel->setText("山田 太郎");
    nameLabel->setParent(groupBox);

    QLabel *numberLabel = new QLabel("電話番号:");
    numberLabel->setText("123-456-7890");
    numberLabel->setParent(groupBox);

    // シーンを作成
    QGraphicsScene scene;

    // QGraphicsProxyWidgetを作成
    QGraphicsProxyWidget *proxy = scene.addWidget(groupBox);

    // 個別にラベルを操作
    nameLabel->setText("佐藤 花子");
    numberLabel->setText("987-654-3210");

    // シーンを表示
    QGraphicsView view(&scene);
    view.show();

    return app.exec();
}

例2：QComboBoxのドロップダウンリストを個別に操作

この例では、QComboBoxを埋め込み、そのドロップダウンリストを個別に操作する方法を示します。

#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsProxyWidget>
#include <QComboBox>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    // QComboBoxを作成
    QComboBox *comboBox = new QComboBox;
    comboBox->addItem("東京");
    comboBox->addItem("大阪");
    comboBox->addItem("名古屋");

    // シーンを作成
    QGraphicsScene scene;

    // QGraphicsProxyWidgetを作成
    QGraphicsProxyWidget *proxy = scene.addWidget(comboBox);

    // 個別にドロップダウンリストを操作
    comboBox->setCurrentIndex(1); // 大阪を選択

    // シーンを表示
    QGraphicsView view(&scene);
    view.show();

    return app.exec();
}

例3：QToolButtonのメニューを個別に操作

この例では、QToolButtonを埋め込み、そのメニューを個別に操作する方法を示します。

#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsProxyWidget>
#include <QToolButton>
#include <QMenu>
#include <QAction>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    // QToolButtonを作成
    QToolButton *toolButton = new QToolButton;
    toolButton->setText("選択");

    // メニューを作成
    QMenu *menu = new QMenu;
    menu->addAction("開く");
    menu->addAction("保存");
    menu->addAction("印刷");

    // ToolButtonにメニューを設定
    toolButton->setMenu(menu);

    // シーンを作成
    QGraphicsScene scene;

    // QGraphicsProxyWidgetを作成
    QGraphicsProxyWidget *proxy = scene.addWidget(toolButton);

    // 個別にメニューを操作
    QAction *action = menu->actions().at(1); // 保存アクションを選択
    action->trigger();

    // シーンを表示
    QGraphicsView view(&scene);
    view.show();

    return app.exec();
}

• コードを実行するには、Qt Creatorなどの開発環境が必要です。
• 上記のコードは、Qt 6.xを対象としています。他のバージョンを使用している場合は、コードを適宜変更する必要があります。

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直接QGraphicsSceneに追加

埋め込まれたウィジェットの子ウィジェットがトップレベルウィジェットの場合は、createProxyForChildWidget()メソッドを使用する代わりに、直接QGraphicsSceneに追加することができます。

QGraphicsScene scene;
QLabel *label = new QLabel("Hello, World!");
scene.addItem(label);

QGraphicsProxyItem::setItem()を使用

埋め込まれたウィジェットの子ウィジェットがQGraphicsItemを継承している場合は、QGraphicsProxyItem::setItem()メソッドを使用して、そのアイテムをプロキシウィジェットに設定することができます。

QGraphicsScene scene;
QGraphicsProxyWidget *proxy = new QGraphicsProxyWidget;
QLineEdit *lineEdit = new QLineEdit;
proxy->setItem(lineEdit);
scene.addItem(proxy);

カスタムプロキシウィジェットを作成

より複雑な操作が必要な場合は、カスタムプロキシウィジェットを作成することができます。カスタムプロキシウィジェットは、QGraphicsProxyWidgetを継承して、独自のロジックを実装することができます。

class MyProxyWidget : public QGraphicsProxyWidget {
public:
    MyProxyWidget(QWidget *widget) : QGraphicsProxyWidget(widget) {}

protected:
    void paint(QPainter *painter) override {
        // カスタム描画処理
        painter->setBrush(Qt::red);
        painter->drawRect(rect());
    }
};

QGraphicsScene scene;
QLabel *label = new QLabel("Hello, World!");
MyProxyWidget *proxy = new MyProxyWidget(label);
scene.addItem(proxy);

• カスタムプロキシウィジェットを作成
  • 利点：最も柔軟性が高い
  • 欠点：開発コストが高い
• QGraphicsProxyItem::setItem()を使用
  • 利点：プロキシウィジェットの機能を利用できる
  • 欠点：埋め込まれたウィジェットの子ウィジェットがQGraphicsItemを継承している必要がある
• 直接QGraphicsSceneに追加
  • 利点：最もシンプル
  • 欠点：プロキシウィジェットの機能を利用できない