Qt Widgetsで「QGraphicsProxyWidget::event()」を理解しよう！〜概要、役割、実装、サンプルコードまで徹底解説

QGraphicsProxyWidget とは？

QGraphicsProxyWidget は、QGraphicsScene に埋め込まれた QWidget を表すクラスです。これは、GUI 要素を 2D シーンに統合するのに役立ちます。 QGraphicsProxyWidget は、その中に埋め込まれている QWidget のサイズと位置を管理し、ユーザー入力イベントを処理します。

QGraphicsProxyWidget::event() の役割

QGraphicsProxyWidget::event() 関数は、次のようなさまざまな種類のイベントを処理するために使用されます。

フォーカスイベント (フォーカスイン、フォーカスアウト)
キーボードイベント (キーの押下と解放)
マウスイベント (クリック、ドラッグ、ホバーなど)

この関数は、イベントタイプを調べ、適切な方法でイベントを処理します。たとえば、マウスボタンがクリックされた場合、QGraphicsProxyWidget::event() 関数はクリックイベントを処理し、ボタンがクリックされた場所に基づいてアクションを実行できます。

QGraphicsProxyWidget::event() の実装

QGraphicsProxyWidget::event() 関数は、デフォルトで基底クラスである QGraphicsItem の event() 関数を呼び出します。 QGraphicsItem::event() 関数は、イベントを処理し、必要に応じてイベントを子アイテムに伝達します。

QGraphicsProxyWidget::event() 関数をオーバーライドして、独自のイベント処理ロジックを追加できます。これにより、QGraphicsProxyWidget の動作をカスタマイズしたり、特殊なイベントを処理したりすることができます。

例

次の例は、QGraphicsProxyWidget::event() 関数をオーバーライドして、マウスボタンがクリックされたときにボタンの色を変更する方法を示しています。

class MyProxyWidget : public QGraphicsProxyWidget {
public:
    MyProxyWidget(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    bool event(QEvent *event) override {
        if (event->type() == QEvent::MouseButtonPress) {
            QMouseEvent *mouseEvent = static_cast<QMouseEvent *>(event);
            if (mouseEvent->button() == Qt::LeftButton) {
                // ボタンがクリックされたら色を変更する
                widget()->palette().setColor(QPalette::Base, Qt::red);
                widget()->update();
            }
        }
        return QGraphicsProxyWidget::event(event);
    }
};

この例では、MyProxyWidget クラスが作成され、QGraphicsProxyWidget::event() 関数がオーバーライドされています。この関数は、マウスボタンがクリックされたときに呼び出され、ボタンが左ボタンである場合は、埋め込まれた QWidget の色を赤に変更します。

例 1: マウスボタンがクリックされたときにボタンの色を変更する

この例は、以前に説明した例と同じです。

class MyProxyWidget : public QGraphicsProxyWidget {
public:
    MyProxyWidget(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    bool event(QEvent *event) override {
        if (event->type() == QEvent::MouseButtonPress) {
            QMouseEvent *mouseEvent = static_cast<QMouseEvent *>(event);
            if (mouseEvent->button() == Qt::LeftButton) {
                // ボタンがクリックされたら色を変更する
                widget()->palette().setColor(QPalette::Base, Qt::red);
                widget()->update();
            }
        }
        return QGraphicsProxyWidget::event(event);
    }
};

例 2: キーボードの 'A' キーが押されたときにテキストを表示する

この例では、QGraphicsProxyWidget::event() 関数は、キーボードの 'A' キーが押されたときにテキストを表示するために使用されます。

class MyProxyWidget : public QGraphicsProxyWidget {
public:
    MyProxyWidget(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    bool event(QEvent *event) override {
        if (event->type() == QEvent::KeyPress) {
            QKeyEvent *keyEvent = static_cast<QKeyEvent *>(event);
            if (keyEvent->key() == Qt::Key_A) {
                // 'A' キーが押されたらテキストを表示する
                QGraphicsTextItem *textItem = new QGraphicsTextItem("Aキーが押されました");
                scene()->addItem(textItem);
            }
        }
        return QGraphicsProxyWidget::event(event);
    }
};

例 3: タイマーイベントを使用してウィジェットを回転させる

この例では、QGraphicsProxyWidget::event() 関数は、タイマーイベントを使用してウィジェットを回転させるために使用されます。

class MyProxyWidget : public QGraphicsProxyWidget {
public:
    MyProxyWidget(QWidget *parent = nullptr);

private:
    QTimer *timer;

protected:
    void paint(QPainter *painter, const QStyleOptionGraphicsItem *option, QWidget *widget) override {
        painter->setRenderHint(QPainter::Antialiasing);
        painter->translate(option->rect().center());
        painter->rotate(rotationAngle);
        painter->drawWidget(widget);
    }

    bool event(QEvent *event) override {
        if (event->type() == QEvent::Timer) {
            // タイマーイベントが発生したら回転角度を更新する
            rotationAngle += 1;
            update();
        }
        return QGraphicsProxyWidget::event(event);
    }

private:
    float rotationAngle = 0;
};

これらの例は、QGraphicsProxyWidget::event() 関数の使用方法を示すほんの一例です。この関数は、さまざまな種類のイベントを処理するために使用でき、QGraphicsProxyWidget の動作をカスタマイズするのに役立ちます。

これらの例を独自のアプリケーションで使用するには、次の点に注意する必要があります。

必要に応じて、他のクラスやメンバー関数を追加する必要があります。
イベントハンドラーロジックを独自のロジックに置き換える必要があります。
MyProxyWidget クラスを独自のカスタムクラスに置き換える必要があります。

QGraphicsProxyWidget::event() 関数は、QGraphicsProxyWidget クラスの重要な部分であり、ユーザー入力イベントとシステムイベントを処理するために使用されます。しかし、この関数はいくつかの制限があります。

テストの難しさ
QGraphicsProxyWidget::event() 関数はテストするのが難しい場合があります。これは、イベント処理ロジックが複雑で、さまざまなイベントシナリオをシミュレートする必要があるためです。
複雑さ
QGraphicsProxyWidget::event() 関数は複雑で、イベントタイプを調べ、適切な方法でイベントを処理する必要があります。これは、単純なイベント処理タスクの場合には過剰な作業になる可能性があります。
汎用性の欠如
QGraphicsProxyWidget::event() 関数は、特定のイベントタイプのみを処理するように設計されています。他の種類のイベントを処理するには、独自のイベントハンドラーを実装する必要があります。

これらの制限を克服するために、QGraphicsProxyWidget::event() 関数の代替方法をいくつか検討することができます。

代替方法 1: シグナルとスロットを使用する

QGraphicsProxyWidget クラスは、さまざまなイベントに対応するシグナルを発行します。これらのシグナルをスロットに接続することで、イベントを処理することができます。この方法は、次のような利点があります。

テストのしやすさ
シグナルとスロットはテストするのが簡単です。これは、各シグナルを個別にテストできるためです。
簡潔さ
シグナルとスロットは、QGraphicsProxyWidget::event() 関数よりも簡潔で読みやすいコードを作成できます。
汎用性
シグナルとスロットは、さまざまな種類のイベントを処理するために使用できます。

例

次の例は、マウスボタンがクリックされたときにボタンの色を変更するためにシグナルとスロットを使用する方法を示しています。

class MyProxyWidget : public QGraphicsProxyWidget {
public:
    MyProxyWidget(QWidget *parent = nullptr);

signals:
    void buttonClicked();

private:
    void connectSignals() {
        connect(this, &QGraphicsProxyWidget::mousePressEvent, this, &MyProxyWidget::onMouseClicked);
    }

    void onMouseClicked(QMouseEvent *event) {
        if (event->button() == Qt::LeftButton) {
            // ボタンがクリックされたら色を変更する
            widget()->palette().setColor(QPalette::Base, Qt::red);
            widget()->update();
            emit buttonClicked();
        }
    }
};

この例では、MyProxyWidget クラスは、mousePressEvent シグナルを発行するように接続されています。このシグナルは、ボタンがクリックされたときに発行されます。 onMouseClicked スロットは、このシグナルに接続され、ボタンの色を変更します。 buttonClicked() シグナルは、ボタンがクリックされたことを示すために発行されます。

代替方法 2: QObject::event() 関数を使用する

QObject クラスは、event() という仮想関数を提供します。この関数は、オブジェクトに送信されたすべてのイベントを処理するために使用されます。 QGraphicsProxyWidget クラスは QObject から派生しているため、この関数を使用することができます。

QObject::event() 関数は、QGraphicsProxyWidget::event() 関数よりも汎用性が高く、さまざまな種類のイベントを処理するために使用できます。しかし、QObject::event() 関数は QGraphicsProxyWidget::event() 関数よりも複雑で、イベントタイプを調べ、適切な方法でイベントを処理する必要があります。

代替方法 3: カスタムイベントクラスを作成する

独自のイベントクラスを作成することで、QGraphicsProxyWidget::event() 関数の制限を克服することができます。この方法は、次のような利点があります。

テストのしやすさ
カスタムイベントクラスはテストするのが簡単です。これは、各イベントを個別にテストできるためです。
簡潔さ
カスタムイベントクラスは、QGraphicsProxyWidget::event() 関数よりも簡潔で読みやすいコードを作成できます。
汎用性
カスタムイベントクラスは、さまざまな種類のイベントを処理するために使用できます。

例

次の例は、ボタンクリックイベントを表すカスタムイベントクラスを作成する方法を示しています。

class ButtonClickEvent : public QEvent {
public:
    ButtonClickEvent(const QPoint &pos);

    const QPoint &pos() const { return m_pos; }

private:
    QPoint m_pos;
};

この例では、ButtonClickEvent クラスは、ボタンがクリックされたときに発行されるカスタムイベントを表します。このイベントには、ボタンがクリックされた場所を保存する pos() メソッドがあります。

Qt Widgetsで「QGraphicsProxyWidget::event()」を理解しよう！ 〜 概要、役割、実装、サンプルコードまで徹底解説

QGraphicsProxyWidget とは？

例 1: マウスボタンがクリックされたときにボタンの色を変更する

Qt Widgetsで「QGraphicsProxyWidget::event()」を理解しよう！〜概要、役割、実装、サンプルコードまで徹底解説