Qtでディレクトリを監視?QFileSystemModel::directoryLoaded() vs QFileSystemWatcher


QFileSystemModel::directoryLoaded()は、Qt GUIプログラミングにおいて、ファイルシステムモデルが特定のディレクトリを読み込み終えたことを通知するシグナルです。これは、ファイルシステムツリービューやエクスプローラーアプリケーションのような、ディレクトリ構造を視覚化および操作するアプリケーションで役立ちます。

シグナルの仕組み

QFileSystemModel::directoryLoaded()シグナルは、const QString &pathという引数を受け取ります。この引数は、読み込まれたディレクトリのパスを表します。シグナルが接続されたスロットは、このパスを使用して、ディレクトリ内のファイルやサブディレクトリにアクセスしたり、処理したりすることができます。

シグナルの接続

QFileSystemModel::directoryLoaded()シグナルを接続するには、connect()関数を使用します。以下の例は、シグナルをスロットdirectoryLoaded()に接続する方法を示しています。

connect(model, SIGNAL(directoryLoaded(const QString &)), this, SLOT(directoryLoaded(const QString &)));

この例では、modelはQFileSystemModelオブジェクト、thisはシグナルを接続するオブジェクト、directoryLoaded()はシグナルを処理するスロットです。

スロットの実装

directoryLoaded()スロットは、読み込まれたディレクトリパスを受け取り、そのパスを使用して必要な処理を実行します。以下の例は、スロットがどのようにファイルとサブディレクトリを列挙するかを示しています。

void directoryLoaded(const QString &path)
{
    QModelIndex index = model->index(path);
    for (int row = 0; row < model->rowCount(index); ++row) {
        QModelIndex childIndex = model->index(row, 0, index);
        QString childPath = model->filePath(childIndex);
        if (model->isDir(childIndex)) {
            // サブディレクトリを処理
        } else {
            // ファイルを処理
        }
    }
}

この例では、indexは読み込まれたディレクトリのモデルインデックス、rowCount()はインデックスの子要素の数、filePath()は子要素のパスを取得します。スロットは、isDir()を使用して、各子要素がファイルなのかディレクトリなのかを判断し、それに応じて処理します。

応用例

QFileSystemModel::directoryLoaded()シグナルは、さまざまな目的に使用できます。以下に、いくつかの例を示します。

  • ファイルの処理: シグナルを使用して、読み込まれたファイルに対してアクションを実行することができます。例えば、ファイルをコピー、移動、削除したり、ファイルの内容を分析したりすることができます。
  • ファイルシステムツリービューの更新: シグナルを使用して、ツリービューに読み込まれたディレクトリとその内容を更新することができます。

QFileSystemModel::directoryLoaded()シグナルは、Qt GUIプログラミングにおいて、ファイルシステムモデルと連携してディレクトリ構造を処理する強力なツールです。このシグナルを理解することで、ファイルシステムツリービューやエクスプローラーアプリケーションのような、より動的でインタラクティブなアプリケーションを開発することができます。

  • シグナルは、メインスレッドで発行されます。
  • シグナルは、読み込まれたディレクトリごとに1回のみ発行されます。
  • QFileSystemModel::directoryLoaded()シグナルは、非同期的に発行されます。つまり、シグナルがスロットに送信される前に、ディレクトリの読み込みが完了するのを待つ必要はありません。


main.cpp

#include <QApplication>
#include <QFileSystemModel>
#include <QTreeView>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    // ファイルシステムモデルを作成
    QFileSystemModel model;
    model.setRootPath("/home/user"); // ルートディレクトリを設定

    // ツリービューを作成
    QTreeView treeView;
    treeView.setModel(&model);

    // directoryLoadedシグナルを接続
    connect(&model, SIGNAL(directoryLoaded(const QString &)), &treeView, SLOT(expand(const QModelIndex &)));

    // ウィンドウを表示
    treeView.show();

    return app.exec();
}

このコードでは、QFileSystemModelオブジェクトが作成され、ルートディレクトリが/home/userに設定されます。次に、QTreeViewオブジェクトが作成され、モデルに設定されます。最後に、directoryLoadedシグナルがexpand()スロットに接続されます。

**directoryLoaded()`スロット

void directoryLoaded(const QString &path)
{
    QModelIndex index = model->index(path);
    treeView.expand(index);
}

このスロットは、読み込まれたディレクトリのモデルインデックスを取得し、expand()スロットを使用してそのディレクトリを展開します。これにより、ツリービューにディレクトリとその内容が表示されます。



QFileSystemWatcherの使用

QFileSystemWatcherは、ファイルシステムの変更を監視するクラスです。directoryChanged()シグナルを使用して、ディレクトリ内のファイルやサブディレクトリの変更を検出できます。このシグナルは、読み込まれたディレクトリ内のファイルが変更された場合にも発行されます。

QFileSystemWatcher watcher;
watcher.addPath("/home/user"); // 監視するディレクトリを追加

connect(&watcher, SIGNAL(directoryChanged(const QString &)), this, SLOT(handleDirectoryChange(const QString &)));

handleDirectoryChange()スロットは、変更されたディレクトリパスを受け取り、必要な処理を実行します。

利点

  • QFileSystemModel::directoryLoaded()よりも効率的です。シグナルは、ディレクトリ内のすべてのファイルが読み込まれた後でしか発行されないため、多くのファイルが含まれるディレクトリの場合、パフォーマンスが低下する可能性があります。
  • QFileSystemWatcherは、より柔軟で汎用性があります。ディレクトリ内のファイルやサブディレクトリの作成、削除、名前変更などのさまざまな変更を検出できます。

欠点

  • QFileSystemWatcherは、QFileSystemModelよりも低レベルのAPIです。ファイルシステムモデルを使用する場合よりも、より多くのコードを書く必要があります。

タイマーの使用

タイマーを使用して、定期的にディレクトリの内容をチェックすることもできます。QTimer::timeout()シグナルを接続して、ディレクトリの内容を更新するコードを実行できます。

QTimer timer;
timer.setInterval(1000); // 1秒ごとにチェック

connect(&timer, SIGNAL(timeout()), this, SLOT(checkDirectory()));

checkDirectory()スロットは、ディレクトリの内容をチェックし、必要な処理を実行します。

利点

  • シンプルで実装しやすい。

欠点

  • CPU使用量が多くなる可能性があります。タイマーが頻繁に呼び出されると、CPU使用量が多くなります。
  • QFileSystemWatcherよりも非効率的です。タイマーが設定した間隔ごとにディレクトリの内容をチェックするため、ファイルシステムの変更を見逃す可能性があります。

カスタムシグナルの使用

独自のシグナルを作成して、ディレクトリが読み込まれたことを通知することもできます。このシグナルをスロットに接続して、必要な処理を実行できます。

class MyFileSystemModel : public QFileSystemModel
{
public:
    signals:
        void directoryLoaded(const QString &path);

protected:
    void directoryLoaded(const QModelIndex &index) override
    {
        QString path = filePath(index);
        emit directoryLoaded(path);
    }
};

directoryLoaded()シグナルは、読み込まれたディレクトリパスを受け取り、スロットに送信されます。

利点

  • コードをより柔軟に制御できます。
  • 複雑で実装しにくい。