Qt Widgetsでパスアイテムの輪郭線を自由自在に操る!QAbstractGraphicsShapeItem::setPen()徹底解説
QAbstractGraphicsShapeItem::setPen()
メソッドは、Qt Widgetsライブラリにおける2Dグラフィックスフレームワークの一部として、パスアイテムの輪郭線スタイルを設定するために使用されます。パスアイテムとは、点と線で構成される形状を表すグラフィックスアイテムです。
メソッドの役割
このメソッドは、ペンオブジェクト (QPen
) を引数として受け取り、そのペンを使用してアイテムの輪郭線を描画します。ペンオブジェクトは、線の色、太さ、スタイルなどを定義します。
構文
void QAbstractGraphicsShapeItem::setPen(const QPen &pen);
引数
pen
: アイテムの輪郭線スタイルを定義するQPen
オブジェクト
戻り値
なし
詳細
- ペンの設定後、アイテムは自動的に再描画されます。
- 線色は、
QPen::setColor()
メソッドを使用して設定できます。 - 線幅は、
QPen::setWidth()
メソッドを使用して設定できます。 - ペンスタイルは、
Qt::PenStyle
列挙型を使用して設定できます。一般的なスタイルには、Qt::SolidLine
、Qt::DashLine
、Qt::DotLine
などがあります。
// 赤色の太い線で輪郭線を描画するペンを作成します
QPen pen(Qt::red);
pen.setWidth(5);
// パスアイテムにペンを設定します
QAbstractGraphicsShapeItem *item = new QGraphicsPathItem();
item->setPen(pen);
// アイテムをシーンに追加します
QGraphicsScene scene;
scene.addItem(item);
- ペンの設定に加えて、アイテムの塗りつぶしのスタイルを設定するには、
QAbstractGraphicsShapeItem::setBrush()
メソッドを使用できます。 QAbstractGraphicsShapeItem::setPen()
メソッドは、パスアイテムだけでなく、他のグラフィックスアイテムでも使用できます。
コード
#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QAbstractGraphicsShapeItem>
#include <QPainterPath>
#include <QPen>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// シーンを作成します
QGraphicsScene scene;
// 楕円形のパスを作成します
QPainterPath path;
path.addEllipse(QRectF(0, 0, 100, 50));
// パスアイテムを作成します
QAbstractGraphicsShapeItem *item = new QGraphicsPathItem(path);
// 赤色の太い線で輪郭線を描画するペンを作成します
QPen pen(Qt::red);
pen.setWidth(5);
// アイテムにペンを設定します
item->setPen(pen);
// シーンにアイテムを追加します
scene.addItem(item);
// ビューを作成し、シーンを設定します
QGraphicsView view(&scene);
view.show();
return app.exec();
}
コード解説
QApplication
オブジェクトを作成し、Qtアプリケーションを初期化します。QGraphicsScene
オブジェクトを作成し、グラフィックスシーンを作成します。QPainterPath
オブジェクトを作成し、楕円形のパスを作成します。QGraphicsPathItem
オブジェクトを作成し、パスアイテムを作成します。- 赤色の太い線で輪郭線を描画するペンを作成します。
- アイテムにペンを設定します。
- アイテムをシーンに追加します。
QGraphicsView
オブジェクトを作成し、シーンを設定します。- ビューを表示します。
- アプリケーションを実行します。
実行結果
このコードを実行すると、以下の画像のような楕円形のパスアイテムが表示されます。
以下、いくつかの代替方法とその利点と欠点について説明します。
QBrush::setStyle() メソッドを使用する
QBrush::setStyle()
メソッドは、ブラシスタイルを Qt::NoBrush
以外に設定することで、輪郭線を定義できます。この方法は、ペンスタイルと塗りつぶしのスタイルを同時に設定できるという利点があります。
// 塗りつぶしと輪郭線を赤色にするブラシを作成します
QBrush brush(Qt::red);
brush.setStyle(Qt::SolidLine);
// アイテムにブラシを設定します
item->setBrush(brush);
利点
- コードが簡潔になる
- ペンスタイルと塗りつぶしのスタイルを同時に設定できる
欠点
- ペン幅や線色などの細かい設定ができない
QPainterPath::setFillRule() メソッドを使用する
QPainterPath::setFillRule()
メソッドは、塗りつぶしのルールを設定することで、輪郭線を定義できます。この方法は、複雑な形状の輪郭線を定義する場合に役立ちます。
// パスを作成します
QPainterPath path;
path.addEllipse(QRectF(0, 0, 100, 50));
// パスに塗りつぶしのルールを設定します
path.setFillRule(Qt::OddEvenFill);
// パスアイテムを作成します
QAbstractGraphicsShapeItem *item = new QGraphicsPathItem(path);
// アイテムにブラシを設定します
item->setBrush(Qt::red);
利点
- 複雑な形状の輪郭線を定義できる
欠点
- ペン幅や線色などの細かい設定ができない
- コードが複雑になる
カスタムペインタクラスを使用する
カスタムペインタクラスを作成し、draw()
メソッド内で輪郭線を直接描画することもできます。この方法は、高度なカスタマイズが必要な場合に役立ちます。
class MyShapeItem : public QAbstractGraphicsShapeItem {
public:
void paint(QPainter *painter) override {
// 輪郭線を描画します
painter->setPen(Qt::red);
painter->drawPath(path());
}
};
// アイテムを作成します
MyShapeItem *item = new MyShapeItem();
// アイテムをシーンに追加します
scene.addItem(item);
利点
- 高度なカスタマイズが可能
欠点
- パフォーマンスが低下する可能性がある
- コードが複雑になる
どの代替方法を使用するかは、状況によって異なります。シンプルな輪郭線の場合、QBrush::setStyle()
メソッドが最も簡単です。複雑な形状の輪郭線の場合、QPainterPath::setFillRule()
メソッドまたはカスタムペインタクラスを使用する必要があります。