focusNextPrevChild()メソッドでQt Widgetsアイテムビューをらくらく操作：初心者でも安心のステップバイステップ解説

QAbstractItemView::focusNextPrevChild() メソッドは、Qt Widgetsにおけるアイテムビューにおいて、現在フォーカスが当たっているアイテムから次のアイテムまたは前のアイテムにフォーカスを移動させるために使用されます。このメソッドは、キーボード操作やプログラムによる制御を通じて、アイテムビュー内のフォーカスを効率的に移動させる機能を提供します。

メソッドの役割

このメソッドは、2つの引数を受け取ります。

options: フォーカス移動のオプションを指定します。詳細は、Qtドキュメントを参照してください。
next: trueの場合、次のアイテムにフォーカスを移動します。falseの場合、前のアイテムにフォーカスを移動します。

メソッドは、成功した場合にtrueを返し、失敗した場合にfalseを返します。失敗する可能性のあるケースとしては、フォーカス移動可能なアイテムが存在しない場合などが挙げられます。

具体的な使用方法

以下のコード例は、QAbstractItemView::focusNextPrevChild() メソッドを使用して、キーボードの矢印キーでアイテムビュー内のフォーカスを移動させる例です。

void MyWidget::keyPressEvent(QKeyEvent *event) {
    if (event->key() == Qt::Key_Down) {
        focusNextPrevChild(true);
    } else if (event->key() == Qt::Key_Up) {
        focusNextPrevChild(false);
    }
}

このコードでは、キーが下方向キーの場合は focusNextPrevChild(true) を呼び出し、次のアイテムにフォーカスを移動します。キーが上方向キーの場合は focusNextPrevChild(false) を呼び出し、前のアイテムにフォーカスを移動します。

より詳細な制御が必要な場合は、QAbstractItemView::setCurrentIndex() メソッドや QModelIndex::sibling() メソッドなどを組み合わせて使用することができます。
フォーカス移動の動作は、アイテムビューの編集モードや選択モードによっても影響を受ける場合があります。
QAbstractItemView::focusNextPrevChild() メソッドは、アイテムビュー内のすべてのアイテムを順番にフォーカスするわけではありません。フォーカス移動可能なアイテムのみが対象となります。

class MyWidget : public QWidget {
public:
    MyWidget(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    void keyPressEvent(QKeyEvent *event) override;

private:
    QAbstractItemView *itemView;
};

MyWidget::MyWidget(QWidget *parent) :
    QWidget(parent)
{
    itemView = new QListView(this);
    itemView->setModel(new QStringListModel(QStringList{"Item 1", "Item 2", "Item 3"}));

    QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout;
    layout->addWidget(itemView);
    setLayout(layout);
}

void MyWidget::keyPressEvent(QKeyEvent *event) {
    if (event->key() == Qt::Key_Down) {
        itemView->focusNextPrevChild(true);
    } else if (event->key() == Qt::Key_Up) {
        itemView->focusNextPrevChild(false);
    }
}

例2：プログラムによるフォーカス移動

このコード例は、focusNextPrevChild() メソッドを使用して、プログラム的にアイテムビュー内のフォーカスを移動させる例です。

class MyWidget : public QWidget {
public:
    MyWidget(QWidget *parent = nullptr);

signals:
    void currentItemChanged(const QModelIndex &index);

private:
    QAbstractItemView *itemView;
};

MyWidget::MyWidget(QWidget *parent) :
    QWidget(parent)
{
    itemView = new QListView(this);
    itemView->setModel(new QStringListModel(QStringList{"Item 1", "Item 2", "Item 3"}));
    connect(itemView, &QAbstractItemView::selectionChanged, this, &MyWidget::currentItemChanged);

    QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout;
    layout->addWidget(itemView);
    setLayout(layout);
}

void MyWidget::currentItemChanged(const QModelIndex &index) {
    // フォーカスを次のアイテムに移動
    if (index.row() < itemView->model()->rowCount() - 1) {
        itemView->focusNextPrevChild(true);
    }
}

例2 では、currentItemChanged() シグナルスロット接続を使用して、アイテム選択時に次のアイテムにフォーカスを移動します。
例1 では、keyPressEvent() メソッド内で event->key() によって押されたキーを取得し、それが下方向キー（Qt::Key_Down）または上方向キー（Qt::Key_Up）の場合は itemView->focusNextPrevChild() メソッドを呼び出してフォーカスを移動します。

代替方法

QModelIndex::sibling() メソッド

この方法は、現在のアイテムの兄弟アイテムにフォーカスを移動させるために使用できます。兄弟アイテムとは、同じ親アイテムを持つアイテムのことを指します。

QModelIndex currentIndex = itemView->currentIndex();
if (currentIndex.isValid()) {
    QModelIndex nextSiblingIndex = currentIndex.sibling(currentIndex.row() + 1, currentIndex.column());
    if (nextSiblingIndex.isValid()) {
        itemView->setCurrentIndex(nextSiblingIndex);
    }
}

利点

兄弟アイテム以外のアイテムにフォーカスを移動させることも可能。
特定の条件に基づいてフォーカスを移動させることができる。

欠点

フォーカス移動のロジックが複雑になる場合がある。
QModelIndex::sibling() メソッドは、必ずしも次のフォーカス可能なアイテムを返すわけではない。

QModelIndex::parent() メソッド

この方法は、現在のアイテムの親アイテムにフォーカスを移動させるために使用できます。

QModelIndex currentIndex = itemView->currentIndex();
if (currentIndex.isValid() && currentIndex.parent().isValid()) {
    itemView->setCurrentIndex(currentIndex.parent());
}

利点

親アイテムにフォーカスを移動させるのが簡単。

欠点

現在のアイテムが最上位レベルにある場合は、親アイテムが存在しない。
兄弟アイテムにはフォーカスを移動できない。

QModelIndex::child() メソッド

QModelIndex currentIndex = itemView->currentIndex();
if (currentIndex.isValid() && currentIndex.hasChildren()) {
    itemView->setCurrentIndex(currentIndex.child(0, 0)); // 最初の子供アイテムにフォーカス
}

利点

子アイテムにフォーカスを移動させるのが簡単。

欠点

現在のアイテムに子アイテムが存在しない場合は、フォーカスを移動できない。
兄弟アイテムにはフォーカスを移動できない。

QAbstractItemView::setCurrentIndex() メソッド

この方法は、モデルインデックスを使用して、フォーカスを移動させるために使用できます。

QModelIndex targetIndex = ...; // フォーカスを移動したいアイテムのモデルインデックス
itemView->setCurrentIndex(targetIndex);

利点

任意のアイテムにフォーカスを移動させることができる。

欠点

フォーカス移動のロジックが複雑になる場合がある。
モデルインデックスを取得する必要がある。

上記以外にも、アイテムビュー内のフォーカスを移動させる方法はいくつかあります。例えば、QAbstractItemView::scrollTo() メソッドを使用して、フォーカスを移動したいアイテムを表示領域内に移動させることもできます。

最適な方法の選択

どの方法が最適かは、状況によって異なります。考慮すべき要素としては、以下の点が挙げられます。

フォーカス移動のロジックの複雑さ
フォーカス移動の条件
フォーカスを移動したいアイテムの種類

QAbstractItemView::focusNextPrevChild() メソッドは、アイテムビュー内のフォーカスを移動させる便利な機能ですが、状況によっては代替方法の方が適切な場合もあります。上記で紹介した代替方法を理解することで、より柔軟なフォーカス移動を実現することができます。

より詳細な制御が必要な場合は、QAbstractItemView::setCurrentIndex() メソッドや QModelIndex::sibling() メソッドなどを組み合わせて使用することができます。
フォーカス移動の動作は、アイテムビューの編集モードや選択モードによっても影響を受ける場合があります。

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