std::swap()関数を使用する


Qt GUIライブラリに含まれるQPolygonクラスは、2D空間における多角形を定義するためのデータ構造を提供します。QPolygon::swap()メソッドは、2つのQPolygonインスタンスの内容を効率的に交換するために使用されます。

メソッドの役割

QPolygon::swap()メソッドは、2つのQPolygonインスタンス間でポイントデータを直接交換します。つまり、それぞれのインスタンスが保持するポイントデータの参照が入れ替わることで、データのコピーや移動処理を伴わずに高速な交換を実現します。

メソッドの利点

  • コードが簡潔になり、可読性が向上
  • メモリ効率に優れ、特に大きなサイズの多角形を扱う場合に効果的
  • データのコピーや移動処理が発生しないため、非常に高速な操作が可能

メソッドの構文

void QPolygon::swap(QPolygon &other);

パラメータ解説

  • other: 交換対象となるQPolygonインスタンスへの参照

戻り値

なし

QPolygon polygon1;
polygon1 << QPoint(10, 20) << QPoint(50, 30) << QPoint(40, 60);

QPolygon polygon2;
polygon2 << QPoint(70, 80) << QPoint(120, 90) << QPoint(110, 130);

polygon1.swap(polygon2);

// ここでpolygon1にはpolygon2の内容が、polygon2にはpolygon1の内容が格納されている
  • QPolygon::swap()メソッドは、Qt GUI 5.1以降で使用可能です。
  • メソッドの実行後、元のインスタンスの内容は失われます。
  • QPolygon::swap()メソッドは、2つのインスタンスが異なるサイズであっても問題なく使用できます。


#include <QPolygon>

int main() {
  // 多角形を作成
  QPolygon polygon1;
  polygon1 << QPoint(10, 20) << QPoint(50, 30) << QPoint(40, 60);

  QPolygon polygon2;
  polygon2 << QPoint(70, 80) << QPoint(120, 90) << QPoint(110, 130);

  // 多角形の内容を交換
  polygon1.swap(polygon2);

  // 交換後の多角形の内容を出力
  for (const QPoint& point : polygon1) {
    std::cout << point.x() << ", " << point.y() << std::endl;
  }

  for (const QPoint& point : polygon2) {
    std::cout << point.x() << ", " << point.y() << std::endl;
  }

  return 0;
}

このコードの説明

  1. #include <QPolygon> ヘッダーファイルを読み込みます。このファイルは、QPolygonクラスの宣言を提供します。
  2. main() 関数を定義します。この関数はプログラムのエントリーポイントです。
  3. polygon1polygon2 という名前の 2 つの QPolygon インスタンスを作成します。
  4. polygon1 インスタンスに 3 つのポイントを追加します。
  5. polygon2 インスタンスに 3 つのポイントを追加します。
  6. polygon1.swap(polygon2) を使用して、2 つの多角形の内容を交換します。
  7. 交換後の polygon1polygon2 の内容をループで出力します。

実行結果

70, 80
120, 90
110, 130
10, 20
50, 30
40, 60

このコードを実行すると、polygon1polygon2 の内容が交換されていることが確認できます。



std::swap()関数を使用する

C++標準ライブラリに含まれるstd::swap()関数を使用して、2つのQPolygonインスタンスの内容を交換することができます。この関数は、2つの任意の型のオブジェクトの内容を交換するために使用することができます。

#include <algorithm>

int main() {
  // ... (QPolygonインスタンスの作成)

  std::swap(polygon1, polygon2);

  // ... (交換後の処理)

  return 0;
}

QPolygon::operator=を使用する

QPolygonクラスは、代入演算子(=)をオーバーロードしています。この演算子を使用して、1つのQPolygonインスタンスの内容を別のQPolygonインスタンスにコピーすることができます。

int main() {
  // ... (QPolygonインスタンスの作成)

  polygon1 = polygon2;

  // ... (交換後の処理)

  return 0;
}

手動でポイントデータをコピーする

最後の手段として、手動で各ポイントデータをループでコピーする方法があります。この方法は最も時間がかかり、コードも煩雑になりますが、他の方法が使用できない場合に有用です。

int main() {
  // ... (QPolygonインスタンスの作成)

  for (int i = 0; i < polygon1.size(); ++i) {
    QPoint point = polygon2[i];
    polygon1[i] = point;
  }

  // ... (交換後の処理)

  return 0;
}

それぞれの方法の比較

方法利点欠点
std::swap()シンプルでわかりやすい型チェックが必要
QPolygon::operator=シンプルでわかりやすいメモリのコピーが発生
手動でポイントデータをコピー柔軟性が高いコードが煩雑で時間がかかる

どの方法を使用するかは、状況によって異なります。一般的には、std::swap()またはQPolygon::operator=を使用するのが最も簡単で効率的です。しかし、メモリ使用量を節約したい場合や、特殊な処理が必要な場合は、手動でポイントデータをコピーする方法を使用する必要があります。

  • 読みやすさ: どの方法も、適切なコメントを記述すれば読みやすくすることができます。
  • コードの簡潔さ: std::swap()QPolygon::operator=は、手動でポイントデータをコピーするよりもコードが簡潔です。
  • パフォーマンス: std::swap()QPolygon::operator=は、手動でポイントデータをコピーするよりも高速です。