Qt GUIプログラミング: パスをポリゴンに変換して塗りつぶす QPainterPath::toFillPolygon()
QPainterPath::toFillPolygon()は、Qt GUIライブラリにおける重要なメソッドの一つです。これは、QPainterPathオブジェクトをQPolygonFオブジェクトに変換し、そのパスを塗りつぶすためのポリゴンを作成します。このメソッドは、さまざまな形状を塗りつぶす際に使用され、Qt GUIアプリケーションのグラフィックス機能を拡張するのに役立ちます。
機能
QPainterPath::toFillPolygon()は、以下の機能を提供します。
- 精度制御
ポリゴンの精度は、toFillPolygon()メソッドの引数として指定できます。精度が高いほど、ポリゴンは滑らかに表示されますが、計算量も増加します。 - 塗りつぶし規則の設定
塗りつぶし規則は、ポリゴンの内側と外側をどのように定義するかを決定します。toFillPolygon()メソッドは、Qt::OddEvenFillとQt::WindingFillの2つの塗りつぶし規則をサポートしています。 - パスをポリゴンに変換
QPainterPathオブジェクトは、線、曲線、円弧などの様々な要素で構成されます。toFillPolygon()メソッドは、これらの要素を単純なポリゴンに変換し、塗りつぶし操作を容易にします。
使用方法
QPainterPath::toFillPolygon()メソッドは、以下のコードのように使用できます。
QPainterPath path;
path.moveTo(10, 20);
path.lineTo(50, 20);
path.lineTo(50, 60);
path.lineTo(10, 60);
path.close();
QPolygonF polygon = path.toFillPolygon();
// ポリゴンを使用して塗りつぶし操作を実行
このコード例では、pathオブジェクトは長方形を表すパスを作成します。toFillPolygon()メソッドは、このパスをpolygonオブジェクトに変換します。polygonオブジェクトは、長方形を塗りつぶすために使用できます。
QPainterPath::toFillPolygon()メソッドは、塗りつぶし以外の操作にも使用できます。例えば、パスをクリップしたり、マスクを作成したりするために使用できます。QPainterPath::toFillPolygon()メソッドは、複雑な形状を持つパスを処理する場合、精度が低くなる可能性があります。そのような場合は、QPolygonApproximatorクラスを使用して、ポリゴンを簡略化することを検討してください。
#include <QApplication>
#include <QPainter>
#include <QPainterPath>
#include <QWidget>
class MyWidget : public QWidget {
public:
MyWidget() {
setFixedSize(200, 100);
}
protected:
void paintEvent(QPaintEvent *event) override {
QPainter painter(this);
QPainterPath path;
path.moveTo(10, 20);
path.lineTo(50, 20);
path.lineTo(50, 60);
path.lineTo(10, 60);
path.close();
QPolygonF polygon = path.toFillPolygon();
painter.setPen(Qt::black);
painter.drawPath(path);
painter.setBrush(Qt::red);
painter.fillPolygon(polygon);
}
};
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
MyWidget widget;
widget.show();
return app.exec();
}
このコードを実行すると、以下のようになります。
例2：複雑な形状の塗りつぶし
#include <QApplication>
#include <QPainter>
#include <QPainterPath>
#include <QWidget>
class MyWidget : public QWidget {
public:
MyWidget() {
setFixedSize(200, 100);
}
protected:
void paintEvent(QPaintEvent *event) override {
QPainter painter(this);
QPainterPath path;
path.moveTo(20, 20);
path.quadraticCurveTo(50, 20, 80, 50);
path.cubicTo(80, 80, 50, 80, 20, 50);
path.lineTo(20, 20);
QPolygonF polygon = path.toFillPolygon();
painter.setPen(Qt::black);
painter.drawPath(path);
painter.setBrush(Qt::green);
painter.fillPolygon(polygon);
}
};
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
MyWidget widget;
widget.show();
return app.exec();
}
例3：塗りつぶし規則の設定
この例では、QPainterPath::toFillPolygon()メソッドを使用して塗りつぶし規則を設定します。
#include <QApplication>
#include <QPainter>
#include <QPainterPath>
#include <QWidget>
class MyWidget : public QWidget {
public:
MyWidget() {
setFixedSize(200, 100);
}
protected:
void paintEvent(QPaintEvent *event) override {
QPainter painter(this);
QPainterPath path;
path.moveTo(20, 20);
path.lineTo(50, 20);
path.lineTo(50, 60);
path.lineTo(10, 60);
path.close();
QPolygonF polygon1 = path.toFillPolygon(Qt::OddEvenFill);
QPolygonF polygon2 = path.toFillPolygon(Qt::WindingFill);
painter.setPen(Qt::black);
painter.drawPath(path);
painter.setBrush(Qt::red);
painter.fillPolygon(polygon1);
painter.setBrush(Qt::green);
painter.translate(80, 0);
painter.fillPolygon(polygon2);
}
};
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
MyWidget widget;
widget.show();
return app.exec();
}
代替方法
- QPainter::drawPath()
この方法は、パスを直接描画する方法です。QPainterPath::toFillPolygon() と比べて以下の利点があります。
- より高速な場合がある: 特に複雑な形状でない場合。
- より柔軟な制御が可能: パスをストロークしたり、クリップしたり、マスクしたりできます。
一方で、以下の欠点もあります。
- 塗りつぶし規則を直接設定できない。
- ポリゴンに変換しないため、塗りつぶし以外の操作には使用できない。
- QPolygonApproximator::approximatePolygon()
この方法は、パスを簡略化してポリゴンに変換する方法です。QPainterPath::toFillPolygon() と比べて以下の利点があります。
- 複雑な形状を簡略化できる: パフォーマンスを向上させることができます。
- 精度を調整できる: ポリゴンの滑らかさを制御できます。
- すべての形状に適しているわけではない。
- オリジナルのパスよりも精度が低下する可能性がある。
- 独自のポリゴン生成アルゴリズム
複雑な形状や特殊な要件がある場合は、独自のポリゴン生成アルゴリズムを開発することもできます。この方法は、以下の利点があります。
- 既存のライブラリに依存しない。
- 完全な制御が可能: 必要な精度と要件を満たすポリゴンを生成できます。
- パフォーマンスが劣化する可能性がある。
- 開発とテストに時間がかかる。