図形描画のワンポイントアドバイス:Qt GUIにおけるQPainterPath::closeSubpath()の活用法


QPainterPath::closeSubpath()は、Qt GUIにおける描画パスを操作する関数の一つです。この関数は、現在のサブパスを閉じて、開始点と終了点を結ぶ直線を追加します。サブパスとは、一連の描画命令で構成された、パスの連続した部分です。

用途

QPainterPath::closeSubpath()は、主に以下の用途で使用されます。

  • 塗りつぶしの制御
    塗りつぶしの種類によっては、サブパスが閉じていないと、意図したように塗りつぶされない場合があります。QPainterPath::closeSubpath()を使用してサブパスを閉じることで、塗りつぶしの範囲を制御することができます。
  • 閉じた図形の描画
    円形、矩形、星形などの閉じた図形を描画する場合に、QPainterPath::closeSubpath()を使用してサブパスを閉じることで、図形が正しく描画されます。

以下のコードは、QPainterPath::closeSubpath()を使用して矩形を描く例です。

QPainterPath path;
path.moveTo(10, 20);
path.lineTo(50, 20);
path.lineTo(50, 60);
path.lineTo(10, 60);
path.closeSubpath();

QPainter painter(widget);
painter.setPen(Qt::black);
painter.drawPath(path);

このコードを実行すると、以下の矩形が描画されます。

  • QPainterPath::closeSubpath()は、現在のサブパスの開始点と終了点が一致している場合のみ有効です。そうでない場合は、何も起こりません。
  • QPainterPath::closeSubpath()は、現在のサブパスのみを閉じます。複数のサブパスがある場合は、それぞれに対してQPainterPath::closeSubpath()を呼び出す必要があります。


QPainterPath path;
path.moveTo(50, 70);
path.cubicTo(35, 100, 65, 100, 50, 70);
path.moveTo(70, 30);
path.cubicTo(55, 50, 40, 50, 30, 30);
path.cubicTo(25, 10, 60, 10, 50, 30);
path.closeSubpath();

QPainter painter(widget);
painter.setPen(Qt::red);
painter.drawPath(path);

このコードを実行すると、以下のハートが描画されます。

例2:星を描く

QPainterPath path;
for (int i = 0; i < 5; ++i) {
    path.moveTo(50, 110 - 40 * i);
    path.lineTo(70, 70 - 20 * i);
    path.lineTo(90, 110 - 40 * i);
    path.closeSubpath();
}

QPainter painter(widget);
painter.setPen(Qt::yellow);
painter.drawPath(path);

例3:複雑な図形を描く

この例では、QPainterPath::closeSubpath()を使用して、より複雑な図形を描くコードを紹介します。

QPainterPath path;
path.moveTo(100, 200);
path.quadraticTo(50, 300, 200, 300);
path.cubicTo(150, 350, 100, 400, 150, 450);
path.quadraticTo(200, 400, 250, 350);
path.cubicTo(300, 300, 250, 250, 200, 200);
path.closeSubpath();

QPainter painter(widget);
painter.setPen(Qt::blue);
painter.drawPath(path);


代替方法

以下に、QPainterPath::closeSubpath()の代替方法をいくつか紹介します。

最後の点と最初の点を直接結ぶ

最も単純な代替方法は、最後の点と最初の点を直接結ぶことです。これは、以下のコードのようにlineTo()関数を使用して行うことができます。

path.lineTo(path.elementAt(0));

moveTo()を使用して開始点に移動する

別の方法は、moveTo()関数を使用して開始点に移動し、現在の点を終了点として設定することです。これは、以下のコードのように行うことができます。

path.moveTo(path.elementAt(0));
path.lineTo(path.currentPosition());

fillConvexPolygon()関数を使用する

塗りつぶしの種類によっては、fillConvexPolygon()関数を使用してサブパスを閉じて塗りつぶす方が効率的な場合があります。これは、以下のコードのように行うことができます。

QVector<QPointF> points;
path.getPointsInto(points);
painter.fillConvexPolygon(points);

fillPath()関数を使用する

塗りつぶしの種類によっては、fillPath()関数を使用してサブパスを閉じて塗りつぶす方が効率的な場合があります。これは、以下のコードのように行うことができます。

painter.fillPath(path);

選択の指針

どの代替方法を使用するかは、状況によって異なります。以下の点を考慮して選択してください。

  • 塗りつぶしの種類
    塗りつぶしの種類によっては、fillPath()関数を使用する方が効率的な場合があります。
  • 正確性
    moveTo()を使用して開始点に移動する方法とfillConvexPolygon()関数は、より正確な結果を得ることができます。
  • パフォーマンス
    最後の点と最初の点を直接結ぶ方法は、最も単純でパフォーマンスも優れています。