Image.status
2025-05-31
statusプロパティは以下のいずれかの値を持ちます。
-
Image.Error:- 画像の読み込み中にエラーが発生したことを示します。
- 例えば、指定されたファイルが見つからない、ネットワークエラーが発生した、サポートされていない画像形式である、といった場合にこの状態になります。
-
Image.Loading:- 画像が現在読み込み中であることを示します。
- ネットワークから画像をダウンロードしている場合や、大きな画像を非同期で読み込んでいる場合などにこの状態になります。
-
Image.Ready:- 画像が正常に読み込まれ、表示可能であることを示します。
- この状態になったら、画像がUIに表示されます。
-
Image.Null:- これは初期状態、または画像が設定されていない状態を示します。
- 例えば、
sourceプロパティがまだ設定されていない場合や、無効なURLが設定された場合などです。
Image.statusの使用例
このプロパティは、画像の読み込み状況に基づいてUIの挙動を制御するのに非常に役立ちます。例えば、以下のような使い方ができます。
-
プログレス表示の更新
Image.Loading状態のときにプログレスバーを表示したり、Image.Readyになったらプログレスバーを非表示にしたりできます。Image { id: myImage source: "http://example.com/large_image.jpg" asynchronous: true // 非同期読み込みを有効にする onStatusChanged: { if (myImage.status === Image.Loading) { console.log("画像を読み込み中..."); // プログレスバーを表示するなどの処理 } else if (myImage.status === Image.Ready) { console.log("画像の読み込みが完了しました！"); // プログレスバーを非表示にするなどの処理 } else if (myImage.status === Image.Error) { console.log("画像の読み込み中にエラーが発生しました。"); // エラーメッセージを表示するなどの処理 } } } -
UIの有効化/無効化
画像が完全に読み込まれるまで、画像に関連するUI要素（ボタンなど）を無効にしておくことができます。Image { id: galleryImage source: "qrc:/images/photo.png" Button { text: "画像を編集" enabled: galleryImage.status === Image.Ready // 画像がReadyになったらボタンを有効にする onClicked: { // 画像編集のロジック } } } -
状態に基づくQMLの挙動変更
when句を使って状態遷移をトリガーすることができます。Image { id: dynamicImage source: "some_image.png" states: [ State { name: "loaded" when: dynamicImage.status === Image.Ready // 画像が読み込まれたときに適用するプロパティ変更 PropertyChanges { target: dynamicImage; opacity: 1 } }, State { name: "loading" when: dynamicImage.status === Image.Loading // 画像が読み込み中のときに適用するプロパティ変更 PropertyChanges { target: dynamicImage; opacity: 0.5 } } ] transitions: Transition { to: "*" PropertyAnimation { properties: "opacity"; duration: 200 } } }
Image.status が Image.Error になる一般的な原因とトラブルシューティング
Image.Errorは、画像の読み込みに失敗したことを意味します。このエラーが発生する主な原因は以下の通りです。
ファイルパスの間違いまたは存在しないファイル
原因
- 大文字・小文字の区別（特にLinux環境）が間違っている。
- 画像ファイルが指定された場所に存在しない。
sourceプロパティで指定されたパスが間違っている。
トラブルシューティング
- リソースファイル (.qrc) の使用
- アプリケーションに画像をバンドルする場合、Qtリソースシステム（.qrcファイル）を使用します。
- 一般的な間違い
.qrcファイルに追加したものの、QML側で正しいパス (qrc:///prefix/image.png) で参照していないケースが多いです。 - 確認点
.qrcファイルがプロジェクトファイル（.proまたはCMakeLists.txt）に追加されているか？.qrcファイル内で画像が正しくリストされているか？prefixが設定されている場合、QMLのsourceでそのprefixが正しく使われているか？ （例:<qresource prefix="/images"> <file>my_image.png</file> </qresource>の場合、QMLではsource: "qrc:/images/my_image.png"となります）
- 例
myresources.qrc:<!DOCTYPE RCC><RCC version="1.0"> <qresource prefix="/img"> <file>icon.png</file> <file>background.jpg</file> </qresource> </RCC>main.qml:Image { source: "qrc:/img/icon.png" // 正しいパス }.proファイル (qmakeの場合):RESOURCES += myresources.qrcCMakeLists.txt(CMakeの場合):qt_add_resources(MY_APP_RESOURCES myresources.qrc) target_link_libraries(myapp PRIVATE Qt::Quick ${MY_APP_RESOURCES}) # MY_APP_RESOURCESをリンク
- 絶対パスと相対パス
- ローカルファイルの場合、絶対パス (
file:///path/to/your/image.pngまたは Windows の場合はfile:///C:/path/to/your/image.png) を試すか、アプリケーションの実行ディレクトリからの相対パスを使用している場合は、その相対パスが正しいかを確認します。 - QMLファイルと同じディレクトリにある画像を参照する場合、単純に
source: "image.png"のように記述できますが、サブディレクトリにある場合はsource: "images/image.png"のように記述する必要があります。
- ローカルファイルの場合、絶対パス (
- パスの確認
指定したファイルパスが正しいか、スペルミスがないか、大文字・小文字が正確かを確認します。
サポートされていない画像形式または破損した画像
原因
- 必要な画像フォーマットプラグインがアプリケーションに含まれていない（特にデプロイ時）。
- 画像ファイルが破損している。
- Qtがサポートしていない画像形式（例: 特定のRAW形式など）。
トラブルシューティング
- プラグインのデプロイ
アプリケーションをデプロイする際、imageformatsディレクトリ内の必要なQtプラグイン（例:qjpeg.dll,qgif.dll,qpng.dllなど）がアプリケーションの実行可能ファイルと同じディレクトリ、または適切なプラグインパスにコピーされていることを確認します。windeployqt(Windows) やlinuxdeployqt(Linux) などのデプロイツールを使用すると、必要なプラグインが自動的に収集されます。 - 別の画像でテスト
別の既知の正常な画像ファイルで同じImage要素をテストし、画像ファイル自体に問題がないか確認します。 - 画像形式の確認
PNG, JPEG, GIFなどの一般的な形式を使用しているか確認します。
ネットワークの問題 (URLを使用する場合)
原因
- サーバーがダウンしている、またはファイルが存在しない。
- ファイアウォールやプロキシによってアクセスがブロックされている。
- インターネット接続がない、または不安定。
- 指定されたURLが間違っている。
トラブルシューティング
- ファイアウォール/プロキシ
環境によっては、ファイアウォールやプロキシの設定が必要になる場合があります。Qtアプリケーションがネットワークにアクセスできるよう、必要な設定を行います。 - インターネット接続
ネットワーク接続が正常か確認します。 - URLの確認
ブラウザで同じURLにアクセスして画像が表示されるか確認します。
QQuickImageProvider の実装ミス (カスタム画像プロバイダを使用する場合)
原因
requestImageまたはrequestPixmapメソッドでエラーが発生している。- カスタムの
QQuickImageProviderが画像を正しく提供できていない。
トラブルシューティング
- スレッドセーフティ
ImageProviderは非同期で呼び出される可能性があるため、スレッドセーフに実装されているか確認します。 - エンジンへの登録
QQmlApplicationEngine::addImageProvider()で正しくプロバイダが登録されているか確認します。 - ImageProviderのデバッグ
QQuickImageProviderの実装内で、エラーメッセージやデバッグ出力を追加して、画像が正しくロードされているか、またはエラーが発生している場所を特定します。
メモリ不足
原因
- 非常に大きな画像を一度に多数読み込もうとしている場合、メモリ不足になることがあります。
- cacheプロパティ
cache: falseを設定すると、QMLは画像をキャッシュせず、毎回再読み込みします。メモリ消費を抑えたい場合は試す価値がありますが、パフォーマンスは低下する可能性があります。 - asynchronousプロパティ
asynchronous: trueを設定することで、画像の読み込みをバックグラウンドスレッドで行い、UIのブロックを防ぐことができますが、メモリ使用量自体を減らすわけではありません。 - 画像サイズの最適化
可能であれば、画像をあらかじめ適切なサイズにリサイズしておくことで、メモリ使用量を減らすことができます。
-
デプロイメント時の注意
開発環境ではうまくいくのに、デプロイしたアプリケーションでは画像が読み込めない場合、ほぼ確実にファイルパスの問題か、必要なプラグインが不足していることが原因です。windeployqtやlinuxdeployqtといったツールを正しく使うことが重要です。 -
Qt Creator のデバッグ機能
Qt CreatorにはQMLデバッガが内蔵されており、ブレークポイントを設定したり、プロパティの値を検査したりすることができます。これにより、sourceプロパティが予期しない値になっているなどの問題を特定できます。 -
console.log() の活用
QMLコードの様々な箇所でconsole.log()を使用して、変数の値やコードの実行フローを確認します。 -
onStatusChanged シグナルの利用
Image要素のonStatusChangedシグナルハンドラ内でstatusプロパティをチェックし、ログ出力することで、画像の読み込みプロセスを追跡できます。特にImage.Errorになった際に、具体的なエラーメッセージや、その時点でのsourceプロパティの値などを出力すると原因特定に役立ちます。Image { id: myImage source: "some_image_that_might_fail.png" onStatusChanged: { console.log("Image status changed to:", myImage.status); if (myImage.status === Image.Error) { console.error("Image loading error for:", myImage.source); // 必要であれば、より詳細なエラー情報にアクセス (通常はQMLから直接は難しいが、C++のImageProvider経由なら可能) } } }
例1: 読み込み中のインジケーター表示とエラーメッセージ
この例では、画像が読み込み中の場合は円形のプログレスインジケーターを表示し、読み込みが完了したら画像を、エラーが発生したらエラーメッセージを表示します。
// main.qml
import QtQuick
import QtQuick.Controls
ApplicationWindow {
width: 640
height: 480
visible: true
title: "Image Status Example"
Column {
anchors.centerIn: parent
spacing: 20
// 正常に読み込まれる画像 (例: Qtのリソースファイル)
// プロジェクトに 'images/success.png' というファイルを追加し、.qrcに含める
// .qrc: <qresource prefix="/images"><file>success.png</file></qresource>
ImageStatusDisplay {
id: successImageDisplay
imageSource: "qrc:/images/success.png" // 成功する画像パス
width: 200
height: 200
}
// 存在しない画像 (エラーが発生する例)
ImageStatusDisplay {
id: errorImageDisplay
imageSource: "qrc:/images/non_existent_image.png" // 存在しない画像パス
width: 200
height: 200
}
// 外部の大きな画像 (読み込み中を示す例)
// 実際には大きな画像URLに置き換えてください
ImageStatusDisplay {
id: remoteImageDisplay
imageSource: "https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b6/Image_created_with_a_neural_network_DALL-E_3.jpg/800px-Image_created_with_a_neural_network_DALL-E_3.jpg" // 外部の大きな画像
width: 200
height: 200
}
}
}
// ImageStatusDisplay.qml (カスタムコンポーネント)
import QtQuick
import QtQuick.Controls
Item {
property alias imageSource: imageLoader.source
property alias imageWidth: imageLoader.width
property alias imageHeight: imageLoader.height
width: imageWidth
height: imageHeight
Image {
id: imageLoader
source: "" // ここはプロパティで設定
fillMode: Image.PreserveAspectFit
anchors.fill: parent
asynchronous: true // 非同期読み込みを有効にする
onStatusChanged: {
console.log("Image status for", imageLoader.source, ":", imageLoader.status)
// statusプロパティが変更されたときに、表示を更新
statusMessage.visible = (imageLoader.status !== Image.Ready)
loadingIndicator.visible = (imageLoader.status === Image.Loading)
errorMessage.visible = (imageLoader.status === Image.Error)
}
}
// 読み込みインジケーター (Image.Loading)
BusyIndicator {
id: loadingIndicator
anchors.centerIn: parent
running: true // 常に回転させる
visible: false // 初期状態では非表示
}
// ステータス表示テキスト (Image.Null, Image.Loading, Image.Error)
Text {
id: statusMessage
anchors.centerIn: parent
color: "gray"
font.pointSize: 12
visible: false // 初期状態では非表示
text: {
if (imageLoader.status === Image.Null) {
return "画像が未設定です"
} else if (imageLoader.status === Image.Loading) {
return "読み込み中..."
} else { // Image.Error
return "" // エラーメッセージは別途表示
}
}
}
// エラーメッセージ (Image.Error)
Text {
id: errorMessage
anchors.centerIn: parent
color: "red"
font.pointSize: 14
wrapMode: Text.WordWrap
horizontalAlignment: Text.AlignHCenter
text: "画像の読み込みに失敗しました。\n(パス: " + imageLoader.source + ")"
visible: false // 初期状態では非表示
}
}
説明
asynchronous: trueを設定することで、大きな画像やネットワーク上の画像の読み込みがUIスレッドをブロックしないようにしています。Image要素のonStatusChangedシグナルハンドラ内で、imageLoader.statusの値をチェックし、BusyIndicatorやText要素のvisibleプロパティを切り替えています。ImageStatusDisplay.qmlは、画像の読み込み状態に応じた表示ロジックをカプセル化したカスタムコンポーネントです。
例2: ボタンの有効/無効制御
画像が完全に読み込まれるまで、その画像に関連するボタンを無効にする例です。
// main.qml
import QtQuick
import QtQuick.Controls
ApplicationWindow {
width: 400
height: 300
visible: true
title: "Button Enable/Disable Example"
Column {
anchors.centerIn: parent
spacing: 10
alignment: Qt.AlignHCenter
Image {
id: profileImage
source: "qrc:/images/profile_pic.jpg" // 存在する画像パスに置き換える
width: 150
height: 150
fillMode: Image.PreserveAspectFit
asynchronous: true
// 画像のステータスに基づいて、テキストを変更
Text {
anchors.top: parent.bottom
anchors.horizontalCenter: parent.horizontalCenter
text: profileImage.status === Image.Ready ? "画像準備完了" : "画像読み込み中..."
color: profileImage.status === Image.Ready ? "green" : "orange"
font.pointSize: 10
}
}
Button {
text: "プロフィールを編集"
// 画像がImage.Ready状態の時だけボタンを有効にする
enabled: profileImage.status === Image.Ready
onClicked: {
console.log("プロフィール編集ボタンがクリックされました！");
// 編集画面への遷移などのロジック
}
}
Button {
text: "画像を再読み込み"
// エラー時にも再読み込みできるように、enabled条件を調整
enabled: profileImage.status === Image.Ready || profileImage.status === Image.Error
onClicked: {
console.log("画像を再読み込み中...");
// sourceを空にしてから再度設定することで、画像を再読み込みさせる
profileImage.source = ""
profileImage.source = "qrc:/images/profile_pic.jpg" // 同じパスを再度設定
}
}
}
}
説明
- 「画像を再読み込み」ボタンは、画像が
ReadyまたはError状態のときに有効になり、sourceプロパティを空にしてから再度設定することで画像を強制的に再読み込みさせています。これは、ネットワークエラーから回復しようとする場合などに便利です。 Text要素で、画像のステータスに応じたメッセージと色を表示しています。profileImageのstatusプロパティがImage.Readyになったときにのみ、「プロフィールを編集」ボタンが有効になります。
Image.statusをトリガーとしてQMLのstatesとtransitionsを利用し、スムーズなアニメーションを実現する例です。
// main.qml
import QtQuick
import QtQuick.Controls
ApplicationWindow {
width: 600
height: 400
visible: true
title: "Image Status States Example"
Rectangle {
id: imageContainer
width: 300
height: 300
anchors.centerIn: parent
color: "#f0f0f0"
border.color: "lightgray"
border.width: 1
Image {
id: myDynamicImage
source: "https://picsum.photos/300/300?random=" + Math.random() // ランダムな画像を読み込む
fillMode: Image.PreserveAspectFit
anchors.centerIn: parent
width: 0 // 初期状態では非表示
height: 0 // 初期状態では非表示
opacity: 0 // 初期状態では透明
asynchronous: true
// 画像のステータスに基づいて状態を定義
states: [
State {
name: "loading"
when: myDynamicImage.status === Image.Loading
// 読み込み中はImageを小さく、半透明に
PropertyChanges { target: myDynamicImage; width: 50; height: 50; opacity: 0.5 }
},
State {
name: "ready"
when: myDynamicImage.status === Image.Ready
// 準備完了でImageを元のサイズに戻し、不透明に
PropertyChanges { target: myDynamicImage; width: imageContainer.width; height: imageContainer.height; opacity: 1 }
},
State {
name: "error"
when: myDynamicImage.status === Image.Error
// エラー時はImageを非表示にし、エラーテキストを表示
PropertyChanges { target: myDynamicImage; width: 0; height: 0; opacity: 0 }
PropertyChanges { target: errorText; visible: true; opacity: 1 }
}
]
// 状態間の遷移アニメーション
transitions: Transition {
// すべての状態への遷移に適用
to: "*"
// プロパティアニメーション
ParallelAnimation {
NumberAnimation { properties: "width,height"; duration: 300; easing.type: Easing.OutCubic }
NumberAnimation { properties: "opacity"; duration: 200 }
}
}
}
// エラーメッセージ
Text {
id: errorText
anchors.centerIn: parent
color: "red"
font.pointSize: 16
text: "読み込みエラー！"
visible: false // 初期状態では非表示
opacity: 0 // 初期状態では透明
}
// 状態を切り替えるためのボタン (テスト用)
Button {
text: "新しい画像をロード"
anchors.bottom: parent.bottom
anchors.horizontalCenter: parent.horizontalCenter
y: 10
onClicked: {
// sourceを変更することで、Image要素が新しい画像の読み込みを開始し、statusが変化する
myDynamicImage.source = "https://picsum.photos/300/300?random=" + Math.random();
errorText.visible = false; // エラーメッセージをリセット
errorText.opacity = 0;
}
}
}
}
- ボタンをクリックすると
sourceを更新し、新しい画像の読み込みを開始してstatusをリセットします。 transitionsを使用することで、状態間のプロパティ変更がスムーズなアニメーションとして実行されます。これにより、ユーザーエクスペリエンスが向上します。Image.Error状態では画像が非表示になり、エラーテキストが表示されます。Image.Loading状態では画像が小さく半透明になり、Image.Ready状態では元のサイズに拡大され不透明になります。Image要素にstatesを定義し、when条件でmyDynamicImage.statusプロパティをチェックしています。
Image.onLoadingChanged シグナル (Image.status の簡易版)
これは厳密には代替手段というよりは、Image.status プロパティの変更をより簡潔に処理するためのイベントハンドラです。Image.status の値が Image.Loading と Image.Ready の間で変化したときに便利です。
特徴
- エラー状態 (
Image.Error) はこのシグナルでは直接扱えません。 Image.statusがImage.LoadingまたはImage.Readyに変更されたときに発火します。
使用例
Image {
id: myImage
source: "path/to/my_image.png"
onLoadingChanged: {
if (myImage.loading) { // Image.loading は Image.status === Image.Loading のショートカット
console.log("画像が読み込み中です...");
// ローディングスピナーなどを表示
} else { // myImage.loading が false の場合、Image.Ready になったことを意味する
console.log("画像の読み込みが完了しました！");
// ローディングスピナーを非表示
}
}
}
Image.loading プロパティ
Image 要素には、Image.status === Image.Loading と同じ意味を持つブーリアンプロパティ loading があります。これもImage.status の代替というよりは、便利なショートカットです。
QQuickImageProvider を介したより詳細なエラーハンドリングとプログレス表示
QQuickImageProvider は、QMLの Image 要素にカスタムで画像を提供するC++クラスです。このアプローチでは、画像の読み込みプロセスをC++側で完全に制御できるため、より詳細なエラー情報や、読み込みの進捗状況（例: ネットワークダウンロードのプログレス）をQMLに公開することが可能になります。
特徴
- メモリキャッシュや画像変換ロジックをC++で実装できる。
- カスタムのエラーコードやメッセージをC++からQMLに渡せる。
- ネットワーク経由でのダウンロードの進捗状況をQMLに公開できる。
-
C++で QQuickImageProvider のサブクラスを作成
requestImageまたはrequestPixmapメソッドをオーバーライドし、画像データを返します。// myimageprovider.h #include <QQuickImageProvider> #include <QImage> class MyImageProvider : public QQuickImageProvider { public: // タイプごとに画像を処理 // "image" は QImage を返す // "pixmap" は QPixmap を返す (UIスレッドで安全に描画可能) // "texture" は QQuickTextureProvider を返す (より高度なOpenGL統合) MyImageProvider() : QQuickImageProvider(QQuickImageProvider::Image) {} QImage requestImage(const QString &id, QSize *size, const QSize &requestedSize) override { // id に基づいて画像をロードするロジック qDebug() << "Requesting image with ID:" << id; if (id == "error_example") { // エラーシミュレーション qWarning() << "Simulating image loading error for:" << id; // 何も返さないか、無効な画像を返すことでエラーを通知 return QImage(); // 無効なQImageはQML側でImage.Errorを引き起こす } // 実際の画像読み込みロジック (例: QNetworkAccessManagerでダウンロード) // ここで進捗状況をemitしたり、より詳細なエラー情報を設定したりできる QImage image(":/images/" + id); // 例: リソースからの読み込み if (image.isNull()) { qWarning() << "Failed to load image from resource:" << id; } if (size) *size = image.size(); return image; } }; -
QQmlApplicationEngine にプロバイダを登録
// main.cpp #include <QGuiApplication> #include <QQmlApplicationEngine> #include "myimageprovider.h" // 作成したプロバイダ int main(int argc, char *argv[]) { QGuiApplication app(argc, argv); QQmlApplicationEngine engine; // "myprovider" というIDでプロバイダを登録 engine.addImageProvider(QStringLiteral("myprovider"), new MyImageProvider()); engine.load(QUrl(QStringLiteral("qrc:/main.qml"))); return app.exec(); } -
QMLからプロバイダ経由で画像を参照
// main.qml import QtQuick import QtQuick.Controls ApplicationWindow { width: 640 height: 480 visible: true title: "Image Provider Example" Column { anchors.centerIn: parent spacing: 20 Image { source: "image://myprovider/success_example.png" // "image://" スキームを使用 width: 200 height: 200 fillMode: Image.PreserveAspectFit onStatusChanged: { console.log("Status for success_example:", status) } } Image { source: "image://myprovider/error_example" // エラーをシミュレートするID width: 200 height: 200 fillMode: Image.PreserveAspectFit onStatusChanged: { console.log("Status for error_example:", status) if (status === Image.Error) { console.error("Image Provider reported an error for:", source) // ここでQMLにエラー詳細を公開するC++のSignal/Slotを利用できる } } } } }
メリット
- アプリケーション特有のキャッシュ戦略。
- 独自のエラーハンドリングとQMLへの情報公開。
- ネットワークダウンロードの進捗表示（
QNetworkReply::downloadProgressなどを使用）。 - C++でカスタムの画像読み込みロジックを実装できる。
デメリット
- QMLとC++の連携が必要になり、実装が複雑になる。
これはImage要素を使わず、QMLから直接C++のネットワーク機能（QNetworkAccessManager）を呼び出して画像をダウンロードし、そのデータをQMLのImageに渡す方法です。これは特に、ダウンロードの進捗状況を詳細に表示したい場合や、カスタム認証が必要な場合に有効です。
特徴
- ダウンロードしたデータを加工してから表示できる。
- HTTPヘッダーや認証情報を細かく制御できる。
- ダウンロードプログレスバーをQMLに表示できる。
-
C++で画像ダウンローダーを実装
QNetworkAccessManagerを使用してHTTPリクエストを送信し、QNetworkReplyからデータを読み込みます。ダウンロードの進捗や完了、エラーなどのシグナルをQMLに公開します。// imagedownloader.h #include <QObject> #include <QNetworkAccessManager> #include <QNetworkReply> #include <QImage> #include <QQmlEngine> // for Q_PROPERTY and QML_ELEMENT class ImageDownloader : public QObject { Q_OBJECT QML_ELEMENT // QMLから直接利用可能にする Q_PROPERTY(QString imageUrl READ imageUrl WRITE setImageUrl NOTIFY imageUrlChanged) Q_PROPERTY(int downloadProgress READ downloadProgress NOTIFY downloadProgressChanged) Q_PROPERTY(bool loading READ loading NOTIFY loadingChanged) Q_PROPERTY(QImage downloadedImage READ downloadedImage NOTIFY downloadedImageChanged) Q_PROPERTY(bool hasError READ hasError NOTIFY hasErrorChanged) Q_PROPERTY(QString errorMessage READ errorMessage NOTIFY errorMessageChanged) public: explicit ImageDownloader(QObject *parent = nullptr); ~ImageDownloader(); QString imageUrl() const { return m_imageUrl; } void setImageUrl(const QString &url); int downloadProgress() const { return m_downloadProgress; } bool loading() const { return m_loading; } QImage downloadedImage() const { return m_downloadedImage; } bool hasError() const { return m_hasError; } QString errorMessage() const { return m_errorMessage; } signals: void imageUrlChanged(); void downloadProgressChanged(); void loadingChanged(); void downloadedImageChanged(); void hasErrorChanged(); void errorMessageChanged(); private slots: void onDownloadProgress(qint64 bytesReceived, qint64 bytesTotal); void onDownloadFinished(); void onDownloadError(QNetworkReply::NetworkError code); private: QNetworkAccessManager *m_manager; QNetworkReply *m_reply; QByteArray m_downloadedData; QString m_imageUrl; int m_downloadProgress; bool m_loading; QImage m_downloadedImage; bool m_hasError; QString m_errorMessage; void resetState(); };// imagedownloader.cpp (実装は省略しますが、QNetworkAccessManagerの基本的なダウンロードロジック) // ... QNetworkAccessManagerとQNetworkReplyを使用してダウンロードし、 // シグナルを適切にemitするコード ... -
QMLからC++オブジェクトを利用
// main.qml import QtQuick import QtQuick.Controls import com.yourcompany.ImageDownloader // QML_ELEMENTで登録されたC++クラスをインポート ApplicationWindow { width: 640 height: 480 visible: true title: "Manual Image Download Example" Column { anchors.centerIn: parent spacing: 20 width: 200 ImageDownloader { id: imageDownloader imageUrl: "https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b6/Image_created_with_a_neural_network_DALL-E_3.jpg/800px-Image_created_with_a_neural_network_DALL-E_3.jpg" // 大きな画像URL // imageUrl: "https://nonexistent.url/image.jpg" // エラーテスト用 onLoadingChanged: console.log("Downloader loading:", loading) onDownloadProgressChanged: console.log("Progress:", downloadProgress) onHasErrorChanged: { if (hasError) { console.error("Downloader error:", errorMessage) } } } // ダウンロード中のインジケーター BusyIndicator { anchors.horizontalCenter: parent.horizontalCenter running: imageDownloader.loading visible: imageDownloader.loading } // ダウンロードプログレスバー ProgressBar { anchors.horizontalCenter: parent.horizontalCenter width: parent.width value: imageDownloader.downloadProgress / 100.0 // 0-100%を0-1に変換 visible: imageDownloader.loading } // ダウンロードされた画像を表示 Image { id: downloadedImageDisplay source: imageDownloader.downloadedImage // QImageをQMLのImageに直接渡す // (QImageはQMLのImage sourceプロパティで直接受け入れられる) width: parent.width height: 200 fillMode: Image.PreserveAspectFit visible: !imageDownloader.loading && !imageDownloader.hasError && !imageDownloader.downloadedImage.isNull() } // エラーメッセージ Text { anchors.horizontalCenter: parent.horizontalCenter color: "red" text: imageDownloader.errorMessage visible: imageDownloader.hasError } } }
メリット
- プログレスバーなど、高度なUIフィードバックを提供できる。
- 非常にカスタマイズされたダウンロードロジック（認証、リトライなど）を実装できる。
- 最も詳細な制御と情報の公開が可能。
デメリット
- 汎用的な画像表示にはオーバーヘッドが大きい。
- 実装が最も複雑になる。
-
QNetworkAccessManager と手動でのダウンロード
- ネットワーク経由の画像ダウンロードにおいて、最も詳細なプログレス表示やカスタム認証、複雑なエラー処理が必要な場合に選択します。
- C++でダウンロードロジックを記述し、結果をQMLに公開します。
-
QQuickImageProvider
- カスタムの画像データソースが必要な場合（例: 独自のファイル形式、動的な画像生成、効率的なキャッシュ管理）。
- C++で画像の読み込みロジックを制御し、QMLに公開します。
- ネットワークプログレスの公開も可能ですが、
QNetworkAccessManagerを手動で使うよりは間接的になります。
-
Image.status (onStatusChanged, loading)
- 最もシンプルで、ほとんどのユースケースで十分です。Qtの標準機能として推奨されます。
- 画像の成功/失敗/読み込み中を簡単に判断できます。