Qt Widgetsでツールチップをデバッグする方法:QGraphicsSceneHelpEvent::screenPos()を活用したトラブルシューティング
QGraphicsSceneHelpEvent::screenPos()
関数は、ツールチップが要求された時点におけるマウスカーソルのスクリーン座標を返します。これは、QGraphicsView
ウィジェットでツールチップ機能を実装する際に役立ちます。
詳細
QGraphicsSceneHelpEvent
クラスは、ツールチップが要求されたときに発生するイベントを表します。このイベントは、QGraphicsView
ウィジェットがQEvent::ToolTip
タイプのイベントを受信したときに作成されます。
screenPos()
関数は、このイベントオブジェクトからマウスカーソルのスクリーン座標を取得するために使用されます。座標はQPoint
型で返されます。
例
次のコード例は、QGraphicsSceneHelpEvent
イベントを処理し、マウスカーソルの位置に基づいてツールチップテキストを表示する方法を示しています。
void MyGraphicsView::viewportEvent(QEvent *event)
{
if (event->type() == QEvent::ToolTip) {
QGraphicsSceneHelpEvent *helpEvent = static_cast<QGraphicsSceneHelpEvent *>(event);
QPointF scenePos = helpEvent->scenePos();
// ツールチップテキストを生成
QString tooltipText = generateToolTipText(scenePos);
// ツールチップを表示
QToolTip::showText(helpEvent->screenPos(), tooltipText);
} else {
QGraphicsView::viewportEvent(event);
}
}
このコード例では、generateToolTipText()
関数は、scenePos
引数に基づいてツールチップテキストを生成します。この関数は、ツールチップに表示するテキストを自由にカスタマイズするために使用できます。
- ツールチップテキストを生成するには、
QGraphicsItem
オブジェクトのtoolTip()
プロパティを設定することもできます。 - スクリーン座標は、ウィジェットのウィンドウ座標系におけるマウスカーソルの位置を表します。
QGraphicsSceneHelpEvent::scenePos()
関数は、マウスカーソルのシーン座標を返します。シーン座標は、QGraphicsScene
ウィジェットの座標系におけるマウスカーソルの位置を表します。
#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QGraphicsItem>
#include <QToolTip>
class MyItem : public QGraphicsItem
{
public:
MyItem(const QRectF &rect)
: QGraphicsItem(rect)
{
setToolTip("これはアイテムのツールチップです");
}
virtual void mouseMoveEvent(QGraphicsSceneMouseEvent *event) override
{
// マウスカーソルのスクリーン座標を取得
QPoint screenPos = event->screenPos();
// ツールチップテキストを生成
QString tooltipText = QString("アイテム: %1\nスクリーン座標: (%2, %3)")
.arg(objectName())
.arg(screenPos.x())
.arg(screenPos.y());
// ツールチップを表示
QToolTip::showText(screenPos, tooltipText);
}
};
class MyScene : public QGraphicsScene
{
public:
MyScene()
{
// アイテムを作成してシーンに追加
MyItem *item = new MyItem(QRectF(0, 0, 100, 100));
addItem(item);
}
};
class MyView : public QGraphicsView
{
public:
MyView(const MyScene &scene)
: QGraphicsView(scene)
{
// ツールチップの有効化
setToolTipsEnabled(true);
}
};
int main(int argc, char *argv[])
{
QApplication app(argc, argv);
// シーンを作成
MyScene scene;
// ビューを作成
MyView view(scene);
view.show();
return app.exec();
}
MyScene
クラスは、MyItem
アイテムをシーンに追加するシーンを表します。
MyView
クラスは、MyScene
シーンを表示するビューを表します。
代替方法
QGraphicsItem::toolTip()`プロパティを使用する
QGraphicsItem
オブジェクトのtoolTip()
プロパティを設定することで、そのアイテムに関連するツールチップテキストを指定できます。ツールチップテキストは、QGraphicsView
ウィジェットがQEvent::ToolTip
タイプのイベントを受信したときに表示されます。この方法は、アイテムごとに異なるツールチップテキストを表示したい場合に適しています。
item->setToolTip("これはアイテムのツールチップです");
QGraphicsScene::tooltip()
メソッドを使用するQGraphicsScene
クラスのtooltip()
メソッドは、シーン内の任意のポイントにおけるツールチップテキストを返すために使用できます。このメソッドは、QGraphicsView
ウィジェットがQEvent::ToolTip
タイプのイベントを受信したときに呼び出されます。この方法は、シーン全体にわたって一貫したツールチップテキストを提供したい場合に適しています。
scene.setToolTip("これはシーンのツールチップです");
カスタムイベントハンドラを使用する
QGraphicsView
ウィジェットのviewportEvent()
メソッドをオーバーライドして、QEvent::ToolTip
タイプのイベントを処理することができます。このメソッド内で、マウスカーソルのスクリーン座標を取得し、ツールチップテキストを生成して表示することができます。この方法は、ツールチップテキストの表示方法を完全に制御したい場合に適しています。
void MyGraphicsView::viewportEvent(QEvent *event) { if (event->type() == QEvent::ToolTip) { QGraphicsSceneHelpEvent *helpEvent = static_cast<QGraphicsSceneHelpEvent *>(event); QPointF scenePos = helpEvent->scenePos(); // ツールチップテキストを生成 QString tooltipText = generateToolTipText(scenePos); // ツールチップを表示 QToolTip::showText(helpEvent->screenPos(), tooltipText); } else { QGraphicsView::viewportEvent(event); } }
方法 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|
QGraphicsItem::toolTip() プロパティ | アイテムごとに異なるツールチップテキストを表示できる | シーン全体にわたって一貫したツールチップテキストを提供できない |
QGraphicsScene::tooltip() メソッド | シーン全体にわたって一貫したツールチップテキストを提供できる | アイテムごとに異なるツールチップテキストを表示できない |
カスタムイベントハンドラ | ツールチップテキストの表示方法を完全に制御できる | コードが複雑になる可能性がある |