【保存版】Qt Widgets: ホバリング時の修飾キー取得テクニック集!QGraphicsSceneHoverEvent::modifiers()を使いこなす
QGraphicsSceneHoverEvent::modifiers()
メソッドは、マウスカーソルがアイテム上をホバリングしている際に押されているキーボード修飾キーを取得します。これは、ユーザー入力の追加情報として、ホバーイベント処理において役立ちます。
メソッドの構成
Qt::KeyboardModifiers QGraphicsSceneHoverEvent::modifiers() const;
このメソッドは、Qt::KeyboardModifiers
型の値を返します。この型は、ビットフラグを使用して複数の修飾キーを同時に表すことができます。
主な修飾キー
Qt::KeyModifierMask
: 上記の修飾キーすべてをマスクするためのビットフラグです。Qt::MetaModifier
: Metaキーが押されている場合に設定されます。Qt::AltModifier
: Altキーが押されている場合に設定されます。Qt::ControlModifier
: Ctrlキーが押されている場合に設定されます。Qt::ShiftModifier
: Shiftキーが押されている場合に設定されます。
QGraphicsSceneHoverEvent* event = ...; // ホバーイベントを取得
if (event->modifiers() & Qt::ShiftModifier) {
// Shiftキーが押されている場合の処理
} else if (event->modifiers() & Qt::ControlModifier) {
// Ctrlキーが押されている場合の処理
} else {
// それ以外のキーの場合の処理
}
- マウスボタンの状態を取得するには、
QGraphicsSceneHoverEvent::buttons()
メソッドを使用します。 modifiers()
メソッドは、ホバーイベントが発生した時点での修飾キーのみを取得します。イベント処理中に修飾キーの状態が変化しても、このメソッドで取得できる値は変化しません。
#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QGraphicsItem>
#include <QPainter>
class MyItem : public QGraphicsItem
{
public:
MyItem() {
setFlag(QGraphicsItem::ItemIsSelectable, true);
setFlag(QGraphicsItem::ItemIsFocusable, true);
}
protected:
void paint(QPainter* painter) override {
painter->setPen(Qt::black);
painter->drawRect(boundingRect());
}
};
int main(int argc, char* argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
QGraphicsScene scene;
MyItem* item = new MyItem;
item->setPos(100, 100);
scene.addItem(item);
QGraphicsView view(&scene);
view.setFixedSize(300, 300);
view.show();
QObject::connect(item, &QGraphicsItem::hoverEnterEvent, [&](QGraphicsSceneHoverEvent* event) {
QString message;
if (event->modifiers() & Qt::ShiftModifier) {
message = "Shiftキーが押されています";
} else if (event->modifiers() & Qt::ControlModifier) {
message = "Ctrlキーが押されています";
} else {
message = "修飾キーが押されていません";
}
qDebug() << message;
});
return app.exec();
}
このコードを実行すると、アイテムの上にマウスカーソルを移動すると、押されている修飾キーに応じてコンソールにメッセージが表示されます。
hoverEnterEvent
シグナルハンドラは、以下の処理を実行します。- 押されている修飾キーに応じてメッセージを作成します。
- メッセージをコンソールに出力します。
main()
関数は、以下の処理を実行します。- アプリケーションを作成します。
- シーンを作成し、アイテムを追加します。
- ビューを作成し、シーンを設定します。
- ビューを表示します。
hoverEnterEvent
シグナルに接続し、ホバーイベントが発生した際にmodifiers()
メソッドを使用して修飾キーを取得します。
MyItem
クラスは、単純な矩形を描画するグラフィックアイテムです。
- キーボードイベントも処理することができます。
- 複数のアイテムを同時に選択できるようにすることができます。
- アイテムのサイズを、押されている修飾キーに応じて変更することができます。
- アイテムの色を、押されている修飾キーに応じて変更することができます。
代替方法の検討
modifiers()
メソッドの代替方法を選択する際には、以下の点を考慮する必要があります。
- コードの簡潔性: コードが読みやすく、理解しやすいことを重視する場合は、よりシンプルな代替方法を選択する必要があります。
- パフォーマンス: 処理速度が重要な場合は、より軽量な代替方法を検討する必要があります。
- 必要な情報: 単に修飾キーの状態を取得したいのか、それとも個々の修飾キーが押されているかどうかを個別に判断したいのか?
代替方法の例
以下に、modifiers()
メソッドの代替方法として検討すべきいくつかの方法を紹介します。
- カスタムイベントのシグナルとスロットの使用**: カスタムイベントを定義し、ホバーイベント発生時にシグナルを発行することで、イベントハンドラで修飾キーの状態を取得することができます。この方法は、より複雑な処理が必要な場合に役立ちます。
QEvent::type()
の使用**: ホバーイベントのタイプをQEvent::GraphicsSceneHover
と比較することで、ホバーイベントが発生したことを確認できます。この方法は、修飾キーの状態を必要としない場合に役立ちます。- 個々の修飾キーのチェック:
event->modifiers()
&Qt::ShiftModifier
のように、個々の修飾キーについて個別にチェックを行う方法です。これは単純な方法ですが、必要な情報のみを取得できるという利点があります。
具体的な例
以下のコードは、個々の修飾キーのチェックを使用して、Shiftキーが押されているかどうかを判断する例です。
if (event->modifiers() & Qt::ShiftModifier) {
// Shiftキーが押されている場合の処理
}
以下のコードは、QEvent::type()
を使用して、ホバーイベントが発生したことを確認する例です。
if (event->type() == QEvent::GraphicsSceneHover) {
// ホバーイベントが発生した場合の処理
}
以下のコードは、カスタムイベントのシグナルとスロットを使用して、修飾キーの状態を取得する例です。
class MyItem : public QGraphicsItem
{
public:
MyItem() {
setFlag(QGraphicsItem::ItemIsSelectable, true);
setFlag(QGraphicsItem::ItemIsFocusable, true);
}
signals:
void hovered(Qt::KeyboardModifiers modifiers);
protected:
void paint(QPainter* painter) override {
painter->setPen(Qt::black);
painter->drawRect(boundingRect());
}
};
int main(int argc, char* argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
QGraphicsScene scene;
MyItem* item = new MyItem;
item->setPos(100, 100);
scene.addItem(item);
QGraphicsView view(&scene);
view.setFixedSize(300, 300);
view.show();
QObject::connect(item, &MyItem::hovered, [&](Qt::KeyboardModifiers modifiers) {
QString message;
if (modifiers & Qt::ShiftModifier) {
message = "Shiftキーが押されています";
} else if (modifiers & Qt::ControlModifier) {
message = "Ctrlキーが押されています";
} else {
message = "修飾キーが押されていません";
}
qDebug() << message;
});
return app.exec();
}
このコードでは、MyItem
クラスに hovered
というシグナルを定義し、ホバーイベントが発生した際にシグナルを発行するようにしています。シグナルハンドラでは、modifiers()
メソッドを使用して修飾キーの状態を取得し、メッセージを出力しています。