【Qt Widgets】QGraphicsSceneContextMenuEvent::modifiers()でコンテキストメニューを自由自在に操る
コンテキストメニューイベント とは、グラフィックシーン内のアイテム上で右クリックされたり、キーボードのメニューキーが押されたりしたときに発生するイベントです。
キーボード修飾子 とは、Shiftキー、Ctrlキー、Altキー、Metaキーなどの修飾キーの状態を表すものです。これらの修飾キーは、コンテキストメニューの表示方法や、コンテキストメニュー内のアイテムの動作を制御するために使用できます。
modifiers()
関数の使い方
modifiers()
関数は、以下のコードのように使用できます。
QGraphicsSceneContextMenuEvent *event = ...;
Qt::KeyboardModifiers modifiers = event->modifiers();
このコードでは、まず QGraphicsSceneContextMenuEvent
型のイベントオブジェクトを取得します。次に、modifiers()
関数を呼び出して、そのイベントに関連するキーボード修飾子を modifiers
変数に格納します。
modifiers()
関数の戻り値
modifiers()
関数は、Qt::KeyboardModifiers
型の値を返します。この型は、以下のビットフラグを定義しています。
フラグ | 説明 |
---|---|
Qt::ShiftModifier | Shiftキーが押されている |
Qt::ControlModifier | Ctrlキーが押されている |
Qt::AltModifier | Altキーが押されている |
Qt::MetaModifier | Metaキーが押されている |
これらのビットフラグを組み合わせることで、複数の修飾キーの状態を表すことができます。例えば、ShiftキーとCtrlキーが押されている場合は、以下のコードのように modifiers
変数に格納できます。
Qt::KeyboardModifiers modifiers = Qt::ShiftModifier | Qt::ControlModifier;
modifiers()
関数の応用例
modifiers()
関数は、コンテキストメニューの表示方法や、コンテキストメニュー内のアイテムの動作を制御するために使用できます。例えば、Shiftキーが押されている場合は、コンテキストメニューに特別なアイテムを表示したり、コンテキストメニュー内のアイテムの動作を変更したりすることができます。
以下のコードは、Shiftキーが押されている場合は、コンテキストメニューに "特別なアイテム" を表示する例です。
void handleContextMenuEvent(QGraphicsSceneContextMenuEvent *event) {
Qt::KeyboardModifiers modifiers = event->modifiers();
if (modifiers & Qt::ShiftModifier) {
// Shiftキーが押されている場合は、"特別なアイテム" を表示する
QMenu *menu = new QMenu(event->widget());
QAction *action = new QAction("特別なアイテム", menu);
connect(action, &QAction::triggered, this, &MyClass::handleSpecialItem);
menu->addAction(action);
menu->exec(event->screenPos());
} else {
// Shiftキーが押されていない場合は、通常のコンテキストメニューを表示する
// ...
}
}
このコードでは、まず modifiers()
関数を呼び出して、イベントに関連するキーボード修飾子を modifiers
変数に格納します。次に、modifiers
変数に Qt::ShiftModifier
フラグが含まれているかどうかを確認します。含まれている場合は、"特別なアイテム" を表示するコンテキストメニューを作成し、画面上の現在の位置に表示します。含まれていない場合は、通常のコンテキストメニューを表示します。
#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QGraphicsItem>
#include <QMenu>
#include <QAction>
class MyItem : public QGraphicsItem
{
public:
MyItem()
{
setFlags(ItemIsSelectable | ItemIsFocusable);
}
protected:
void contextMenuEvent(QGraphicsSceneContextMenuEvent *event) override
{
handleContextMenuEvent(event);
}
private:
void handleContextMenuEvent(QGraphicsSceneContextMenuEvent *event)
{
Qt::KeyboardModifiers modifiers = event->modifiers();
if (modifiers & Qt::ShiftModifier) {
// Shiftキーが押されている場合は、"特別なアイテム" を表示する
QMenu *menu = new QMenu(event->widget());
QAction *action = new QAction("特別なアイテム", menu);
connect(action, &QAction::triggered, this, &MyItem::handleSpecialItem);
menu->addAction(action);
menu->exec(event->screenPos());
} else {
// Shiftキーが押されていない場合は、通常のコンテキストメニューを表示する
// ...
}
}
void handleSpecialItem()
{
// "特別なアイテム" が選択されたときの処理
// ...
}
};
int main(int argc, char *argv[])
{
QApplication app(argc, argv);
QGraphicsScene scene;
MyItem *item = new MyItem;
item->setPos(100, 100);
scene.addItem(item);
QGraphicsView view(&scene);
view.show();
return app.exec();
}
このコードでは、まず MyItem
クラスという名前の QGraphicsItem
クラスを定義します。このクラスは、コンテキストメニューイベントを処理する contextMenuEvent()
メソッドをオーバーライドしています。
"特別なアイテム" が選択された場合は、handleSpecialItem()
メソッドが呼び出されます。このメソッドは、"特別なアイテム" が選択されたときの処理を記述します。
main()
関数では、MyItem
オブジェクトを作成し、シーンに追加します。次に、QGraphicsView
オブジェクトを作成し、シーンを表示します。
このコードを実行すると、グラフィックシーン内にアイテムが表示されます。アイテム上で右クリックすると、コンテキストメニューが表示されます。Shiftキーが押されている場合は、コンテキストメニューに "特別なアイテム" が表示されます。
以下に、QGraphicsSceneContextMenuEvent::modifiers()
の代替方法をいくつか紹介します。
QKeyEvent クラスを使用する
QGraphicsSceneContextMenuEvent
は、QKeyEvent
から派生したクラスです。つまり、QKeyEvent
のすべてのメソッドを使用することができます。
QKeyEvent
には、modifiers()
メソッドがあり、イベントに関連するキーボード修飾子を返します。
QGraphicsSceneContextMenuEvent *event = ...;
Qt::KeyboardModifiers modifiers = event->keyModifiers();
このコードは、QGraphicsSceneContextMenuEvent
オブジェクトから keyModifiers()
メソッドを呼び出して、イベントに関連するキーボード修飾子を modifiers
変数に格納します。
QInputEvent クラスを使用する
QGraphicsSceneContextMenuEvent
は、QInputEvent
から派生したクラスです。つまり、QInputEvent
のすべてのメソッドを使用することができます。
QGraphicsSceneContextMenuEvent *event = ...;
Qt::KeyboardModifiers modifiers = event->modifiers();
QApplication クラスを使用する
QApplication
クラスには、keyboardModifiers()
メソッドがあり、現在押されているすべてのキーボード修飾子を返します。
Qt::KeyboardModifiers modifiers = QApplication::keyboardModifiers();
このコードは、QApplication
オブジェクトから keyboardModifiers()
メソッドを呼び出して、現在押されているすべてのキーボード修飾子を modifiers
変数に格納します。
どの方法を使用するべきか
どの方法を使用するべきかは、状況によって異なります。
- 現在押されているすべてのキーボード修飾子を取得したい場合は、
QApplication
クラスを使用する必要があります。 - イベントに関連する他の情報も取得したい場合は、
QKeyEvent
クラスまたはQInputEvent
クラスを使用する必要があります。 - イベントに関連するキーボード修飾子のみを取得したい場合は、
QGraphicsSceneContextMenuEvent::modifiers()
関数を使用するのが最も効率的です。
例
以下のコードは、QKeyEvent
クラスを使用して、Shiftキーが押されているかどうかを確認する例です。
void handleContextMenuEvent(QGraphicsSceneContextMenuEvent *event)
{
QKeyEvent *keyEvent = static_cast<QKeyEvent *>(event);
if (keyEvent->modifiers() & Qt::ShiftModifier) {
// Shiftキーが押されている
// ...
} else {
// Shiftキーが押されていない
// ...
}
}
このコードでは、まず QKeyEvent
オブジェクトを event
オブジェクトから取得します。次に、modifiers()
メソッドを呼び出して、イベントに関連するキーボード修飾子を modifiers
変数に格納します。最後に、modifiers
変数に Qt::ShiftModifier
フラグが含まれているかどうかを確認します。含まれている場合は、Shiftキーが押されていることを示します。