【初心者向け】Qt Widgets: QDoubleSpinBoxのdecimalsプロパティを使いこなす

QDoubleSpinBox::decimals プロパティは、QDoubleSpinBox ウィジェットで表示される小数点以下の桁数を設定するために使用されます。デフォルトでは、このプロパティは 2 に設定されています。

設定方法

QDoubleSpinBox::decimals プロパティを設定するには、以下のいずれかの方法を使用できます。

コードで直接設定する:

QDoubleSpinBox spinBox;
spinBox.setDecimals(3); // 小数点以下の桁数を 3 に設定

Qt Designer を使用して設定する:

Qt Designer で QDoubleSpinBox ウィジェットを選択します。
プロパティパネルを開きます。
decimals プロパティを見つけ、希望する値を設定します。

影響

QDoubleSpinBox::decimals プロパティを設定すると、以下の影響があります。

value() メソッドによって返される値の小数点以下の桁数が制限されます。
ユーザーが入力できる最大小数点以下の桁数が制限されます。
ウィジェットに表示される小数点以下の桁数が制限されます。

例

以下の例では、QDoubleSpinBox ウィジェットの小数点以下の桁数を 3 に設定し、値を 1.2345 に設定します。

QDoubleSpinBox spinBox;
spinBox.setDecimals(3);
spinBox.setValue(1.2345);

// spinBox.value() は 1.234 となります

注意点

QDoubleSpinBox::decimals プロパティを設定しても、内部的に保持される値の小数点以下の桁数は制限されません。つまり、value() メソッドによって返される値の小数点以下の桁数は、decimals プロパティで設定した値よりも多くなる可能性があります。

上記以外にも、QDoubleSpinBox ウィジェットには様々なプロパティとメソッドがあります。詳細については、Qt ドキュメントを参照してください。

Qt は C++ で記述されていますが、他の言語 (Python など) でも使用できます。
この説明は、Qt 6.x を対象としています。古いバージョンの Qt では、動作が異なる場合があります。

#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QDoubleSpinBox>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QWidget widget;
  QDoubleSpinBox spinBox(&widget);

  // 小数点以下の桁数を 3 に設定
  spinBox.setDecimals(3);

  // 値を 1.2345 に設定
  spinBox.setValue(1.2345);

  // ウィジェットを表示
  widget.show();

  return app.exec();
}

このコードを実行すると、以下のようなウィジェットが表示されます。

ウィジェットの値は 1.234 と表示されています。これは、decimals プロパティが 3 に設定されているためです。

説明

このコードは以下の処理を実行します。

QApplication オブジェクトを作成します。
QWidget オブジェクトを作成します。
QDoubleSpinBox オブジェクトを作成し、widget ウィジェットに親ウィジェットとして設定します。
setDecimals() メソッドを使用して、spinBox ウィジェットの小数点以下の桁数を 3 に設定します。
setValue() メソッドを使用して、spinBox ウィジェットの値を 1.2345 に設定します。
show() メソッドを使用して、widget ウィジェットを表示します。

バリエーション

このコードは、さまざまな方法で変更できます。たとえば、以下のことができます。

valueChanged() シグナルに接続して、値が変更されたときに処理を実行します。
prefix() メソッドと suffix() メソッドを使用して、spinBox ウィジェットに接頭辞と接尾辞を設定します。
minimum() メソッドと maximum() メソッドを使用して、spinBox ウィジェットの最小値と最大値を設定します。

ユーザーが入力できる最大小数点以下の桁数が制限されます。
小数点以下の桁数を制限するだけで、内部的に保持される値の小数点以下の桁数は制限されません。

これらの制限を克服するために、QDoubleSpinBox::decimals プロパティの代替方法をいくつか検討することができます。

フォーマット文字列を使用する

QDoubleSpinBox::setFormat() メソッドを使用して、ウィジェットのフォーマット文字列を設定することで、表示される小数点以下の桁数を制御することができます。フォーマット文字列には、小数点以下の桁数を指定するための #.## フォーマット指定子を使用できます。

QDoubleSpinBox spinBox;
spinBox.setFormat("0.000"); // 小数点以下の桁数を 3 に設定

この方法の利点は、内部的に保持される値の小数点以下の桁数に影響を与えないことです。つまり、ユーザーはウィジェットに入力できる最大小数点以下の桁数に制限されません。

カスタムバリデータを使用する

QDoubleSpinBox::setValidator() メソッドを使用して、カスタムバリデータを設定することで、ユーザーが入力できる値を制御することができます。カスタムバリデータは、QValidator::validate() メソッドを実装する必要があります。このメソッドは、入力された値が有効かどうかを判断し、有効な場合は QValidator::State::Acceptable を返します。

class MyValidator : public QValidator
{
public:
  QValidator::State validate(QString const &input) const override {
    if (input.count('.') > 3) {
      return QValidator::State::Invalid;
    }

    return QValidator::State::Acceptable;
  }
};

QDoubleSpinBox spinBox;
MyValidator validator;
spinBox.setValidator(&validator);

この方法の利点は、ユーザーが入力できる値を完全に制御できることです。

QLineEdit と QValidator を組み合わせて、小数点以下の桁数を制限することができます。QLineEdit には、setValidator() メソッドを使用してバリデータを設定することができます。

QLineEdit lineEdit;
QDoubleValidator validator(0, 100, 3); // 最小値、最大値、小数点以下の桁数を指定
lineEdit.setValidator(&validator);

この方法の利点は、シンプルでわかりやすいことです。

選択

どの方法を選択するかは、要件によって異なります。

シンプルでわかりやすい方法が必要な場合は、QLineEdit と QValidator を組み合わせます。
ユーザーが入力できる値を完全に制御したい場合は、カスタムバリデータを使用します。
内部的に保持される値の小数点以下の桁数に影響を与えたくない場合は、フォーマット文字列を使用します。
小数点以下の桁数を制限するだけであれば、QDoubleSpinBox::decimals プロパティを使用するのが最も簡単です。