ドラッグ＆ドロップの達人になる！ QDrag::target() 関数を超えた方法大公開

QDrag::target() は、Qt GUI におけるドラッグ＆ドロップ操作において、ドラッグ対象が置かれているウィジェットを取得するための関数です。ドラッグ＆ドロップ操作の処理において、ドロップ対象となるウィジェットを特定することは重要な役割を担います。

機能

QDrag::target() 関数は、現在のドラッグ＆ドロップ操作におけるドロップ対象となるウィジェットを QObject* 型で返します。もしドロップ対象が存在しない場合は nullptr を返します。

使用方法

QDrag::target() 関数は、ドラッグ＆ドロップ操作に関わるイベントハンドラー内で呼び出されます。一般的には、dragEnterEvent(), dragMoveEvent(), dropEvent() などのイベントハンドラー内で使用されます。

例

void MyWidget::dragEnterEvent(QDragEnterEvent *event)
{
    if (event->mimeData()->hasFormat("text/plain")) {
        event->acceptProposedActions(Qt::CopyAction | Qt::MoveAction);
    } else {
        event->ignore();
    }
}

void MyWidget::dragMoveEvent(QDragMoveEvent *event)
{
    if (event->mimeData()->hasFormat("text/plain")) {
        event->acceptProposedActions(Qt::CopyAction | Qt::MoveAction);
    } else {
        event->ignore();
    }
}

void MyWidget::dropEvent(QDragDropEvent *event)
{
    if (event->mimeData()->hasFormat("text/plain")) {
        QString text = event->mimeData()->text();
        // テキストを処理する
        event->acceptProposedActions(event->proposedActions());
    } else {
        event->ignore();
    }
}

上記の例では、MyWidget クラスがドラッグ＆ドロップ対象となるウィジェットとして定義されています。dragEnterEvent(), dragMoveEvent(), dropEvent() イベントハンドラー内で、QDrag::target() 関数を使用してドロップ対象となるウィジェットを取得し、適切な処理を実行しています。

コード

#include <QApplication>
#include <QDragEnterEvent>
#include <QDragMoveEvent>
#include <QDropEvent>
#include <QFile>
#include <QHBoxLayout>
#include <QLabel>
#include <QLineEdit>
#include <QMimeData>
#include <QTextStream>
#include <QWidget>

class MyWidget : public QWidget
{
public:
    MyWidget()
    {
        label = new QLabel;
        lineEdit = new QLineEdit;

        QHBoxLayout *layout = new QHBoxLayout;
        layout->addWidget(label);
        layout->addWidget(lineEdit);

        setLayout(layout);

        setAcceptDrops(true);
    }

protected:
    void dragEnterEvent(QDragEnterEvent *event)
    {
        if (event->mimeData()->hasFormat("text/plain")) {
            event->acceptProposedActions(Qt::CopyAction | Qt::MoveAction);
        } else {
            event->ignore();
        }
    }

    void dragMoveEvent(QDragMoveEvent *event)
    {
        if (event->mimeData()->hasFormat("text/plain")) {
            event->acceptProposedActions(Qt::CopyAction | Qt::MoveAction);
        } else {
            event->ignore();
        }
    }

    void dropEvent(QDragDropEvent *event)
    {
        if (event->mimeData()->hasFormat("text/plain")) {
            QString filePath = event->mimeData()->urls().at(0).toLocalFile();

            if (QFile::exists(filePath)) {
                QFile file(filePath);
                if (file.open(QIODevice::ReadOnly)) {
                    QTextStream in(&file);
                    QString text = in.readAll();

                    label->setText(QString("File: %1").arg(filePath));
                    lineEdit->setText(text);

                    file.close();
                }
            }

            event->acceptProposedActions(event->proposedActions());
        } else {
            event->ignore();
        }
    }

private:
    QLabel *label;
    QLineEdit *lineEdit;
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    MyWidget widget;
    widget.show();

    return app.exec();
}

説明

MyWidget クラスを定義します。このクラスは、ドラッグ＆ドロップ対象となるウィジェットを表します。
dragEnterEvent(), dragMoveEvent(), dropEvent() イベントハンドラーを定義します。これらのイベントハンドラー内で、QDrag::target() 関数を使用してドロップ対象となるウィジェットを取得し、適切な処理を実行します。
main() 関数で MyWidget インスタンスを作成し、表示します。

QDropEvent::mimeData() を使用する

QDropEvent::mimeData() メソッドは、ドラッグ＆ドロップ操作に関連する MIME データを取得するためのメソッドです。この MIME データの中には、ドロップ対象となるウィジェットに関する情報が含まれている場合があります。

void MyWidget::dropEvent(QDragDropEvent *event)
{
    if (event->mimeData()->hasFormat("application/x-qt-widget")) {
        QWidget *widget = qvariant_cast<QWidget*>(event->mimeData()->data("application/x-qt-widget"));
        // ドロップ対象となったウィジェットを処理する
        event->acceptProposedActions(event->proposedActions());
    } else {
        event->ignore();
    }
}

上記の例では、application/x-qt-widget という形式の MIME データをチェックしています。この形式の MIME データには、ドロップ対象となったウィジェットへのポインタが含まれています。

利点

QDrag::target() 関数よりも柔軟な処理が可能

欠点

すべてのドラッグ＆ドロップ操作で利用できるわけではない

QDropEvent::source() を使用する

QDropEvent::source() メソッドは、ドラッグ＆ドロップ操作の開始元となるオブジェクトを取得するためのメソッドです。このオブジェクトは、ドロップ対象となるウィジェットであることもあります。

void MyWidget::dropEvent(QDragDropEvent *event)
{
    if (event->source()->isWidget()) {
        QWidget *widget = static_cast<QWidget*>(event->source());
        // ドロップ対象となったウィジェットを処理する
        event->acceptProposedActions(event->proposedActions());
    } else {
        event->ignore();
    }
}

上記の例では、isWidget() メソッドを使用して、ドロップ操作の開始元がウィジェットかどうかを確認しています。

利点

QDrag::target() 関数よりもシンプルな方法

欠点

常にドロップ対象となるウィジェットを取得できるとは限らない

カスタム MIME データ形式を使用する

ドラッグ＆ドロップ操作に関連する MIME データに、ドロップ対象となるウィジェットに関する情報を独自形式で埋め込むことができます。

class MyWidgetData
{
public:
    MyWidgetData(QWidget *widget)
        : widget(widget)
    {}

    QWidget *widget;
};

QByteArray serialize(const MyWidgetData &data)
{
    // データをシリアル化
}

MyWidgetData deserialize(const QByteArray &data)
{
    // データをデシリアル化
}

上記の例では、MyWidgetData という構造体を定義し、ドロップ対象となるウィジェットへのポインタを格納しています。この構造体をシリアル化して MIME データに埋め込み、ドロップイベントハンドラーでデシリアル化してドロップ対象となるウィジェットを取得することができます。

利点

柔軟性と制御性に優れている

欠点

コードが複雑になる

ドラッグ＆ドロップフレームワークを使用する

Qtには、KDE Frameworks の KDropMimeData クラスなどのドラッグ＆ドロップフレームワークが用意されています。これらのフレームワークを使用すると、ドラッグ＆ドロップ操作の処理をより簡単に記述することができます。

利点

コードが簡潔になる

学習コストがかかる