Qt GUI：ファイルをコピー、リンクを開く、画像を貼り付ける！ `QDropEvent::setDropAction()` で実現する多彩なドロップアクション

QDropEvent::setDropAction()は、ドラッグ&ドロップ操作におけるドロップアクションを設定するための関数です。ドロップアクションとは、ドロップされたデータに対して実行される動作を指します。例えば、ファイルをコピーしたり、リンクを開いたり、ゴミ箱に移動したりすることができます。

文法

void QDropEvent::setDropAction(Qt::DropAction action);

引数

action: 設定するドロップアクション。Qt::DropAction型の値を指定します。

戻り値

なし

詳細

QDropEvent::setDropAction()は、dropEvent()関数内で呼び出されます。dropEvent()関数では、ドロップされたデータを取得し、適切な処理を行うことができます。

QDropEvent::setDropAction()を呼び出す前に、possibleActions()関数を使用して、ドロップ可能なアクションを確認する必要があります。

例

以下の例では、テキストファイルをドロップされた場合に、ファイルをコピーする処理を行っています。

void MyWidget::dropEvent(QDropEvent *event)
{
    if (event->mimeData()->hasFormat("text/plain"))
    {
        QString text = event->mimeData()->text();
        QFile file("myfile.txt");
        if (file.open(QIODevice::WriteOnly))
        {
            QTextStream out(&file);
            out << text;
            file.close();
        }
        event->setDropAction(Qt::CopyAction);
    }
    else
    {
        event->ignore();
    }
}

QDropEvent::ignore()関数を使用すると、ドロップアクションを無視することができます。
QDropEvent::acceptProposedAction()関数を使用すると、提案されたドロップアクションをそのまま受け入れることができます。

ファイルのコピー

void MyWidget::dropEvent(QDropEvent *event)
{
    if (event->mimeData()->hasFormat("text/plain"))
    {
        QString text = event->mimeData()->text();
        QFile file("myfile.txt");
        if (file.open(QIODevice::WriteOnly))
        {
            QTextStream out(&file);
            out << text;
            file.close();
        }
        event->setDropAction(Qt::CopyAction);
    }
    else
    {
        event->ignore();
    }
}

説明

event->mimeData()->hasFormat("text/plain")：ドロップされたデータがテキスト形式かどうかを確認します。
QString text = event->mimeData()->text();：ドロップされたテキストデータを取得します。
QFile file("myfile.txt");：出力ファイルオブジェクトを作成します。
if (file.open(QIODevice::WriteOnly))：ファイルを書き込みモードで開きます。
QTextStream out(&file);：出力ファイルストリームを作成します。
out << text;：ドロップされたテキストデータをファイルに出力します。
file.close();：ファイルを閉じます。
event->setDropAction(Qt::CopyAction);：ドロップアクションをコピーに設定します。
else：ドロップされたデータがテキスト形式でない場合は、ドロップを無視します。

リンクを開く

void MyWidget::dropEvent(QDropEvent *event)
{
    if (event->mimeData()->hasFormat("text/uri-list"))
    {
        QUrlList urls = event->mimeData()->urls();
        for (const QUrl &url : urls)
        {
            QDesktopServices::openUrl(url);
        }
        event->setDropAction(Qt::CopyAction);
    }
    else
    {
        event->ignore();
    }
}

説明

event->mimeData()->hasFormat("text/uri-list")：ドロップされたデータがURIリスト形式かどうかを確認します。
QUrlList urls = event->mimeData()->urls();：ドロップされたURLのリストを取得します。
for (const QUrl &url : urls)：URLリストをループします。
QDesktopServices::openUrl(url);：URLを開きます。
event->setDropAction(Qt::CopyAction);：ドロップアクションをコピーに設定します。
else：ドロップされたデータがURIリスト形式でない場合は、ドロップを無視します。

void MyWidget::dropEvent(QDropEvent *event)
{
    if (event->mimeData()->hasFormat("image/png"))
    {
        QByteArray data = event->mimeData()->data("image/png");
        QPixmap pixmap;
        if (pixmap.loadFromData(data))
        {
            QClipboard *clipboard = QApplication::clipboard();
            clipboard->setImage(pixmap);
        }
        event->setDropAction(Qt::CopyAction);
    }
    else
    {
        event->ignore();
    }
}

event->mimeData()->hasFormat("image/png")：ドロップされたデータがPNG画像形式かどうかを確認します。
QByteArray data = event->mimeData()->data("image/png");：ドロップされた画像データを取得します。
QPixmap pixmap;：ピクセルマップオブジェクトを作成します。
if (pixmap.loadFromData(data))：画像データをピクセルマップオブジェクトに読み込みます。
QClipboard *clipboard = QApplication::clipboard();：クリップボードを取得します。
clipboard->setImage(pixmap);：ピクセルマップオブジェクトをクリップボードに設定します。
event->setDropAction(Qt::CopyAction);：ドロップアクションをコピーに設定します。
`else

以下に、いくつかの代替方法とその利点と欠点をご紹介します。

acceptProposedAction()を使用する

QDropEvent::acceptProposedAction()は、dropEvent()関数内で提案されたドロップアクションをそのまま受け入れる関数です。この方法は、最もシンプルで、setDropAction()とほぼ同じ動作をするため、多くの場合で十分です。

利点

setDropAction()とほぼ同じ動作
シンプルで分かりやすい

欠点

提案されたアクションをそのまま受け入れるため、状況によっては不適切な場合があります

例

void MyWidget::dropEvent(QDropEvent *event)
{
    if (event->mimeData()->hasFormat("text/plain"))
    {
        event->acceptProposedAction();
    }
    else
    {
        event->ignore();
    }
}

ignore()を使用する

QDropEvent::ignore()は、ドロップアクションを無視する関数です。この方法は、ドロップされたデータを処理したくない場合や、独自の処理を行いたい場合に役立ちます。

利点

ドロップされたデータを処理したくない場合や、独自の処理を行いたい場合に役立つ

欠点

処理を行わないため、何も起こらないように見える場合がある

例

void MyWidget::dropEvent(QDropEvent *event)
{
    event->ignore();
}

カスタムドロップハンドラを実装する

より複雑なドロップ処理が必要な場合は、カスタムドロップハンドラを実装することができます。カスタムドロップハンドラは、QDropHandlerクラスを継承したクラスを作成し、accept()、insert()、remove()などのメソッドを実装することで作成できます。

利点

複雑なドロップ処理が可能

欠点

実装が複雑

例

class MyDropHandler : public QDropHandler
{
public:
    bool accept(const QMimeData *mimeData) override
    {
        // 処理を受け入れるかどうかを判断する
        return mimeData->hasFormat("text/plain");
    }

    bool insert(const QMimeData *mimeData, QPoint pos) override
    {
        // ドロップされたデータを処理する
        QString text = mimeData->text();
        // ...
        return true;
    }

    bool remove(const QPoint pos) override
    {
        // 必要に応じて処理を行う
        return true;
    }
};

ドラッグ&ドロップフレームワークを使用する

Qtには、KDE Plasma や Qt Solutions Commercialによって開発された、ドラッグ&ドロップ操作を処理するためのフレームワークがいくつか用意されています。これらのフレームワークを使用すると、複雑なドロップ処理をより簡単に実装することができます。

利点

複雑なドロップ処理を簡単に実装できる

欠点

フレームワークを学習する必要がある