Qt Widgetsでウィジェット構造を自在に操る!QApplication::widgetAt()とchildAt()を使い分ける


  • 戻り値
    • QWidget ポインタ: 指定した座標にあるウィジェット。ウィジェットが存在しない場合は nullptr を返します。
  • 引数
    • point: 特定の座標を表す QPoint オブジェクト。


// マウスカーソルの現在の位置を取得
QPoint cursorPos = QCursor::pos();

// その位置にあるウィジェットを取得
QWidget* widget = QApplication::widgetAt(cursorPos);

// ウィジェットが存在するかどうかを確認
if (widget != nullptr) {
    // ウィジェットに関する操作を実行
    // 例: ツールチップを表示
    widget->setToolTip("このウィジェットをクリックしてください");
}

注意点

  • パフォーマンスが重要となる場合は、childAt() 関数を使用して、特定のウィジェット内の子ウィジェットを特定することを検討してください。
  • ウィジェットが重なり合っている場合、最前面にあるウィジェットのみが返されます。
  • QApplication::widgetAt()グローバル座標 を使用するため、ウィジェットの親ウィジェット座標ではなく、スクリーン座標 を指定する必要があります。

QApplication::widgetAt() は、Qt Widgets アプリケーションにおける強力なツールであり、ユーザーとのインタラクション、ツールチップの表示、ドラッグ&ドロップ操作など、さまざまなタスクに役立ちます。この関数の使用方法を理解することで、より洗練されたで直感的な GUI を開発することができます。



#include <QApplication>
#include <QLabel>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    // ラベルを作成して表示
    QLabel label("ラベルをクリックしてください");
    label.show();

    // マウスカーソルの移動を監視
    QObject::connect(&app, &QApplication::cursorMoved,
                     [&](const QPoint& pos) {
                        // マウスカーソルの位置にあるウィジェットを取得
                        QWidget* widget = QApplication::widgetAt(pos);

                        // ウィジェットが存在するかどうかを確認
                        if (widget != nullptr) {
                            // ツールチップを設定
                            widget->setToolTip("このウィジェットをクリックしてください");
                        }
                     });

    return app.exec();
}

コード解説

  1. QApplication オブジェクトを作成し、アプリケーションを初期化します。
  2. QLabel オブジェクトを作成し、"ラベルをクリックしてください" というテキストを設定します。
  3. QLabel オブジェクトを show() 関数を使用して表示します。
  4. QObject::connect() 関数を使用して、QApplication オブジェクトの cursorMoved シグナルとスロットを接続します。
  5. cursorMoved シグナルは、マウスカーソルが移動するたびに emit されます。
  6. スロット関数では、QApplication::widgetAt() 関数を使用して、マウスカーソルの現在の位置にあるウィジェットを取得します。
  7. ウィジェットが存在する場合は、setToolTip() 関数を使用して、そのウィジェットにツールチップを設定します。

実行結果

このコードを実行すると、"ラベルをクリックしてください" というテキストを含むラベルが表示されます。マウスカーソルをラベルの上に移動すると、ラベルにツールチップが表示されます。

  • QApplication::widgetAt() 関数は、さまざまなタスクに使用できます。詳細については、Qt ドキュメントを参照してください。
  • このコードはあくまでも例であり、実際のアプリケーションでは、より複雑なロジックを実装する必要があります。


childAt() 関数

  • 欠点
    • 指定した座標が親ウィジェット内にある場合のみ使用できます。
    • 親ウィジェットが透過している場合は、正しく動作しない場合があります。
  • 利点
    • 特定のウィジェット内の子ウィジェットを効率的に検索できます。
    • QApplication::widgetAt() よりも高速な場合があります。
    • ウィジェットの親子関係を考慮した検索が可能です。


// マウスカーソルの現在の位置を取得
QPoint cursorPos = QCursor::pos();

// 親ウィジェットを取得
QWidget* parentWidget = widget->parentWidget();

// その位置にある子ウィジェットを取得
QWidget* childWidget = parentWidget->childAt(cursorPos);

// 子ウィジェットが存在するかどうかを確認
if (childWidget != nullptr) {
    // 子ウィジェットに関する操作を実行
}

QMouseEvent クラス

  • 欠点
    • QApplication::widgetAt() よりも複雑なコードが必要となります。
    • イベントハンドリングの知識が必要となります。


void mouseMoveEvent(QMouseEvent* event) {
    // イベント発生時のウィジェットを取得
    QWidget* widget = event->widget();

    // ウィジェットが存在するかどうかを確認
    if (widget != nullptr) {
        // ウィジェットに関する操作を実行
    }
}

カスタムウィジェット

  • 欠点
    • 開発に時間がかかります。
    • デバッグが難しい場合があります。
    • 保守が困難になる可能性があります。
  • 利点
    • アプリケーションのニーズに特化した検索ロジックを実装できます。
    • 複雑なウィジェット構造を処理できます。
    • 高度なパフォーマンスを実現できます。


class MyWidget : public QWidget {
public:
    MyWidget(QWidget* parent = nullptr) : QWidget(parent) {}

protected:
    void paintEvent(QPaintEvent* event) override {
        // 描画処理
        // ...
    }

    bool event(QEvent* event) override {
        if (event->type() == QEvent::MouseMove) {
            // マウスカーソルの位置を取得
            QPoint cursorPos = event->pos();

            // ウィジェット内の位置を計算
            QPoint widgetPos = cursorPos - pos();

            // ウィジェット内の要素を検索
            // ...

            // 検索結果に基づいて処理を実行
            // ...
        }
        return QWidget::event(event);
    }
};

QApplication::widgetAt() は万能な関数ですが、状況によっては代替方法の方が適切な場合があります。上記で紹介した代替方法を検討し、アプリケーションのニーズに合った方法を選択してください。