Qt Widgetsにおけるレイアウト制御の極意：QBoxLayout::addSpacerItem()の使い方と代替方法

QBoxLayout::addSpacerItem() メソッドは、Qt Widgetsにおけるレイアウト管理クラスである QBoxLayout に空白スペースを追加するために使用されます。この空白スペースは、ウィジェット間のスペース調整や、レイアウトの拡張などに役立ちます。

メソッドの動作

addSpacerItem() メソッドは、QSpacerItem オブジェクトを引数として受け取り、レイアウトの末尾に挿入します。QSpacerItem オブジェクトは、空白スペースのサイズと伸縮性を制御するためのプロパティを備えています。

使用例

以下の例は、QHBoxLayout に空白スペースを追加して、ウィジェット間のスペースを調整する方法を示しています。

QHBoxLayout *hbox = new QHBoxLayout;

// ウィジェットを追加
hbox->addWidget(new QLabel("名前:"));
hbox->addWidget(new QLineEdit);

// 空白スペースを追加
hbox->addSpacerItem(new QSpacerItem(QSizePolicy::Expanding, 0, 0));

// ウィジェットを追加
hbox->addWidget(new QLabel("年齢:"));
hbox->addWidget(new QSpinBox);

この例では、QSpacerItem オブジェクトに QSizePolicy::Expanding を設定することで、空白スペースがレイアウトの残りのスペースを占有するようにします。

QBoxLayout には、空白スペースを追加するための他の方法もあります。例えば、addSpacing() メソッドを使用して、固定サイズの空白スペースを追加することができます。
空白スペースのサイズと伸縮性を制御するには、QSpacerItem オブジェクトのプロパティを設定する必要があります。
addSpacerItem() メソッドは、QBoxLayout の任意の位置に空白スペースを追加するために、insertSpacerItem() メソッドを使用することもできます。

#include <QtWidgets>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // ウィジェットを作成
  QLabel *label1 = new QLabel("ウィジェット1");
  QLabel *label2 = new QLabel("ウィジェット2");
  QLabel *label3 = new QLabel("ウィジェット3");

  // レイアウトを作成
  QHBoxLayout *hbox = new QHBoxLayout;

  // ウィジェットを追加
  hbox->addWidget(label1);
  hbox->addWidget(label2);
  hbox->addWidget(label3);

  // 空白スペースを追加
  hbox->addSpacerItem(new QSpacerItem(QSizePolicy::Expanding, 0, 0));

  // ウィジェットを追加
  hbox->addWidget(new QLabel("ウィジェット4"));

  // ウィジェットをウィンドウに設定
  QWidget *window = new QWidget;
  window->setLayout(hbox);
  window->show();

  return app.exec();
}

このコードを実行すると、以下のようになります。

ウィジェット1、ウィジェット2、ウィジェット3は、ウィンドウの左側に配置され、それぞれの間に空白スペースがあります。ウィジェット4は、ウィンドウの右側に配置されています。

#include <QtWidgets>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // ウィジェットを作成
  QLabel *label1 = new QLabel("ウィジェット1");
  QLabel *label2 = new QLabel("ウィジェット2");
  QLabel *label3 = new QLabel("ウィジェット3");

  // レイアウトを作成
  QVBoxLayout *vbox = new QVBoxLayout;

  // ウィジェットを追加
  vbox->addWidget(label1);
  vbox->addWidget(label2);
  vbox->addWidget(label3);

  // 空白スペースを追加
  vbox->addSpacerItem(new QSpacerItem(0, 0, QSizePolicy::Expanding));

  // ウィジェットをウィンドウに設定
  QWidget *window = new QWidget;
  window->setLayout(vbox);
  window->show();

  return app.exec();
}

ウィジェット1、ウィジェット2、ウィジェット3は、ウィンドウの上部に配置され、それぞれの間に空白スペースがありません。ウィンドウの高さが変更されると、レイアウトも自動的に拡張されます。

#include <QtWidgets>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // ウィジェットを作成
  QLabel *label1 = new QLabel("ウィジェット1");
  QLabel *label2 = new QLabel("ウィジェット2");
  QLabel *label3 = new QLabel("ウィジェット3");

  // レイアウトを作成
  QHBoxLayout *hbox = new QHBoxLayout;

  // 空白スペースを追加
  hbox->addSpacerItem(new QSpacerItem(0, 20));

  // ウィジェットを追加
  hbox->addWidget(label1);
  hbox->addWidget(label2);
  hbox->addWidget(label3);

  // 空白スペースを追加
  hbox->addSpacerItem(new QSpacerItem(0, 20));

  // ウィジェットをウィンドウに設定
  QWidget *window = new QWidget;
  window->setLayout(hbox);
  window->show();

  return app.exec();
}

QSizePolicy を使用する

QWidget の sizePolicy プロパティを設定することで、ウィジェットがレイアウト内で占めるスペースを制御できます。QSizePolicy::Expanding を設定すると、ウィジェットが利用可能なスペースを最大限に拡張するように指示できます。

QLabel *label = new QLabel("ウィジェット");
label->setSizePolicy(QSizePolicy::Expanding, QSizePolicy::Expanding);

このコードは、label ウィジェットが水平方向にも垂直方向にも利用可能なスペースを最大限に拡張するように設定します。

addStretch() メソッドを使用する

QBoxLayout::addStretch() メソッドは、特定のウィジェットに伸縮性を割り当てるために使用できます。伸縮性は、ウィジェットが利用可能なスペースを占める割合を決定します。

QHBoxLayout *hbox = new QHBoxLayout;

// ウィジェットを追加
hbox->addWidget(new QLabel("名前:"));
hbox->addWidget(new QLineEdit);

// 空白スペースを追加
hbox->addStretch(1);

// ウィジェットを追加
hbox->addWidget(new QLabel("年齢:"));
hbox->addWidget(new QSpinBox);

このコードは、2番目のウィジェット (LineEdit) に伸縮性を 1 割り当てます。つまり、このウィジェットは利用可能なスペースの 10% を占めることになります。

addSpacing() メソッドを使用する

QBoxLayout::addSpacing() メソッドは、固定サイズの空白スペースを追加するために使用できます。

QHBoxLayout *hbox = new QHBoxLayout;

// ウィジェットを追加
hbox->addWidget(new QLabel("名前:"));
hbox->addWidget(new QLineEdit);

// 空白スペースを追加
hbox->addSpacing(20);

// ウィジェットを追加
hbox->addWidget(new QLabel("年齢:"));
hbox->addWidget(new QSpinBox);

このコードは、ウィジェット間の空白スペースに 20 ピクセルの固定サイズを設定します。

グリッドレイアウトを使用する

QGridLayout は、より複雑なレイアウトを作成するために使用できるレイアウトクラスです。QGridLayout では、セルにウィジェットを配置し、セルのサイズと伸縮性を個別に制御することができます。

QGridLayout *grid = new QGridLayout;

// ウィジェットを追加
grid->addWidget(new QLabel("名前:"), 0, 0);
grid->addWidget(new QLineEdit, 0, 1);

// 空白スペースを追加
grid->setColumnStretch(1, 1);

// ウィジェットを追加
grid->addWidget(new QLabel("年齢:"), 1, 0);
grid->addWidget(new QSpinBox, 1, 1);

このコードは、2番目の列 (LineEdit と SpinBox が配置されている列) に伸縮性を 1 割り当てます。つまり、この列は利用可能なスペースの 10% を占めることになります。

最適な方法を選択する

使用する方法は、レイアウトの要件によって異なります。単純なレイアウトの場合は、QSizePolicy または addStretch() メソッドを使用するだけで十分な場合があります。より複雑なレイアウトの場合は、addSpacing() メソッドまたは QGridLayout を使用することが必要になる場合があります。