CMakeの「cmake_language」コマンド:サンプルコードで理解を深め、実践的なスキルを習得


cmake_language() コマンドは、CMake の内蔵コマンドや macro() または function() コマンドで作成されたカスタムコマンドに対してメタ操作を実行するために使用されます。つまり、これらのコマンドの動作を制御したり、条件分岐やループなどの制御フローを導入したりすることができます。

構文

cmake_language() コマンドには、主に2つの構文があります。

  1. コマンド呼び出し

    cmake_language(CALL <command> [<args>...])
    

    この構文は、指定された <command><args> 引数と共に呼び出します。<command> は、CMake の内蔵コマンド、または macro() または function() で作成されたカスタムコマンドのいずれかであることができます。

  2. コード評価

    cmake_language(EVAL CODE <code>...)
    

    この構文は、<code> で指定された CMake コード фрагментを直接評価します。このコード фрагментには、変数設定、条件分岐、ループ、さらには他の cmake_language() コマンド呼び出しを含むことができます。

利点

cmake_language() コマンドを使用する主な利点は次のとおりです。

  • コードの簡潔化
    冗長なコマンドの繰り返しを避け、コードをより読みやすく、保守しやすくすることができます。
  • 再利用性の向上
    よく使用される処理をカスタムコマンドとして作成し、他のCMakeLists.txt ファイルで再利用することができます。
  • 柔軟性の向上
    ビルドプロセスをより柔軟に制御し、複雑なロジックを実装することができます。

注意点

cmake_language() コマンドを使用する際には、以下の点に注意する必要があります。

  • 再帰
    cmake_language() コマンド内で別の cmake_language() コマンドを呼び出すことができますが、再帰的な呼び出しには注意が必要です。過剰な再帰は、スタックオーバーフローなどの問題を引き起こす可能性があります。
  • スコープ
    cmake_language() コマンドで設定された変数や条件は、その呼び出しのスコープ内にのみ存在します。

以下の例は、cmake_language() コマンドを使用して、条件付きでメッセージを出力する方法を示しています。

set(condition TRUE)

cmake_language(EVAL CODE
    if(${condition})
        message(STATUS "条件が真です")
    else()
        message(STATUS "条件が偽です")
    endif()
)

この例では、condition 変数の値に応じて、異なるメッセージが出力されます。



set(condition TRUE)

cmake_language(CALL message STATUS "条件が真です" IF ${condition})
cmake_language(CALL message STATUS "条件が偽です" IF NOT ${condition})

ループの実行

以下の例は、cmake_language() コマンドを使用して、ループを実行する方法を示しています。

set(numbers 1 2 3 4 5)

cmake_language(EVAL CODE
    foreach(number IN LISTS ${numbers})
        message(STATUS "番号: ${number}")
    endforeach()
)

この例では、numbers リスト内の各要素に対して、メッセージが出力されます。

カスタムコマンドの作成

以下の例は、cmake_language() コマンドを使用して、カスタムコマンドを作成する方法を示しています。

cmake_language(REGISTER_COMMAND square ARGS number)
cmake_language(SET_COMMAND_PROPERTY square PROPERTY WORKING_DIRECTORY ${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR})
cmake_language(SET_COMMAND_PROPERTY square PROPERTY FILE_COMMAND square.cmake)

cmake_language(COMMAND square 10)

この例では、square という名前のカスタムコマンドを作成します。このコマンドは、square.cmake ファイルで実装され、引数として渡された数値の平方を計算します。

コード фрагментの評価

以下の例は、cmake_language() コマンドを使用して、コード фрагментを直接評価する方法を示しています。

cmake_language(EVAL CODE
    set(message "Hello, World!")
    message(STATUS ${message})
)

この例では、message 変数に "Hello, World!" という値を設定し、その値をメッセージとして出力します。

マクロの呼び出し

以下の例は、cmake_language() コマンドを使用して、マクロを呼び出す方法を示しています。

cmake_language(REGISTER_MACRO my_macro ARGS message)
cmake_language(SET_MACRO_PROPERTY my_macro PROPERTY MACRO_NAMESPACE MyMacros)
cmake_language(SET_MACRO_PROPERTY my_macro PROPERTY MACRO_HELP "Print a message")

cmake_language(CALL MyMacros::my_macro "This is my message")

この例では、MyMacros::my_macro という名前のマクロを作成します。このマクロは、引数として渡されたメッセージを message() コマンドを使用して出力します。



関数とマクロ

function()macro() コマンドは、コードを再利用し、複雑なロジックをカプセル化するための従来の方法です。これらのコマンドは、cmake_language() と同等の機能を提供できますが、いくつかの点で異なります。

  • パフォーマンス
    複雑なロジックを含む場合、cmake_language() よりも関数とマクロの方が高速に実行される場合があります。これは、cmake_language() がコード фрагментを毎回評価する必要があるのに対し、関数とマクロはプリコンパイルされるためです。
  • スコープ
    関数とマクロは、cmake_language() で設定された変数よりも広いスコープを持ちます。つまり、これらのコマンドで設定された変数は、呼び出し元のスコープだけでなく、その子スコープでも利用可能になります。

外部スクリプト

複雑なロジックを別々の CMake ファイルにカプセル化したい場合は、外部スクリプトを使用することができます。この方法では、include() コマンドを使用して、必要なときにそのスクリプトをビルドプロセスにインクルードすることができます。

CMake モジュール

CMake モジュールは、再利用可能な CMake コードのライブラリです。複雑なタスクを実行するために一般的に使用される機能をカプセル化しており、cmake_language() を使用するよりも簡潔で読みやすいコードを作成することができます。

カスタムコマンド

CMake ツール

CMake には、ctestcmake-toolchain などのツールが付属しており、テストの実行、プロジェクトの構成、依存関係の管理など、さまざまなタスクを自動化することができます。これらのツールは、cmake_language() を使用するよりも、これらのタスクをより簡単に実行できる場合があります。

最適な代替方法を選択

cmake_language() の代替方法を選択する際には、以下の要素を考慮する必要があります。

  • 読みやすさ
    コードをより読みやすく、保守しやすくしたい場合は、CMake モジュールを使用することを検討してください。
  • パフォーマンス
    パフォーマンスが重要な場合は、関数、マクロ、または外部スクリプトを使用することを検討してください。
  • コードの再利用性
    頻繁に再利用されるコードの場合は、関数、マクロ、または CMake モジュールを作成することを検討してください。
  • コードの複雑性
    複雑なロジックの場合は、関数、マクロ、または外部スクリプトの方が適している場合があります。