CMake: バージョン管理の悩みを解決! 'cmake_policy' コマンドがもたらすスムーズな開発フロー
cmake_policy()
コマンドは、CMakeプロジェクトにおける互換性と動作制御のための重要なツールです。 過去の挙動と新しい挙動を切り替えることにより、プロジェクトのバージョン管理と異なるCMake環境との統合を容易にします。
構文
cmake_policy(SET <policy-name> <OLD|NEW>)
このコマンドには3つの引数があります。
SET
: コマンドの種類を指定します。この場合、SET
はポリシー設定を意味します。<policy-name>
: 影響を受けるCMakeポリシーの名前を指定します。この名前は常にCMP
で始まり、数字で続きます。(例:CMP0001
)<OLD|NEW>
: 設定するポリシーの挙動を指定します。OLD
は過去の挙動を維持し、NEW
は最新の挙動を採用することを意味します。
例
cmake_policy(SET CMP0001 NEW)
この例では、CMP0001
というポリシーの挙動を新しい挙動に変更します。
- 特定のポリシーの詳細については、
cmake --help-policy <policy-name>
コマンドを使用してヘルプドキュメントを確認できます。 - ポリシーは個別に設定することも、
cmake_policy(VERSION <version>)
コマンドを使用してCMakeのバージョンに基づいて一括設定することもできます。 cmake_policy()
コマンドは、プロジェクトの CMakeLists.txt ファイル内 に配置する必要があります。
- ポリシー設定は、コマンドラインオプション
-DCMAKE_POLICY_<policy-name>=<OLD|NEW>
を使用して上書きすることができます。 - ポリシー設定は、プロジェクト内のサブディレクトリに再帰的に適用されます。
cmake_policy()
コマンドは、CMake 2.4以降で使用できます。
例 1: 特定のポリシーを設定する
cmake_policy(SET CMP0001 NEW)
例 2: CMake のバージョンに基づいてポリシーを設定する
この例では、CMake 3.10 以降のプロジェクトで CMP0050
ポリシーを新しい挙動に設定し、それ以前のバージョンのプロジェクトでは古い挙動を維持します。
cmake_policy(VERSION 3.10)
cmake_policy(SET CMP0050 NEW)
例 3: サブディレクトリに再帰的にポリシーを適用する
この例では、CMakeLists.txt
ファイルが存在するすべての子ディレクトリに CMP0060
ポリシーの新しい挙動を再帰的に適用します。
cmake_policy(SET_DIR_POLICY CMP0060 NEW)
例 4: コマンドラインオプションでポリシー設定を上書きする
この例では、cmake_policy()
コマンドで設定された CMP0070
ポリシーの挙動を、コマンドラインオプションで古い挙動に上書きします。
cmake -DCMAKE_POLICY_CMP0070=OLD ..
これらの例は、cmake_policy()
コマンドの基本的な使用方法を示しています。 具体的な使用方法については、CMake の公式ドキュメントを参照してください。
- ポリシー設定は、プロジェクトの要件とCMakeのバージョンに応じて慎重に行う必要があります。
- 実際のプロジェクトでは、より多くのポリシー設定が必要になる場合があります。
- 上記の例は、簡略化されており、完全な CMakeLists.txt ファイルの一部ではない可能性があります。
CMake 最小要件バージョンを設定する
- 欠点:
- 個々のポリシー設定を制御できない
- 特定のポリシーのみを必要とする場合に非効率
- 利点:
- シンプルで分かりやすい
- プロジェクトに必要な CMake のバージョンを明確に示す
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
ターゲットプロパティを使用する
- 欠点:
cmake_policy()
コマンドよりも冗長になる可能性がある- すべてのターゲットに対して個別に設定する必要がある
- 利点:
- 個々のターゲットに対してポリシー設定を制御できる
- よりきめ細かな制御が可能
target_properties(mytarget PROPERTIES CMAKE_POLICY_CMP0001 NEW)
カスタムモジュールを使用する
- 欠点:
- 開発と保守がより複雑になる
- プロジェクトの可読性が低下する可能性がある
- 利点:
- 複雑なポリシー設定ロジックをカプセル化できる
- コードの再利用性を高める
この方法は、高度な制御が必要な場合や、ポリシー設定ロジックを他のプロジェクトと共有したい場合に適しています。 カスタムモジュールの例としては、次のものがあります。
CMake ツールを使用する
- 欠点:
- コマンドラインインターフェースに慣れているユーザーにとっては冗長
- すべての CMake ツールで利用できるわけではない
- 利点:
- グラフィカルなインターフェースでポリシー設定を操作できる
- 初心者にとって使いやすい
CMake ツールの例としては、次のものがあります。
推奨事項
最適な代替方法は、個々のプロジェクトのニーズと要件によって異なります。 一般的なガイドラインとしては、以下の通りです。
- グラフィカルなインターフェースを好む場合は、CMake ツールを使用します。
- 複雑なポリシー設定ロジックを必要とする場合は、カスタムモジュールを使用します。
- 個々のターゲットに対してポリシー設定を制御する必要がある場合は、ターゲットプロパティを使用します。
- シンプルなプロジェクトの場合は、
cmake_minimum_required()
コマンドを使用するのが最良の方法です。