【初心者向け】CMakeでターゲット情報を知る!get_target_property()の解説とサンプルコード
CMake は、クロスプラットフォームな C++ プロジェクトのビルドを自動化するためのオープンソースツールです。 "Commands" は、CMake でビルドプロセスを制御するために使用する命令です。 "get_target_property()" は、ターゲットに設定されたプロパティの値を取得するために使用されるコマンドです。
get_target_property() の構文
get_target_property(VAR TARGET PROPERTY_NAME)
引数
PROPERTY_NAME
: 取得するプロパティの名前TARGET
: プロパティを取得するターゲットVAR
: プロパティの値が格納される変数
戻り値
- プロパティが見つからない場合、
VAR
変数は "NOTFOUND" に設定されます。 - プロパティが見つかった場合、プロパティの値が
VAR
変数に格納されます。
例
add_executable(my_app main.cpp)
set_target_properties(my_app PROPERTIES COMPILE_FLAGS "-Wall")
get_target_property(compile_flags my_app COMPILE_FLAGS)
message(STATUS "Compile flags: ${compile_flags}")
この例では、my_app
ターゲットに COMPILE_FLAGS
プロパティを設定し、その値を取得しています。 message()
コマンドを使用して、取得したプロパティの値をコンソールに出力しています。
get_target_property() の用途
- ターゲットのアーキテクチャを取得する
- ターゲットの出力ファイルの場所を取得する
- ターゲットの依存関係を取得する
- ターゲットのビルド設定を取得する
get_target_property() の注意点
- ターゲットに複数の構成が定義されている場合、どの構成のプロパティを取得するかを指定する必要があります。
- プロパティが見つからない場合、
VAR
変数は "NOTFOUND" に設定されます。この場合、エラーが発生するかどうかは、CMake の設定によって異なります。 get_target_property()
は、ターゲットが定義されている CMakeLists.txt ファイル内でのみ使用できます。
get_target_property()
は、ターゲットに設定されたプロパティの値を取得するために使用される便利なコマンドです。 ターゲットのビルド設定、依存関係、出力ファイルの場所などを取得するために使用できます。
ターゲットのビルド設定を取得する
add_executable(my_app main.cpp)
set_target_properties(my_app PROPERTIES COMPILE_FLAGS "-Wall -O2")
get_target_property(compile_flags my_app COMPILE_FLAGS)
message(STATUS "Compile flags: ${compile_flags}")
このコードは、my_app
ターゲットに COMPILE_FLAGS
プロパティを設定し、その値を取得しています。 取得したプロパティの値は compile_flags
変数に格納され、コンソールに出力されます。
ターゲットの依存関係を取得する
add_executable(my_app main.cpp)
add_library(my_lib my_lib.cpp)
target_link_libraries(my_app my_lib)
get_target_property(linked_libraries my_app LINK_LIBRARIES)
message(STATUS "Linked libraries: ${linked_libraries}")
このコードは、my_app
ターゲットが my_lib
ライブラリにリンクされていることを確認します。 get_target_property()
を使用して my_app
ターゲットの LINK_LIBRARIES
プロパティを取得し、その値をコンソールに出力します。
ターゲットの出力ファイルの場所を取得する
add_executable(my_app main.cpp)
get_target_property(output_file my_app OUTPUT_FILE)
message(STATUS "Output file: ${output_file}")
このコードは、my_app
ターゲットの出力ファイルの場所を取得します。 get_target_property()
を使用して my_app
ターゲットの OUTPUT_FILE
プロパティを取得し、その値をコンソールに出力します。
ターゲットのアーキテクチャを取得する
add_executable(my_app main.cpp)
get_target_property(target_arch my_app ARCHITECTURE)
message(STATUS "Target architecture: ${target_arch}")
このコードは、my_app
ターゲットのアーキテクチャを取得します。 get_target_property()
を使用して my_app
ターゲットの ARCHITECTURE
プロパティを取得し、その値をコンソールに出力します。
ターゲットの情報を直接取得する
一部のプロパティは、target_
関数を使用して直接取得できます。 例えば、ターゲットの出力ファイルの場所は、次のように取得できます。
get_target_property(output_file my_app OUTPUT_FILE)
# 代替方法
get_property(output_file TARGET my_app PROPERTY OUTPUT_FILE)
カスタム変数を使用する
ターゲットのプロパティをカスタム変数に設定し、その変数を使用してプロパティの値を取得することができます。 例えば、次のように COMPILE_FLAGS
プロパティをカスタム変数 my_compile_flags
に設定できます。
set(my_compile_flags "-Wall -O2")
set_target_properties(my_app PROPERTIES COMPILE_FLAGS "${my_compile_flags}")
# 後で使用
message(STATUS "Compile flags: ${my_compile_flags}")
キャッシュを使用する
CMake のキャッシュを使用して、プロパティの値を保存し、後で取得することができます。 例えば、次のように COMPILE_FLAGS
プロパティをキャッシュに保存できます。
set(CMAKE_CACHE_STRINGS my_compile_FLAGS "-Wall -O2")
set_target_properties(my_app PROPERTIES COMPILE_FLAGS "${my_compile_FLAGS}")
外部ツールを使用する
一部のプロパティは、CMake の組み込みコマンドでは取得できない場合があります。 このような場合は、外部ツールを使用してプロパティを取得することができます。 例えば、objdump
ツールを使用してターゲットの依存関係を取得することができます。
execute_process(COMMAND objdump -p ${my_app} OUTPUT_FILE my_app_deps.txt)
file(READ my_app_deps.txt DEPENDENCIES)
message(STATUS "Dependencies: ${DEPENDENCIES}")
方法 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|
ターゲットの情報を直接取得する | シンプルでわかりやすい | 一部のプロパティは直接取得できない |
カスタム変数を使用する | 柔軟性が高い | コードが冗長になる可能性がある |
キャッシュを使用する | 性能が向上する | キャッシュを更新する必要がある |
外部ツールを使用する | ほとんどのプロパティを取得できる | 複雑で、外部ツールのインストールが必要 |