CMakeのif()文の具体的な使用例

2024-12-18

if()は、条件に応じてCMakeスクリプト内の特定のコードブロックを実行するための制御構造です。構文は次のとおりです。

if(condition)
  # conditionが真の場合に実行されるコード
endif()

conditionには、比較演算子や論理演算子を使用して構成された式を指定します。比較演算子には、等号(==)、不等号(!=)、大小比較(<、>、<=、>=)などがあります。論理演算子には、論理積(AND)、論理和(OR)、論理否定(NOT)などがあります。

以下にif()の例を示します。

if(DEFINED CMAKE_BUILD_TYPE)
  message("ビルドタイプは${CMAKE_BUILD_TYPE}です")
endif()

この例では、CMAKE_BUILD_TYPE変数が定義されているかどうかをチェックします。定義されている場合、メッセージを出力します。



条件式の誤り

  • 変数の未定義
    未定義の変数を使用すると、エラーが発生します。変数を定義するか、条件式を適切に修正してください。
  • 論理演算子の誤用
    論理演算子の誤用も同様に問題となります。例えば、&&は論理積ですが、&はビット単位のAND演算子です。
  • 比較演算子の誤用
    比較演算子の誤用は、意図しない結果につながります。例えば、=は代入演算子であり、比較演算子ではありません。比較には==を使用してください。

インデントの誤り

  • インデントの不一致
    インデントが正しく揃っていない場合、CMakeはコードを正しく解釈できないことがあります。正しいインデントを使用してください。

endif()の欠落

  • if()ブロックの閉じ忘れ
    if()ブロックは必ずendif()で閉じなければなりません。閉じ忘れると、構文エラーが発生します。

条件式の複雑さ

  • 過度に複雑な条件式
    過度に複雑な条件式は、読みづらく、デバッグが難しくなります。できるだけシンプルな条件式に分割することを検討してください。
  • コメントを活用
    コメントを使って、コードの意図を明確に説明し、デバッグを容易にします。
  • デバッグモードを使用
    CMakeにはデバッグモードがあり、詳細な情報を表示することができます。これを使用して、条件式の評価過程を確認してください。
  • シンプルな条件式から始める
    複雑な条件式を段階的に構築し、各ステップで正しく動作することを確認してください。
  • エラーメッセージを確認
    CMakeはエラーメッセージを出力します。メッセージをよく読んで、エラーの原因を特定してください。


プラットフォームに応じたビルド設定

if(UNIX)
    message("Building for Unix-like system")
    # Unix-likeシステム用のビルド設定
elseif(WIN32)
    message("Building for Windows")
    # Windows用のビルド設定
else()
    message("Unknown platform")
endif()

ビルドタイプに応じたコンパイルオプション

if(CMAKE_BUILD_TYPE STREQUAL "Debug")
    set(CMAKE_CXX_FLAGS "${CMAKE_CXX_FLAGS} -g -O0")
elseif(CMAKE_BUILD_TYPE STREQUAL "Release")
    set(CMAKE_CXX_FLAGS "${CMAKE_CXX_FLAGS} -O3")
end   if()

この例では、ビルドタイプに応じてC++コンパイラのフラグを設定します。Debugビルドではデバッグ情報を生成し、最適化レベルを下げ、Releaseビルドでは最適化レベルを上げます。

特定のオプションが有効な場合の処理

if(WITH_OPENGL)
    message("Building with OpenGL support")
    # OpenGL関連のライブラリやヘッダファイルの設定
endif()

この例では、WITH_OPENGLオプションが有効な場合にのみ、OpenGLのサポートを有効にします。オプションの有無に応じて機能を追加したり削除したりできます。

if(USE_MY_LIBRARY)
    include(MyLibrary)
endif()

この例では、USE_MY_LIBRARYオプションが有効な場合にのみ、MyLibraryという別のCMakeスクリプトをインクルードします。これにより、条件に応じてモジュールを追加したり削除したりできます。



CMakeのif()文は、条件に基づいてコードのフローを制御する強力なツールです。しかし、特定のシナリオでは、より簡潔なアプローチや高度な制御が必要になることがあります。以下に、if()の代替的な手法をいくつか紹介します。

CMakeの論理演算子

  • NOT
    条件の否定を行います。
    if(NOT DEFINED CMAKE_BUILD_TYPE)
        # CMAKE_BUILD_TYPEが未定義の場合の処理
    endif()
    
  • OR
    複数の条件のうち少なくとも一つが真であれば、条件が真となります。
    if(WIN32 OR UNIX)
        # WindowsまたはUnix系システムの場合の処理
    endif()
    
  • AND
    複数の条件を同時にチェックします。
    if(DEFINED CMAKE_BUILD_TYPE AND CMAKE_BUILD_TYPE STREQUAL "Debug")
        # Debugビルドの場合の処理
    endif()
    

CMakeの変数

  • 変数の値に基づく条件
    set(BUILD_SHARED_LIBS OFF)
    if(BUILD_SHARED_LIBS)
        # 共有ライブラリをビルドする設定
    else()
        # 静的ライブラリをビルドする設定
    endif()
    

CMakeの関数

  • check_type()関数
    型をチェックして条件分岐を行います。
    check_type(FOO INTEGER)
    if(FOO_IS_INTEGER)
        # FOOが整数型の場合の処理
    endif()
    
  • CMP0048
    異なるCMakeバージョンでの条件分岐を可能にします。
    cmake_policy(SET CMP0048 NEW)
    if(POLICY CMP0048)
        # CMake 3.1以降の処理
    else()
        # CMake 3.0以前の処理
    endif()
    

これらの手法を組み合わせることで、より複雑な条件分岐を実現できます。ただし、過度に複雑な条件式は読みづらくなるため、適切なバランスが必要です。

  • テストケースを作成
    さまざまな条件下でコードが正しく動作することを確認しましょう。
  • コメントを活用
    コードの意図を明確にするために、コメントを適切に挿入しましょう。
  • シンプルさを優先
    可能な限りシンプルな条件式を使用しましょう。