cmake_minimum_required()の代替は存在しない?その理由と代替案を徹底解説

2024-08-02

CMakeとは?

CMakeは、プラットフォームに依存しないビルドシステム生成ツールです。C++プロジェクトのビルド設定を記述したCMakeLists.txtファイルを読み込み、Makefileなどのプラットフォーム固有のビルドシステムを生成します。これにより、異なるプラットフォーム(Windows、Linux、macOSなど)で同じプロジェクトをビルドすることが容易になります。

CMakeLists.txtファイルの冒頭に記述するコマンドで、CMakeの最小バージョンを指定します。このコマンドによって、現在のプロジェクトが動作するために必要なCMakeのバージョンを明示的に宣言します。

なぜ必要なのか?

  • エラーの早期発見
    CMakeのバージョンが低い状態でプロジェクトをビルドしようとすると、エラーが発生し、問題を早期に発見することができます。
  • 互換性の確保
    CMakeのバージョンが上がるにつれて、新しい機能や構文が追加されることがあります。古いバージョンのCMakeでは、新しい機能が使えなかったり、予期せぬ動作をする可能性があります。cmake_minimum_required()を使うことで、プロジェクトが意図した通りに動作するためのCMakeのバージョンを保証することができます。

書き方

cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
  • 10
    バージョン番号の例です。プロジェクトに必要なバージョンに合わせて変更してください。
  • VERSION
    必須。CMakeの最小バージョンを指定します。

cmake_minimum_required(VERSION 3.16)
project(MyProject)

# 他のCMakeコマンド
add_executable(my_executable main.cpp)

この例では、CMakeのバージョン3.16以上が必要であることを示しています。

cmake_minimum_required()は、CMakeLists.txtファイルの必須コマンドの一つで、プロジェクトのCMakeバージョンとの互換性を確保するために非常に重要です。適切なバージョンを指定することで、ビルドエラーを減らし、プロジェクトの安定性を高めることができます。

  • CMakeのバージョンは、プロジェクトのREADMEやドキュメントに明記しておくと、他の開発者がプロジェクトを利用する際に便利です。
  • CMakeの最新バージョンを使うことを推奨しますが、既存のツールやライブラリとの互換性も考慮する必要があります。
  • CMakeのバージョンは、プロジェクトの複雑さや使用する機能によって決定します。


よくあるエラーとその原因

cmake_minimum_required()で指定したCMakeのバージョンが、実際にインストールされているバージョンよりも新しい場合に、以下の様なエラーが発生することがあります。

CMake Error at CMakeLists.txt:1 (cmake_minimum_required):
CMake 3.10 or higher is required.  You are using CMake 3.9.

このエラーは、CMakeのバージョンが不足していることを意味します。

エラー発生時の対処方法

    • ターミナルでcmake --versionと入力し、インストールされているCMakeのバージョンを確認します。
  1. CMakeのアップデート

    • パッケージマネージャーによるアップデート
      • Ubuntu/Debian系: sudo apt update && sudo apt upgrade cmake
      • macOS (Homebrew): brew upgrade cmake
    • ソースコードからのインストール
      • CMakeの公式サイトからソースコードをダウンロードし、ビルドしてインストールします。詳細な手順はCMakeの公式ドキュメントを参照してください。
  2. CMakeLists.txtの修正

    • cmake_minimum_required()で指定しているバージョンを、インストールされているバージョン以下の適切なバージョンに修正します。
  • CMakeLists.txtの記述ミス
    • VERSIONのスペルミスや、バージョン番号の誤りがないか確認します。
    • 他のCMakeコマンドとの記述順序が間違っていないか確認します。
  • 複数のCMakeバージョンがインストールされている場合
    • cmake --versionで確認し、使用するCMakeのバージョンを指定してCMakeを実行する必要があります。
    • シェルスクリプトなどで、使用するCMakeのパスを明示的に指定する方法もあります。
  • クロスコンパイル
    • ターゲットプラットフォームのCMakeのバージョンに合わせて、cmake_minimum_required()を調整する必要があります。
  • インターネットで検索する
    同じようなエラーに遭遇した人がいるかもしれません。キーワードで検索すると、解決策が見つかることがあります。
  • CMakeのドキュメントを参照する
    CMakeの公式ドキュメントには、様々なコマンドや機能に関する詳細な説明が記載されています。
  • エラーメッセージをよく読む
    エラーメッセージには、問題の原因が詳しく記述されていることが多いです。

cmake_minimum_required()は、CMakeプロジェクトの安定性を確保するために重要なコマンドです。適切なバージョンを指定することで、ビルドエラーを減らし、スムーズな開発を進めることができます。

  • ビルド環境の設定
  • CMakeLists.txtの該当部分
  • 使用しているOSとCMakeのバージョン
  • 発生しているエラーメッセージの全文

CMakeの学習をさらに深めたい場合は、以下のキーワードで検索してみると良いでしょう。

  • CMake target_link_libraries
  • CMake find_package
  • CMakeLists.txt書き方
  • CMakeチュートリアル
  • CMake入門


基本的な例

cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(MyProject)

# 実行ファイルの生成
add_executable(my_executable main.cpp)
  • add_executable(my_executable main.cpp)
    main.cppをコンパイルして、my_executableという名前の実行ファイルを作成します。
  • project(MyProject)
    プロジェクト名を指定します。
  • cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
    CMake 3.10以上のバージョンが必要であることを指定しています。

より複雑な例(複数のソースファイル、ライブラリの利用)

cmake_minimum_required(VERSION 3.16)
project(MyProject)

# ヘッダーファイルの検索パスを追加
include_directories(include)

# ソースファイルを追加
add_executable(my_executable
    src/main.cpp
    src/utils.cpp
)

# 外部ライブラリを使用する場合
find_package(OpenCV REQUIRED)
target_link_libraries(my_executable OpenCV::core OpenCV::highgui)
  • target_link_libraries()
    my_executableにOpenCVのcoreモジュールとhighguiモジュールをリンクします。
  • find_package(OpenCV REQUIRED)
    OpenCVという外部ライブラリを探します。REQUIREDオプションを指定することで、ライブラリが見つからない場合はエラーにします。
  • include_directories(include)
    includeディレクトリをヘッダーファイルの検索パスに追加します。

特定の機能を利用する場合

cmake_minimum_required(VERSION 3.12)
project(MyProject)

# C++17の機能を使用する場合
set(CMAKE_CXX_STANDARD 17)
  • set(CMAKE_CXX_STANDARD 17)
    C++の標準をC++17に設定します。

ポリシー設定

cmake_minimum_required(VERSION 3.12 POLICY CMP0065)
project(MyProject)
  • POLICY CMP0065
    CMakeポリシーCMP0065を設定します。このポリシーは、特定のCMakeの振る舞いを制御します。

各要素の説明

  • set()
    CMake変数を設定します。
  • find_package()
    外部ライブラリを探します。
  • include_directories()
    ヘッダーファイルの検索パスを追加します。
  • target_link_libraries()
    ターゲット(実行ファイルやライブラリ)に他のライブラリをリンクします。
  • add_library()
    静的ライブラリまたは動的ライブラリを作成します。
  • add_executable()
    実行ファイルを作成します。
  • project()
    プロジェクト名を指定します。
  • cmake_minimum_required()
    CMakeの最小バージョンを指定します。

注意点

  • CMakeのバージョンを上げると、新しい機能が使えるようになる一方で、古いバージョンのCMakeでは動作しなくなる可能性があります。
  • CMakeのバージョンは、プロジェクトの複雑さや使用する機能によって決定します。
  • cmake_minimum_required()は、CMakeLists.txtファイルの最初に記述する必要があります。
  • CMakeチュートリアル
    さまざまなサイトでCMakeのチュートリアルが提供されています。
  • どの部分でつまづいていますか?
  • どのようなエラーが発生していますか?
  • どのようなプロジェクトを作成したいですか?

これらの情報に基づいて、より具体的なアドバイスをさせていただきます。

  • CMakeでユニットテストを組み込みたいのですが、どのようにすれば良いですか?
  • クロスコンパイルでCMakeを利用したいのですが、どうすれば良いですか?
  • 特定のライブラリをCMakeでどのように利用すれば良いですか?


cmake_minimum_required()に直接的な代替はありません。

なぜなら、このコマンドはCMakeのバージョン互換性を保証するために非常に重要な役割を果たしており、これを省略すると、以下の問題が発生する可能性があるからです。

  • ビルドエラー
    新しいCMakeで導入された必須な機能が利用できない場合、ビルドが失敗する可能性がある。
  • 予期せぬ動作
    古いバージョンのCMakeでは、新しい構文や機能がサポートされていないため、意図しない動作を引き起こす可能性がある。
  • 新しい機能の利用
    指定したバージョン以降に導入された新しい機能が利用できなくなる。
  • 外部ツール
    CMakeのバージョン管理を補助する外部ツールを利用することも考えられます。
  • 条件分岐
    CMakeのバージョンに応じて、異なる処理を行うように条件分岐させることができます。
  • CMakeポリシー
    特定のCMakeの振る舞いを制御するポリシーを設定することで、古いバージョンのCMakeでも新しい機能を一部利用できるようにすることができます。
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(MyProject)

if(CMAKE_VERSION VERSION_LESS 3.16)
  message(WARNING "CMake 3.16 or higher is recommended for this project.")
  # CMake 3.16未満の場合の処理
else()
  # CMake 3.16以上の場合の処理
endif()

上記の例では、CMake 3.16未満のバージョンを使用している場合に警告を表示し、必要に応じて処理を分岐させることができます。

  • CMakeのバージョン管理に関するより詳細な情報は、CMakeの公式ドキュメントを参照してください。
  • できるだけ新しいバージョンのCMakeを使用することを推奨します。
  • CMakeのバージョン管理は、プロジェクトの長期的な安定性にとって非常に重要です。
  • どのような代替案を探していますか?
  • CMakeのバージョン管理でどのような問題に直面していますか?
  • どのようなプロジェクトを作成したいですか?