QTextCharFormat::verticalAlignment()の代替方法：スタイルシート、QTextBlockFormat、カスタムレイアウト活用

Qt GUIライブラリには、テキストフォーマットを定義するためのクラスであるQTextCharFormatが存在します。このクラスには、フォントサイズ、太字、斜体、色などの様々なプロパティを設定するメソッドが用意されています。その中でも、QTextCharFormat::verticalAlignment()メソッドは、テキストの垂直方向の配置を指定するために使用されます。

垂直方向の配置オプション

QTextCharFormat::verticalAlignment()メソッドは、以下の垂直方向の配置オプションを受け取ることができます。

QTextCharFormat::AlignMiddle
テキストの中央をベースラインに揃えます。
QTextCharFormat::AlignSuperscript
テキストをベースラインより上に配置します。これは、数学的な指数や化学式の上付き文字などに使用されます。
QTextCharFormat::AlignBaseline
テキストのベースラインをベースラインに揃えます。
QTextCharFormat::AlignSubscript
テキストをベースラインより下に配置します。これは、数学的な指数や化学式の下付き文字などに使用されます。
QTextCharFormat::AlignTop
テキストの上端をベースラインに揃えます。

コード例

以下のコード例は、QTextCharFormat::verticalAlignment()メソッドを使用して、テキストをベースラインより下に配置する方法を示しています。

QTextCharFormat format;
format.setVerticalAlignment(QTextCharFormat::AlignSubscript);

QTextEdit textEdit;
textEdit.setCurrentCharFormat(format);

textEdit.setText("H2O");

このコードを実行すると、"H2O"というテキストが、ベースラインより下に配置されます。

QTextCharFormat::verticalAlignment()メソッドは、テキスト行全体にのみ適用されます。個々の文字に垂直方向の配置を適用するには、QTextCharFormat::textOutline()メソッドを使用する必要があります。
QTextCharFormat::verticalAlignment()メソッドは、すべてのプラットフォームでサポートされているわけではありません。プラットフォームによっては、サポートされていないオプションがある可能性があります。

テキストをベースラインより下に配置する

QTextCharFormat format;
format.setVerticalAlignment(QTextCharFormat::AlignSubscript);

QTextEdit textEdit;
textEdit.setCurrentCharFormat(format);

textEdit.setText("H2O");

QTextCharFormat format;
format.setVerticalAlignment(QTextCharFormat::AlignSuperscript);

QTextEdit textEdit;
textEdit.setCurrentCharFormat(format);

textEdit.setText("x^2");

テキストを中央揃えにする

QTextCharFormat format;
format.setVerticalAlignment(QTextCharFormat::AlignMiddle);

QTextEdit textEdit;
textEdit.setCurrentCharFormat(format);

textEdit.setText("Hello, World!");

このコードを実行すると、"Hello, World!"というテキストが、テキスト行の中央に配置されます。

異なる垂直方向の配置を複数のテキスト行に適用する

QTextCharFormat subscriptFormat;
subscriptFormat.setVerticalAlignment(QTextCharFormat::AlignSubscript);

QTextCharFormat superscriptFormat;
superscriptFormat.setVerticalAlignment(QTextCharFormat::AlignSuperscript);

QTextEdit textEdit;

textEdit.setCurrentCharFormat(subscriptFormat);
textEdit.insertPlainText("H");

textEdit.setCurrentCharFormat(superscriptFormat);
textEdit.insertPlainText("2");

textEdit.setCurrentCharFormat(subscriptFormat);
textEdit.insertPlainText("O");

このコードを実行すると、"H2O"というテキストが、それぞれの文字が適切な垂直方向の配置になります。

class MyTextCharFormat : public QTextCharFormat
{
public:
    void setCustomVerticalAlignment(int alignment) {
        m_customVerticalAlignment = alignment;
    }

    int customVerticalAlignment() const {
        return m_customVerticalAlignment;
    }

protected:
    int m_customVerticalAlignment;
};

int main() {
    MyTextCharFormat format;
    format.setCustomVerticalAlignment(10); // 10ピクセル下に配置

    QTextEdit textEdit;
    textEdit.setCurrentCharFormat(format);

    textEdit.setText("Hello, World!");

    return 0;
}

このコードでは、MyTextCharFormatというカスタムクラスを作成し、setCustomVerticalAlignment()メソッドとcustomVerticalAlignment()メソッドを追加しています。これらのメソッドを使用して、カスタムの垂直方向の配置を設定および取得することができます。

スタイルシートを使用する

Qt GUI では、スタイルシートを使用してテキストのフォーマットを設定することができます。スタイルシートを使用すると、QTextCharFormat::verticalAlignment() メソッドよりも柔軟にテキストの配置を制御することができます。

QLabel {
    text-align: center; /* テキストを中央揃えにする */
}

このスタイルシートは、すべての QLabel ウィジェットのテキストを中央揃えにします。

QTextBlockFormat クラスを使用する

QTextBlockFormat クラスは、テキストブロックのフォーマットを設定するために使用されます。このクラスには、setAlignment() メソッドがあり、テキストブロック全体の垂直方向の配置を設定することができます。

QTextBlockFormat format;
format.setAlignment(Qt::AlignHCenter); // テキストブロックを水平方向に中央揃えにする

QTextDocument* document = textEdit.document();
QTextCursor cursor = textEdit.textCursor();
QTextBlock block = document->findBlock(cursor.blockNumber());

block.setFormat(format);

このコードは、textEdit テキストエディタ内の現在のテキストブロックを水平方向に中央揃えにします。

カスタムレイアウトを使用する

より複雑なレイアウトを作成するには、カスタムレイアウトを使用することができます。カスタムレイアウトを使用すると、QTextCharFormat::verticalAlignment() メソッドやスタイルシートよりも精度の高い制御が可能になります。

class MyLayout : public QBoxLayout
{
public:
    MyLayout(QWidget* parent = nullptr) : QBoxLayout(Qt::Vertical, parent) {}

protected:
    void layoutChildren() override
    {
        for (int i = 0; i < count(); ++i) {
            QLayoutItem* item = itemAt(i);
            QWidget* widget = item->widget();

            if (widget) {
                widget->setSizePolicy(QSizePolicy::Preferred, QSizePolicy::Minimum);
                addWidget(widget, 0, Qt::AlignHCenter | Qt::AlignVCenter);
            }
        }
    }
};

このコードでは、MyLayout というカスタムレイアウトクラスを作成しています。このクラスは、すべてのウィジェットを水平方向と垂直方向に中央揃えにします。

MyLayout クラスを使用して、テキストを含むウィジェットをレイアウトするには、以下のようにします。

MyLayout layout;
layout.addWidget(textEdit);

QVBoxLayout mainLayout(this);
mainLayout.addWidget(&layout);

このコードは、textEdit テキストエディタを MyLayout レイアウト内に配置し、MyLayout レイアウトをウィンドウのメインレイアウト内に配置します。

QTextCharFormat::verticalAlignment() メソッドは、テキストの垂直方向の配置を設定するための便利なツールですが、より柔軟な制御が必要な場合は、スタイルシート、QTextBlockFormat クラス、またはカスタムレイアウトを使用することができます。