Qt GUI:既存のテキストをリストに変換する便利な関数「QTextCursor::createList()」
Qt GUIのQTextCursor::createList()
関数 は、テキストカーソルの位置にあるブロックの内容を、リストの最初の項目に変換します。 これは、既存のテキストをリストに変換したり、新しいリストを作成する際に役立ちます。
構文
QTextList *QTextCursor::createList();
戻り値
この関数は、変換されたリストを表す QTextList
ポインタを返します。 変換に失敗した場合は、nullptr
を返します。
例
QTextCursor cursor(document); // テキストドキュメント内のカーソルを取得
cursor.movePosition(QTextCursor::End, QTextCursor::MoveAnchor); // カーソルをドキュメントの最後に移動
cursor.insertText("リスト化するテキスト"); // リスト化するテキストを挿入
QTextList *list = cursor.createList(); // テキストをリストに変換
if (list) {
// リストが作成された場合の処理
list->setFormat(listFormat); // リストのフォーマットを設定
}
- リストのフォーマットは、
QTextListFormat
クラスを使用して設定できます。 - リストを作成する前に、
QTextCursor::currentList()
関数を使用して、カーソルが現在どのリスト内にあるのかを確認できます。 QTextCursor::createList()
関数は、カーソルの位置にあるブロック全体をリストに変換します。 部分的に変換したい場合は、QTextCursor::selectedText()
関数で選択範囲を取得してから、そのテキストをリストに変換する必要があります。
上記以外にも、QTextCursor::insertList()
関数を使用して、新しいリストを作成することもできます。 この関数は、空のブロックをドキュメントに挿入し、それをリストの最初の項目にします。
QTextCursor cursor(document); // テキストドキュメント内のカーソルを取得
cursor.movePosition(QTextCursor::End, QTextCursor::MoveAnchor); // カーソルをドキュメントの最後に移動
cursor.insertList(listFormat); // 新しいリストを作成
#include <QApplication>
#include <QTextCursor>
#include <QTextDocument>
#include <QTextEdit>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
QTextDocument document;
document.setPlainText("リスト化するテキスト\n別の行のテキスト");
QTextEdit textEdit(&document);
textEdit.show();
QTextCursor cursor(&document);
cursor.movePosition(QTextCursor::Start, QTextCursor::MoveAnchor);
cursor.movePosition(QTextCursor::NextBlock, QTextCursor::MoveAnchor); // 2行目の先頭にカーソルを移動
QTextList *list = cursor.createList();
if (list) {
QTextListFormat listFormat;
listFormat.setIndent(2); // リストのインデントを設定
listFormat.setMargin(10); // リストのマージンを設定
list->setFormat(listFormat);
}
return app.exec();
}
このコードの説明
QApplication
オブジェクトを作成し、イベントループを開始します。QTextDocument
オブジェクトを作成し、プレーンテキストを設定します。QTextEdit
ウィジェットを作成し、QTextDocument
オブジェクトを設定します。QTextCursor
オブジェクトを作成し、QTextDocument
オブジェクトに設定します。- カーソルを2行目の先頭に移動します。
QTextCursor::createList()
関数を使用して、カーソルの位置にあるテキストをリストに変換します。- リストのフォーマットを設定します。
- アプリケーションを実行します。
実行結果
このコードを実行すると、以下のようになります。
- リストは、設定されたインデントとマージンで表示されます。
- ウィジェット内のテキストが2行のリストに変換されます。
QTextEdit
ウィジェットが表示されます。
QTextCursor::createList()
関数は、既存のテキストをリストに変換する便利な機能ですが、状況によっては代替方法の方が適している場合があります。 以下に、いくつかの代替方法とその利点と欠点をご紹介します。
QTextBlock::insertList()
この関数は、QTextBlock
オブジェクトにリストを挿入します。 カーソル位置ではなく、ブロック全体をリストに変換したい場合に適しています。
利点
- ブロック全体をリストに変換できる。
欠点
- カーソル位置にのみ作用する
QTextCursor::createList()
関数よりも柔軟性に欠ける。
例
QTextCursor cursor(document); // テキストドキュメント内のカーソルを取得
cursor.movePosition(QTextCursor::Start, QTextCursor::MoveAnchor); // カーソルをドキュメントの先頭に移動
QTextBlock block = cursor.currentBlock();
block.insertList(listFormat); // ブロックにリストを挿入
手動でリストを作成する
この方法は、より細かい制御が必要な場合に適しています。 以下の手順で、手動でリストを作成できます。
- リストの最初の項目となるテキストを挿入します。
- リストのフォーマットを設定します。
- リストの次の項目となるテキストを挿入します。
- 2と3を繰り返します。
利点
- リストのフォーマットを完全に制御できる。
欠点
QTextCursor::createList()
関数よりも時間とコード量がかかります。
例
QTextCursor cursor(document); // テキストドキュメント内のカーソルを取得
cursor.movePosition(QTextCursor::Start, QTextCursor::MoveAnchor); // カーソルをドキュメントの先頭に移動
cursor.insertText("リストの最初の項目");
cursor.insertBlockFormat(listFormat); // リストのフォーマットを設定
cursor.insertText("リストの次の項目");
// ...
QTextTable を使用する
利点
- 行と列を個別にフォーマットできる。
- 複雑なリストを作成できる。
欠点
QTextCursor::createList()
関数よりも学習曲線が急である。
QTextCursor cursor(document); // テキストドキュメント内のカーソルを取得
cursor.movePosition(QTextCursor::Start, QTextCursor::MoveAnchor); // カーソルをドキュメントの先頭に移動
QTextTable *table = cursor.insertTable(2, 3); // 2行3列のテーブルを挿入
table->cellAt(0, 0).setText("リストの最初の項目");
table->cellAt(1, 0).setText("リストの次の項目");
table->cellAt(0, 1).setText("別のテキスト");
table->cellAt(1, 1).setText("さらに別のテキスト");
// ...