【初心者向け】Qt GUIでカーソル位置を比較するテクニック:QTextCursor::operator()


QTextCursor::operator() は、Qt GUIライブラリで提供されるテキスト編集機能において、カーソル位置の比較を行う演算子です。この演算子は、2つのQTextCursorオブジェクトを比較し、左側のカーソルが右側のカーソルよりも前にあるかどうかを判定します。

構文

bool operator()(const QTextCursor &other) const;

引数

  • other: 比較対象となる別のQTextCursorオブジェクト

戻り値

  • false: 左側のカーソルが右側のカーソルよりも後ろにある場合または、カーソルが比較不可能な場合
  • true: 左側のカーソルが右側のカーソルよりも前にある場合

詳細

QTextCursor::operator()は、カーソル位置を内部的に整列された整数值に変換し、比較を行います。整列された整数値は、カーソルが属するドキュメント内の位置と、そのドキュメント内のカーソル位置を表します。

比較結果は、以下の条件に基づいて決定されます。

  • カーソルが異なるドキュメントに属している場合、比較は不可能であり、falseが返されます。
  • カーソルが同じドキュメントに属している場合、整列された整数値が比較されます。整列された整数値が小さい方が前にあると判定されます。

QTextDocument document;
QTextCursor cursor1(document);
QTextCursor cursor2(document);

// カーソル1をドキュメントの先頭に配置
cursor1.setPosition(0);

// カーソル2をドキュメントの末尾に配置
cursor2.setPosition(document.length());

// カーソル1がカーソル2よりも前にあるかどうかを確認
if (cursor1 < cursor2) {
    std::cout << "カーソル1はカーソル2よりも前にあります" << std::endl;
} else {
    std::cout << "カーソル1はカーソル2よりも後ろにあります" << std::endl;
}

この例では、cursor1はドキュメントの先頭に配置され、cursor2はドキュメントの末尾に配置されます。cursor1 < cursor2の評価結果はtrueとなり、cursor1cursor2よりも前にあることが確認されます。



#include <QApplication>
#include <QTextDocument>
#include <QTextEdit>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // テキストドキュメントを作成
  QTextDocument document;
  document.setPlainText("Hello, world! This is a sample text.");

  // テキストエディタを作成
  QTextEdit textEdit(&document);

  // "world"という単語を選択
  QTextCursor cursor(&document);
  cursor.findInText("world");
  textEdit.setSelection(cursor);

  // テキストエディタを表示
  textEdit.show();

  return app.exec();
}

このコードでは、まずQTextDocumentオブジェクトを作成し、サンプルテキストを設定します。次に、QTextEditオブジェクトを作成し、QTextDocumentオブジェクトを関連付けます。

その後、QTextCursorオブジェクトを作成し、findInText()メソッドを使用して"world"という単語を検索します。検索に成功すると、QTextCursorオブジェクトは検索された単語の位置に移動します。

最後に、setSelection()メソッドを使用して、QTextCursorオブジェクトによって選択された範囲をテキストエディタに表示します。

  • setSelection()メソッドは、QTextCursorオブジェクトによって選択された範囲をテキストエディタに表示します。
  • QTextCursor::operator()は、findInText()メソッドと組み合わせて使用することで、特定のテキストを検索し、その位置をカーソルに設定することができます。
  • カーソル位置に基づいて、テキストの書式を設定する
  • カーソル位置に基づいて、テキストを挿入または削除する
  • 特定の範囲内のすべての単語を選択する


以下に、QTextCursor::operator() の代替となる可能性のあるいくつかの方法を紹介します。

QTextCursor::position() を使用する

QTextCursor::position() メソッドは、カーソルがドキュメント内のどの位置にあるのかを整数値で返します。この値を使用して、2 つのカーソルの位置を比較することができます。

QTextCursor cursor1;
QTextCursor cursor2;

// カーソルの位置を取得
int position1 = cursor1.position();
int position2 = cursor2.position();

// カーソル1がカーソル2よりも前にあるかどうかを比較
if (position1 < position2) {
    std::cout << "カーソル1はカーソル2よりも前にあります" << std::endl;
} else {
    std::cout << "カーソル1はカーソル2よりも後ろにあります" << std::endl;
}

この方法は、QTextCursor::operator() と同じ結果を返し、よりシンプルで読みやすいコードとなります。

QTextCursor::compare() を使用する

QTextCursor::compare() メソッドは、2 つの QTextCursor オブジェクトを比較し、その結果を整数値で返します。この値は、以下のいずれかの値となります。

  • 1: 左側のカーソルが右側のカーソルよりも後ろにある
  • -1: 左側のカーソルが右側のカーソルよりも前にある
  • 0: カーソルが同じ位置にある
QTextCursor cursor1;
QTextCursor cursor2;

// カーソルを比較
int comparison = cursor1.compare(cursor2);

// 比較結果に基づいて処理を行う
if (comparison < 0) {
    std::cout << "カーソル1はカーソル2よりも前にあります" << std::endl;
} else if (comparison == 0) {
    std::cout << "カーソルは同じ位置にあります" << std::endl;
} else {
    std::cout << "カーソル1はカーソル2よりも後ろにあります" << std::endl;
}

この方法は、QTextCursor::operator() と同じ結果を返し、より汎用性の高いコードとなります。

論理演算子を使用する

単純な比較を行う場合は、論理演算子を使用して 2 つの QTextCursor オブジェクトを比較することができます。

QTextCursor cursor1;
QTextCursor cursor2;

// カーソル1がカーソル2よりも前にあるかどうかを比較
if (cursor1.position() < cursor2.position()) {
    std::cout << "カーソル1はカーソル2よりも前にあります" << std::endl;
} else {
    std::cout << "カーソル1はカーソル2よりも後ろにあります" << std::endl;
}

この方法は、最も簡潔な方法ですが、QTextCursor::operator()QTextCursor::compare() ほど汎用性が高くないことに注意する必要があります。

適切な代替方法の選択

使用する代替方法は、状況によって異なります。以下の点を考慮して、適切な方法を選択してください。

  • パフォーマンス: 性能が重要な場合は、最も効率的な方法を選択してください。
  • 汎用性: 将来的に要件が変更される可能性がある場合は、より汎用性の高い方法を選択してください。
  • シンプルさ: コードの可読性とメンテナンス性を高めるために、最もシンプルな方法を選択してください。

上記以外にも、状況によっては以下の方法が役立つ場合があります。

  • QTextRange::contains() メソッドを使用して、1 つのカーソルの範囲がもう 1 つのカーソルの範囲内に含まれているかどうかを確認する
  • QTextRange::intersects() メソッドを使用して、2 つのカーソルの範囲が重なっているかどうかを確認する