Qt GUIのテキスト編集：QTextCursor::beginEditBlock()を使いこなすための詳細ガイド

機能

beginEditBlock()を呼び出すと、テキストドキュメントの内部状態を編集モードに変更します。このモードでは、テキストドキュメントに対する変更が一時的にバッファリングされ、一括処理されます。これにより、個々の操作ごとにドキュメントを再描画する必要がなくなり、パフォーマンスが大幅に向上します。

使用方法

beginEditBlock()は、テキスト編集操作のシーケンスを開始する前に呼び出されます。その後、insertText(), removeText(), formatChar(), formatParagraph()などのメソッドを使用して、テキストドキュメントに対する変更を加えます。最後に、endEditBlock()を呼び出して編集モードを終了し、バッファリングされた変更をドキュメントに適用します。

例

QTextCursor cursor(textDocument);

cursor.beginEditBlock();

cursor.insertText("Hello");
cursor.insertText("World");

cursor.movePosition(QTextCursor::PreviousPosition);
cursor.formatChar(QTextCharFormat::FontWeight, QFont::Bold);

cursor.endEditBlock();

この例では、beginEditBlock()とendEditBlock()を使用して、"Hello World"というテキストを太字で挿入します。

利点

複雑な編集操作の容易化：beginEditBlock()とendEditBlock()を使用することで、複雑な編集操作をより簡単に実装することができます。
パフォーマンスの向上：個々の操作ごとにドキュメントを再描画する必要がないため、パフォーマンスが大幅に向上します。

編集モード中は、テキストドキュメントのシグナルが発行されない場合があります。
beginEditBlock()とendEditBlock()をペアで呼び出す必要があります。

QTextCursor cursor(textDocument);

cursor.beginEditBlock();

cursor.insertText("Hello");
cursor.insertText("World");

cursor.movePosition(QTextCursor::PreviousPosition);
cursor.formatChar(QTextCharFormat::FontWeight, QFont::Bold);

cursor.endEditBlock();

例2：テキストを挿入し、その後フォーマットする

この例では、beginEditBlock()とendEditBlock()を使用して、"Hello"というテキストを挿入し、その後太字と赤色でフォーマットします。

QTextCursor cursor(textDocument);

cursor.beginEditBlock();

cursor.insertText("Hello");

QTextCharFormat format;
format.setFontWeight(QFont::Bold);
format.setForeground(Qt::red);

cursor.setCharFormat(format);

cursor.endEditBlock();

例3：テキストを削除し、その後新しいテキストを挿入する

この例では、beginEditBlock()とendEditBlock()を使用して、"Hello"というテキストを削除し、その後"World"というテキストを挿入します。

QTextCursor cursor(textDocument);

cursor.beginEditBlock();

cursor.movePosition(QTextCursor::StartOfLine, QTextCursor::MoveAnchor);
cursor.movePosition(QTextCursor::EndOfLine, QTextCursor::KeepAnchor);
cursor.removeSelectedText();

cursor.insertText("World");

cursor.endEditBlock();

個々のメソッドを直接呼び出す

QTextCursor::beginEditBlock()を使用する代わりに、個々のテキスト編集メソッド（insertText(), removeText(), formatChar(), formatParagraph()など）を直接呼び出すことができます。この方法は、シンプルな編集操作を行う場合に適しています。

例：テキストを挿入する

QTextCursor cursor(textDocument);

cursor.movePosition(QTextCursor::EndPosition);
cursor.insertText("Hello World");

QTextBlock::beginEditBlock()を使用する

QTextCursor::beginEditBlock()は、テキストドキュメント全体に対する編集操作に適していますが、個々のテキストブロックに対する編集操作には適していません。個々のテキストブロックに対する編集操作を行う場合は、QTextBlock::beginEditBlock()を使用することができます。

例：テキストブロック内のテキストを太字にする

QTextCursor cursor(textDocument);
QTextBlock block = cursor.currentBlock();

if (block.isValid()) {
    block.beginEditBlock();

    QTextCharFormat format;
    format.setFontWeight(QFont::Bold);

    block.setCharFormat(format);

    block.endEditBlock();
}

QTextDocument::undoRedoStack()を使用する

QTextDocument::undoRedoStack()を使用することで、編集操作を元に戻したりやり直したりすることができます。この方法は、複雑な編集操作を行う場合に適しています。

例：テキストを挿入し、その後削除する

QTextCursor cursor(textDocument);

cursor.movePosition(QTextCursor::EndPosition);
cursor.insertText("Hello World");

QTextDocument* document = cursor.document();
document->undo();

カスタム編集操作を実装する

上記の方法でニーズが満たされない場合は、カスタム編集操作を実装することができます。この方法は、高度な編集機能が必要な場合に適しています。

例：テキストを検索して置換する

void findAndReplace(QTextDocument* document, const QString& searchText, const QString& replaceText) {
    QTextCursor cursor(document);

    while (cursor.find(searchText)) {
        cursor.beginEditBlock();
        cursor.replace(searchText, replaceText);
        cursor.endEditBlock();
    }
}