Qt QScrollBarの描画を徹底解説:paintEventの基本と活用

2025-05-27

以下に詳しく説明します。

paintEventとは?

Qtのすべてのウィジェット(QWidgetを継承するクラス)は、画面に表示される際に描画処理を行います。この描画処理は、Qtがウィジェットに対して「描画イベント」(QPaintEvent)を送信することでトリガーされます。paintEvent()関数は、この描画イベントを処理するためにオーバーライドされる仮想関数です。

QScrollBarQWidgetを継承しているので、独自のpaintEvent()を持っています。この関数は、スクロールバーのボタン(上下/左右の矢印)、トラック(スクロールバーの背景)、そしてスライダー(つまみ)などの各要素をどのように描画するかを決定します。

QScrollBar::paintEvent()の役割

QScrollBar::paintEvent()の主な役割は以下の通りです。

  1. 描画イベントの受け取り: Qtがスクロールバーの一部または全体を再描画する必要があると判断したときに、QPaintEventオブジェクトが引数として渡されてこの関数が呼び出されます。eventオブジェクトには、再描画が必要な領域(rect()またはregion())に関する情報が含まれています。

  2. QPainterの初期化: 描画を行うために、QPainterオブジェクトが作成されます。QPainterは、線、図形、テキスト、画像などを描画するための低レベルなAPIを提供します。通常、QPainter painter(this);のように、対象のウィジェット(この場合はQScrollBar自身)を引数に取って初期化されます。

  3. スタイル情報の取得: Qtのウィジェットは、OSやアプリケーションの設定に応じて異なるルック&フィール(スタイル)を持ちます。QScrollBar::paintEvent()は、現在のスタイル(QStyleクラス)から描画に必要な情報を取得します。具体的には、QStyleOptionSliderという構造体を初期化し、この構造体に必要なすべてのパラメータ(スクロールバーの向き、最小値、最大値、現在の値、スライダーの位置、ボタンの状態など)を設定します。

  4. スタイルの描画関数の呼び出し: 取得したスタイル情報とQPainterオブジェクトを使って、実際にスクロールバーの各要素を描画するためにQStyleの描画関数が呼び出されます。例えば、QStyle::drawComplexControl()QStyle::drawPrimitive()といった関数が使用されます。これにより、OSのネイティブなスクロールバーの外観を模倣したり、アプリケーションに設定されたカスタムスタイルを適用したりすることができます。

    • QStyle::drawComplexControl(QStyle::CC_ScrollBar, ...): スクロールバー全体(ボタン、トラック、スライダーなど)を描画します。
    • QStyle::drawPrimitive(...): スクロールバーの個々の構成要素(例: スライダーのつまみ、矢印ボタン)を描画します。

通常、QScrollBarの見た目を変更したい場合は、paintEvent()を直接オーバーライドするよりも、Qtのスタイルシート(CSSライクな構文)を使用するか、QStyleをサブクラス化してカスタムスタイルを実装する方が推奨されます。

しかし、もしpaintEvent()をオーバーライドして独自の描画を行う場合は、以下の点に注意が必要です。

  • QPainterの管理: QPainterオブジェクトは、描画が完了したら適切に破棄する必要があります(スコープを抜けるときに自動的に破棄されるようにスタック上に作成するのが一般的です)。
  • 描画領域の考慮: event->rect()event->region()で指定された領域内でのみ描画を行うことで、無駄な描画を避け、パフォーマンスを向上させることができます。
  • 基底クラスの呼び出し: void QScrollBar::paintEvent(QPaintEvent *event)をオーバーライドする場合、特定の描画処理を自分で実装し、残りの描画は基底クラスのpaintEvent()を呼び出す(QScrollBar::paintEvent(event);)ことでQtのデフォルトの描画ロジックを利用するのが一般的です。


QScrollBar::paintEvent() に関連する一般的なエラーとトラブルシューティング

描画が全くされない、または一部しかされない

考えられる原因

  • 基底クラスのpaintEventを呼び忘れている: カスタム描画を追加しつつ、Qtのデフォルトの描画ロジックも利用したい場合に、QScrollBar::paintEvent(event); を呼び忘れている。
  • eventの利用不足: QPaintEvent *eventで渡される描画領域(event->rect())を考慮せず、常にウィジェット全体を描画しようとしている。これにより、一部しか無効化されていない場合に描画されない。
  • paintEventのオーバーライド忘れ: シグネチャが異なるなど、正しくpaintEventをオーバーライドできていない。
  • QPainterの初期化ミス: QPainterが正しく初期化されていない、または描画対象のウィジェットと関連付けられていない。

トラブルシューティング

  • カスタム描画の前または後に QScrollBar::paintEvent(event); を呼び出しているか確認してください。どちらで呼び出すかは、デフォルト描画の上に描画するか、下に描画するかによります。
  • QPainterの描画範囲をevent->rect()にクリップするか、またはQPainterの初期化時にウィジェット全体を描画対象とするかを確認してください。
  • 関数シグネチャが void QScrollBar::paintEvent(QPaintEvent *event) と完全に一致していることを確認してください。
  • QPainter painter(this); のように、this(現在のウィジェット)を引数に指定してQPainterを初期化していることを確認してください。

ウィジェットがちらつく、またはパフォーマンスが悪い

考えられる原因

  • ダブルバッファリングの欠如: 複雑な描画を行う際に、ダブルバッファリングが有効になっていない。
  • paintEvent内での重い処理: paintEvent内でファイルI/O、ネットワーク通信、複雑な計算など、描画以外の時間のかかる処理を行っている。
  • 不要な再描画: update()repaint() を頻繁に呼び出しすぎている。

トラブルシューティング

  • ウィジェットの描画属性で setAttribute(Qt::WA_PaintOnScreen, false); を設定し、ダブルバッファリングを有効にすると、ちらつきが軽減されることがあります(デフォルトで有効になっていることが多いですが、確認する価値はあります)。
  • paintEvent内では、描画に必要な最小限の処理のみを行うようにしてください。時間のかかる処理は、別のスレッドや別のイベント(例: QTimerなど)で行い、結果をpaintEventで描画するようにします。
  • update()は、Qtに「後で描画が必要なことを通知」するもので、効率的に再描画をスケジュールします。repaint()は即座に再描画を行います。通常はupdate()を使用し、必要な場合のみrepaint()を使用してください。

スタイルシートが適用されない、または意図しない描画になる

考えられる原因

  • Qtのスタイルシートの限界: QStyleの描画ロジックに依存する部分で、スタイルシートでは完全に制御できない描画要素がある。
  • スタイルシートの記述ミス: セレクタ、プロパティ、値が間違っている。
  • paintEventのオーバーライドによる干渉: paintEventをオーバーライドしている場合、スタイルシートによるデフォルトの描画が上書きされてしまうことがあります。

トラブルシューティング

  • 複雑な描画のカスタマイズが必要な場合は、QStyleをサブクラス化して独自のスタイルを実装することを検討してください。これはスタイルシートよりも低レベルで、より詳細な描画制御が可能です。
  • Qt DesignerやQSS Validatorなどのツールを使用して、スタイルシートの構文が正しいことを確認してください。
  • スタイルシートを適用したい場合は、通常はpaintEventをオーバーライドすべきではありません。もしオーバーライドが必要な場合は、基底クラスのpaintEventを呼び出し、その上にカスタム描画を追加することで、スタイルシートの効果を残しつつ、独自の描画を行うことができます。

デフォルトのスクロールバーの動作がおかしい(描画と直接関係しない場合も含む)

考えられる原因

  • レイアウトによるサイズの問題: レイアウトマネージャがスクロールバーのサイズを意図しないものにしている。
  • スクロールイベントの処理ミス: sliderMoved() シグナルなどを適切に処理していない。
  • setMinimum(), setMaximum(), setValue() の設定ミス: スクロールバーの範囲や現在値が正しく設定されていない。

トラブルシューティング

  • sizeHint()をオーバーライドして、スクロールバーの推奨サイズを適切に返すようにするか、レイアウトの設定を確認してください。
  • スクロールバーのvalueChanged(int)sliderMoved(int)シグナルを適切にスロットに接続し、対応するウィジェット(例: QScrollArea内のウィジェット)のスクロール位置を更新しているか確認してください。
  • スクロールバーのminimummaximumvalueプロパティが論理的に正しい値であることを確認してください。

一般的なトラブルシューティングのヒント

  • Qtのドキュメント参照: QScrollBarQPainterQStyleの公式ドキュメントには、詳細な情報や使用例が記載されています。
  • 最小限の再現コード: 問題が発生しているコードから、その問題だけを再現できる最小限のコードを切り出すことで、原因の特定が容易になります。
  • qDebug()の活用: paintEventの入り口と出口、主要な描画処理の前後でqDebug()を使ってメッセージを出力し、関数の呼び出し頻度や実行パスを追跡します。
  • デバッガの使用: paintEvent内にブレークポイントを設定し、QPainterの状態、描画コマンド、QPaintEventの内容などを確認します。

QScrollBar::paintEvent()を直接扱うことは稀であり、通常はQtの提供する高レベルな機能(スタイルシートなど)で十分なカスタマイズが可能です。しかし、深く掘り下げてカスタム描画を実装する際には、上記のエラーとトラブルシューティングのポイントが役立つでしょう。 Qtプログラミングにおいて、QScrollBar::paintEvent() を直接オーバーライドして描画を行う場合、いくつかの一般的なエラーや落とし穴があります。ここではそれらのエラーと、それらを解決するためのトラブルシューティングの方法を説明します。

一般的な原因

  • 基底クラスの paintEvent() の呼び忘れ: 独自の描画を追加しつつ、Qtデフォルトの描画ロジックも利用したい場合、基底クラスの paintEvent() を呼び出す必要があります。
  • 描画領域の制限: QPaintEvent *event オブジェクトには、再描画が必要な領域 (event->rect() または event->region()) が含まれています。最適化のために、この領域内でのみ描画を行うべきですが、誤って描画範囲を狭めすぎている場合があります。
  • update()repaint() の呼び忘れ: ウィジェットの見た目を変更しても、明示的に再描画を要求しないと paintEvent() は呼び出されません。
  • QPainter の初期化ミス: QPainter を作成する際に、描画対象のウィジェットを正しく指定していない。特に QAbstractScrollArea など、ビューポートを持つウィジェットの場合、viewport() に対して QPainter を作成する必要があります。

トラブルシューティング

  • 基底クラスの呼び出しの確認: QScrollBar::paintEvent(event); が忘れずに呼び出されているか確認します。これを呼び出さないと、Qtが提供するスクロールバーの基本的な描画(ボタン、スライダー、トラックなど)が行われません。
  • event->rect() の確認: デバッグ出力 (qDebug()) を使って event->rect() の値を確認し、期待される描画領域が渡されているかを確認します。もし描画範囲が狭い場合は、update()repaint() を呼び出す際に引数を指定せず、ウィジェット全体を再描画するように試してみてください。
  • 変更後に update() を呼び出す: スクロールバーの値や状態を変更した際に、update()(または repaint())を呼び出して再描画をトリガーしてください。update() は最適化された再描画を要求し、repaint() は即座の再描画を要求します。通常は update() で十分です。
    void MyWidget::onSliderMoved(int value) {
        // ... 値の更新 ...
        myScrollBar->update(); // スクロールバーの再描画を要求
    }
    
  • QPainter の対象を確認:
    void MyScrollBar::paintEvent(QPaintEvent *event) {
        // QScrollBar::paintEvent() をオーバーライドする場合、通常は this でOKですが、
        // QAbstractScrollArea::paintEvent() をオーバーライドする場合は viewport() が必要です。
        QPainter painter(this); // もしくは QPainter painter(viewport());
        // ... 描画コード ...
        QScrollBar::paintEvent(event); // 基底クラスの描画を呼び出す
    }
    

スクロール時に残像が残る、描画がちらつく(フリッカー)

一般的な原因

  • QWidget::setAttribute(Qt::WA_OpaquePaintEvent) の誤用: この属性は、ウィジェットが常に背景を完全に塗りつぶすことをQtに伝えるものです。これを設定すると、Qtは背景の自動クリアを行わなくなります。
  • QPainter の背景クリア不足: 描画を開始する前に、以前の描画内容をクリアしていない。
  • 部分的な再描画の最適化不足: スクロールによって画面の一部が更新される際、更新が必要な領域だけを効率的に描画できていない。

トラブルシューティング

  • Qt::WA_OpaquePaintEvent の見直し: もしこの属性を設定している場合は、本当に必要かどうか再検討してください。通常、カスタム描画ではこれを設定せず、手動で背景をクリアする方が安全です。
  • 背景のクリア: QPainter で描画を開始する前に、painter.fillRect(event->rect(), palette().window()); などを使って、現在のウィジェットの背景色で描画領域をクリアします。
    void MyScrollBar::paintEvent(QPaintEvent *event) {
        QPainter painter(this);
        painter.fillRect(event->rect(), palette().window()); // 背景をクリア
        // ... 独自の描画 ...
        QScrollBar::paintEvent(event);
    }
    

スクロールバーが正しく動作しない(スライダーが動かない、値が更新されない)

一般的な原因

  • イベントフィルタやカスタムイベント処理との競合: QEventFilter を使用していたり、他のイベントハンドラでスクロールイベントを消費してしまっていたりする可能性があります。
  • paintEvent() の直接的な原因ではない: paintEvent() は描画を行うだけで、スクロールバーのロジック(値の変更、スライダーの位置計算など)には直接関与しません。この問題は、通常、QScrollBar のプロパティ設定(setRange(), setValue(), setSingleStep(), setPageStep())や、それらとデータモデルとの連携ミスが原因です。

トラブルシューティング

  • デバッグ出力: QScrollBarvalue(), minimum(), maximum() の値が期待通りに変化しているかをデバッグ出力で確認します。
  • 信号とスロットの接続を確認: sliderMoved(), valueChanged() などのシグナルが、値の変更を処理するスロットに正しく接続されているか確認します。
  • paintEvent() 以外の部分を確認: setValue(), setRange() などの関数が正しく呼び出され、スクロールバーのモデルが適切に設定されているかを確認します。

パフォーマンスの問題(描画が遅い、CPU使用率が高い)

一般的な原因

  • QPainter の設定変更のオーバーヘッド: QPainter のペン、ブラシ、フォントなどを描画ループ内で頻繁に設定変更している。
  • 描画領域の最適化不足: event->rect() を無視して、常にウィジェット全体を描画している。
  • 不必要な描画: paintEvent() 内で高コストな描画処理を頻繁に行っている。

トラブルシューティング

  • プロファイリング: Qt Creator のプロファイラツール(QML ProfilerCPU Usage)を使用して、どこでパフォーマンスのボトルネックが発生しているかを特定します。
  • QPainter の設定最適化: 描画ループの外で一度だけ QPainter の設定を行うか、必要な変更だけをループ内で行うようにします。
  • キャッシュの利用: 複雑な描画内容であれば、QPixmapQImage にあらかじめ描画しておき、paintEvent() ではそのキャッシュされた画像を単に drawPixmap() で描画するようにします。
  • event->rect() を活用: 描画が必要な領域 (event->rect()) 内でのみ描画処理を行うようにコードを最適化します。

QPainter::begin: Widget painting can only begin as a result of a paintEvent エラー

一般的な原因

  • QPainter オブジェクトを paintEvent() の外で、または QPainter が既にアクティブな状態でないときに、ウィジェット上で直接作成しようとした場合に発生します。
  • QPainter painter(this); のようなコードは、必ず paintEvent() 関数の内部に記述されていることを確認してください。他の場所でウィジェットに描画したい場合は、update() を呼び出して paintEvent() をトリガーするか、QPixmap などに描画して後で表示する形を取ります。
  • ドキュメントの参照: Qt の公式ドキュメント (QPainter, QPaintEvent, QStyle, QScrollBar など) を常に参照し、各クラスの動作と推奨される使用方法を理解することが重要です。
  • QStyle の利用: より複雑なカスタマイズが必要で、スタイルシートでは対応できない場合、QStyle をサブクラス化してカスタムスタイルを実装することを検討します。これにより、ウィジェットの描画ロジックをより深く制御できます。
  • Qt スタイルシートの利用: ほとんどの場合、QScrollBar の見た目をカスタマイズする最良の方法は、paintEvent() をオーバーライドするのではなく、Qt スタイルシートを使用することです。これにより、OSのネイティブなルック&フィールを維持しつつ、柔軟なカスタマイズが可能です。


QScrollBar::paintEvent()を直接オーバーライドするケースは、QtスタイルシートやQStyleのサブクラス化で実現できないような、非常に特殊な描画が必要な場合に限られます。通常はスタイルシートを使用することを強く推奨します。

しかし、学習目的や特殊な要件のためにpaintEvent()をオーバーライドする方法を知ることは有益です。

MyScrollBar.h (ヘッダファイル)

#ifndef MYSCROLLBAR_H
#define MYSCROLLBAR_H

#include <QScrollBar>
#include <QPainter>
#include <QPaintEvent>
#include <QDebug> // デバッグ出力用

// QScrollBarを継承したカスタムスクロールバークラス
class MyScrollBar : public QScrollBar
{
    Q_OBJECT // Qtのメタオブジェクトシステムを使用するために必要

public:
    // コンストラクタ
    explicit MyScrollBar(Qt::Orientation orientation, QWidget *parent = nullptr);

protected:
    // paintEvent() 仮想関数をオーバーライド
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override;
};

#endif // MYSCROLLBAR_H

MyScrollBar.cpp (ソースファイル)

#include "MyScrollBar.h"
#include <QStyleOptionSlider> // スクロールバーの描画オプション
#include <QStyle>             // スタイル情報にアクセスするため

MyScrollBar::MyScrollBar(Qt::Orientation orientation, QWidget *parent)
    : QScrollBar(orientation, parent)
{
    // コンストラクタで、例えば背景を透過させる設定などを行うことができます
    // setAttribute(Qt::WA_OpaquePaintEvent, false); // 完全に透過したい場合
    // ただし、この場合、背景の描画は全てpaintEventで手動で行う必要があります
}

void MyScrollBar::paintEvent(QPaintEvent *event)
{
    QPainter painter(this); // このウィジェットに描画するためのQPainterを作成

    // --- 独自の描画を追加する例 ---

    // 1. スクロールバーの背景をカスタムカラーで塗りつぶす
    // イベントが要求する再描画領域 (event->rect()) のみ塗りつ潰すのが効率的
    painter.fillRect(event->rect(), Qt::lightGray); // 明るい灰色で背景を塗りつぶし

    // 2. スライダー(つまみ)の位置を取得し、カスタムで描画する
    QStyleOptionSlider opt;
    initStyleOption(&opt); // 現在のスタイルオプションを初期化

    // スライダーの矩形領域を取得
    // style() から QStyle オブジェクトを取得し、subControlRect を呼び出す
    QRect sliderRect = style()->subControlRect(QStyle::CC_ScrollBar, &opt, QStyle::SC_ScrollBarSlider, this);

    qDebug() << "Slider Rect:" << sliderRect; // デバッグ出力で位置を確認

    // スライダーの描画をカスタムで行う(例:丸みを帯びた矩形)
    painter.setBrush(Qt::darkCyan); // 濃いシアン色で塗りつぶし
    painter.setPen(Qt::NoPen);      // 枠線なし
    painter.drawRoundedRect(sliderRect, 8, 8); // 角丸の矩形を描画(半径8)

    // 3. スクロールバーの境界線を描画する
    painter.setPen(Qt::darkGray); // 濃い灰色で枠線
    painter.drawRect(rect().adjusted(0, 0, -1, -1)); // ウィジェット全体の境界線を描画

    // --- Qt標準の描画ロジックを呼び出す ---
    // これを呼び出さないと、ボタンやトラックの残りの部分が描画されません。
    // 独自の描画とQt標準の描画を組み合わせる場合によく使われます。
    // ただし、Qtのデフォルト描画と競合する可能性があるので注意が必要です。
    // 今回の例では、背景とスライダーを独自に描画したので、
    // QScrollBar::paintEvent() を呼び出すと、これらの要素が二重に描画されたり、
    // 期待通りにならない場合があります。
    // 例:Qtのスタイルによっては、`drawComplexControl` でトラック全体を塗りつぶすため、
    // 上で描画した `lightGray` の背景が見えなくなる可能性があります。
    // この例では、完全にカスタム描画をしたい場合は、以下の行をコメントアウトします。
    // QScrollBar::paintEvent(event); // 基底クラスのpaintEventを呼び出し

    // もし、Qt標準のスタイル描画を利用しつつ一部だけ変更したい場合は、
    // QStyle::drawComplexControl や QStyle::drawPrimitive を直接呼び出す方法もあります。
    // 例:QStyleOptionSlider opt; initStyleOption(&opt);
    //     style()->drawComplexControl(QStyle::CC_ScrollBar, &opt, &painter, this);
    // この方法はより高度ですが、より細かく制御できます。
    // 上の例では、Qt標準の描画を完全に置き換えるアプローチを取っています。
}

main.cpp (使用例)

#include <QApplication>
#include <QMainWindow>
#include <QVBoxLayout>
#include <QLabel>
#include "MyScrollBar.h" // 作成したカスタムスクロールバーをインクルード

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    QMainWindow window;
    QWidget *centralWidget = new QWidget(&window);
    QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(centralWidget);

    QLabel *label = new QLabel("このスクロールバーはカスタム描画されています。", centralWidget);
    label->setAlignment(Qt::AlignCenter);
    layout->addWidget(label);

    // カスタムスクロールバーのインスタンスを作成
    MyScrollBar *hScrollBar = new MyScrollBar(Qt::Horizontal, centralWidget);
    hScrollBar->setRange(0, 100);    // 範囲を設定
    hScrollBar->setValue(30);        // 初期値を設定
    hScrollBar->setPageStep(10);     // ページステップを設定
    hScrollBar->setSingleStep(1);    // シングルステップを設定

    layout->addWidget(hScrollBar);

    // スクロールバーの値が変更されたらデバッグ出力する
    QObject::connect(hScrollBar, &MyScrollBar::valueChanged, [](int value){
        qDebug() << "Scroll bar value changed to:" << value;
    });

    window.setCentralWidget(centralWidget);
    window.setWindowTitle("Custom QScrollBar Example");
    window.resize(400, 200);
    window.show();

    return a.exec();
}

コードの説明

  1. MyScrollBarクラスの定義:

    • QScrollBarを継承しています。
    • Q_OBJECTマクロが必要です(信号とスロット、プロパティシステムを使用するため)。
    • paintEvent(QPaintEvent *event) override;で仮想関数をオーバーライドすることを宣言しています。
  2. コンストラクタ:

    • QScrollBarのコンストラクタを呼び出し、方向 (Qt::Orientation) を設定します。
    • ここでは特にカスタマイズしていませんが、例えば、setAttribute(Qt::WA_OpaquePaintEvent, false);を設定して背景を完全に透明にしたい場合に利用できます。ただし、その場合はpaintEvent内で背景のクリアをしっかり行う必要があります。
  3. paintEvent(QPaintEvent *event)の実装:

    • QPainter painter(this);
      • ウィジェット(この場合はMyScrollBarインスタンス自身)に描画するためのQPainterオブジェクトを作成します。この行は、描画イベント処理の基本です。
    • painter.fillRect(event->rect(), Qt::lightGray);
      • event->rect()は、再描画が必要な領域を示します。この領域をQt::lightGrayで塗りつぶしています。これにより、スクロールバーの背景色がカスタムになります。
      • パフォーマンスのため、常にevent->rect()内の描画に限定することを検討してください。
    • QStyleOptionSlider opt;
      • QStyleOptionSliderは、スクロールバーの現在の状態や設定(方向、値、範囲、スライダーの位置など)を保持する構造体です。Qtのスタイルシステムがウィジェットを描画する際に使用する情報です。
    • initStyleOption(&opt);
      • 現在のQScrollBarの状態をoptにコピーします。これにより、後でQStyleの描画関数を呼び出す際に、正確な情報が提供されます。
    • QRect sliderRect = style()->subControlRect(QStyle::CC_ScrollBar, &opt, QStyle::SC_ScrollBarSlider, this);
      • style()は、現在のアプリケーションに適用されているQStyleオブジェクトを返します。
      • subControlRect()は、与えられた複合コントロール(QStyle::CC_ScrollBar)の中から、指定されたサブコントロール(QStyle::SC_ScrollBarSlider、つまりスライダーのつまみ)の矩形領域を計算して返します。これを使って、スライダーをどこに描画すべきかを知ることができます。
    • painter.setBrush(Qt::darkCyan); painter.setPen(Qt::NoPen); painter.drawRoundedRect(sliderRect, 8, 8);
      • 取得したsliderRectの領域に、カスタムの色と形でスライダーを描画します。ここでは濃いシアン色の角丸矩形を描いています。
    • painter.setPen(Qt::darkGray); painter.drawRect(rect().adjusted(0, 0, -1, -1));
      • ウィジェット全体の境界線を描画しています。adjusted(0, 0, -1, -1)は、ピクセルの重複を避けるための一般的なテクニックです。
    • // QScrollBar::paintEvent(event);
      • コメントアウトされています。もしこの行を有効にすると、QtのデフォルトのQScrollBarの描画処理が実行されます。この例では、背景とスライダーを独自に描画しているので、これを有効にすると重複したり、意図しない描画になる可能性があります。例えば、Qtデフォルトのスタイルがスライダーを描画し、その上にカスタムのスライダーが描画される形になります。
      • もし、Qtのデフォルト描画を利用しつつ、一部だけ修正したい場合は、QStyle::drawComplexControl()などを直接呼び出し、必要な部分だけカスタマイズしてから残りをデフォルトに任せるという方法もあります(より複雑なアプローチです)。

このコードを実行すると、Qtの標準的なスクロールバーではなく、以下の特徴を持つスクロールバーが表示されます。

  • スクロールバー全体の境界線が濃い灰色。
  • スライダー(つまみ)が濃いシアン色の角丸矩形。
  • 背景が明るい灰色。

スクロールバーの矢印ボタンやトラック(スライダーが動く溝)は、QScrollBar::paintEvent(event)を呼び出していないため、この例では描画されません。もしそれらも描画したい場合は、QStyleの描画関数を呼び出すか、自分で描画ロジックを実装する必要があります。



Qtスタイルシート (Qt Style Sheets)

最も一般的で推奨される方法です。 QtスタイルシートはCSSに似た構文を持ち、Qtウィジェットの外観を簡単にカスタマイズできます。QScrollBarのような複合ウィジェットに対しても、各サブコントロール(スライダー、ボタン、トラックなど)を個別にスタイル指定できます。

利点

  • 状態に基づくスタイル: :hover, :pressed, :disabled などの擬似状態セレクタを使用して、ウィジェットの状態に応じた異なるスタイルを適用できます。
  • プラットフォーム非依存: どのOSでも一貫した見た目を実現できます。
  • 分離: 描画ロジックがC++コードから分離され、UIデザイナーが独立して作業できます。
  • 柔軟性: 多くのプロパティ(色、背景画像、ボーダー、マージン、パディングなど)をカスタマイズできます。
  • 簡単さ: CSSに似た直感的な構文で、コード量が少なくて済みます。

欠点

  • 学習曲線: QScrollBarのような複合ウィジェットの場合、各サブコントロールのセレクタとプロパティを理解するのに少し時間がかかるかもしれません。
  • 複雑な描画には限界: 例えば、複雑なアニメーションや、スタイルシートでは表現できない特定の幾何学的形状の描画には不向きです。

コード例

// main.cpp またはウィジェットのコンストラクタ内で設定
#include <QApplication>
#include <QMainWindow>
#include <QTextEdit>
#include <QVBoxLayout>
#include <QScrollBar>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    QMainWindow window;
    QWidget *centralWidget = new QWidget(&window);
    QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(centralWidget);

    QTextEdit *textEdit = new QTextEdit(centralWidget);
    layout->addWidget(textEdit);

    // QScrollBarのスタイルシートを設定
    QString styleSheet = R"(
        QScrollBar:vertical {
            border: 1px solid #999999;
            background: #f0f0f0;
            width: 15px; /* スクロールバーの幅 */
            margin: 15px 0 15px 0; /* 上下のボタンのためのスペース */
        }

        QScrollBar::handle:vertical {
            background: qlineargradient(x1:0, y1:0, x2:1, y2:0, stop:0 #cccccc, stop:1 #aaaaaa);
            min-height: 20px; /* スライダーの最小高さ */
            border-radius: 5px; /* スライダーの角丸 */
        }

        QScrollBar::add-line:vertical {
            border: 1px solid #a0a0a0;
            background: #e0e0e0;
            height: 15px; /* 上ボタンの高さ */
            subcontrol-position: top; /* 上に配置 */
            subcontrol-origin: margin;
        }

        QScrollBar::sub-line:vertical {
            border: 1px solid #a0a0a0;
            background: #e0e0e0;
            height: 15px; /* 下ボタンの高さ */
            subcontrol-position: bottom; /* 下に配置 */
            subcontrol-origin: margin;
        }

        QScrollBar::up-arrow:vertical, QScrollBar::down-arrow:vertical {
            /* 矢印の画像や形状をここで指定 */
            /* 例: image: url(:/icons/up_arrow.png); */
            width: 10px;
            height: 10px;
        }

        QScrollBar::add-page:vertical, QScrollBar::sub-page:vertical {
            background: none; /* スライダー以外の部分の背景を透明に */
        }

        QScrollBar:horizontal {
            border: 1px solid #999999;
            background: #f0f0f0;
            height: 15px; /* スクロールバーの高さ */
            margin: 0 15px 0 15px; /* 左右のボタンのためのスペース */
        }

        QScrollBar::handle:horizontal {
            background: qlineargradient(x1:0, y1:0, x2:0, y2:1, stop:0 #cccccc, stop:1 #aaaaaa);
            min-width: 20px; /* スライダーの最小幅 */
            border-radius: 5px;
        }

        QScrollBar::add-line:horizontal {
            border: 1px solid #a0a0a0;
            background: #e0e0e0;
            width: 15px;
            subcontrol-position: right;
            subcontrol-origin: margin;
        }

        QScrollBar::sub-line:horizontal {
            border: 1px solid #a0a0a0;
            background: #e0e0e0;
            width: 15px;
            subcontrol-position: left;
            subcontrol-origin: margin;
        }

        QScrollBar::left-arrow:horizontal, QScrollBar::right-arrow:horizontal {
            width: 10px;
            height: 10px;
        }

        QScrollBar::add-page:horizontal, QScrollBar::sub-page:horizontal {
            background: none;
        }
    )";

    a.setStyleSheet(styleSheet); // アプリケーション全体にスタイルシートを適用

    window.setCentralWidget(centralWidget);
    window.setWindowTitle("QScrollBar Stylesheet Example");
    window.resize(400, 300);
    window.show();

    return a.exec();
}

QStyleのサブクラス化 (Subclassing QStyle)

より高度なカスタマイズが必要な場合に使用します。 QStyleは、Qtのすべてのウィジェットのルック&フィールをカプセル化する抽象基底クラスです。これをサブクラス化することで、Qtウィジェット全体の描画ロジックをより細かく制御できます。これは、アプリケーション全体に一貫したカスタムテーマを適用したい場合に特に強力です。

利点

  • パフォーマンス: QStyleは描画の最適化を考慮して設計されています。
  • 一貫性: アプリケーション全体に統一されたカスタムスタイルを適用できます。
  • 完全な制御: paintEvent()のオーバーライドよりも、より粒度の高い描画制御が可能です。Qtのすべてのウィジェットが描画される方法に影響を与えられます。

欠点

  • クロスプラットフォーム互換性: 各OSのネイティブスタイルを模倣するには、さらに多くの作業が必要になる場合があります。
  • 特定のウィジェットに限定しにくい: アプリケーション全体に影響を与えるため、特定のQScrollBarだけをカスタマイズするには大げさな方法です。
  • メンテナンス: Qtのバージョンアップに伴い、APIの変更に対応する必要がある場合があります。
  • 複雑性: QStyleのAPIは大きく、学習コストが高いです。

コード例 (非常に簡略化)

// MyCustomStyle.h
#ifndef MYCUSTOMSTYLE_H
#define MYCUSTOMSTYLE_H

#include <QProxyStyle> // QStyleを直接継承するよりも、QProxyStyleを継承する方が一般的です

class MyCustomStyle : public QProxyStyle
{
    Q_OBJECT
public:
    explicit MyCustomStyle(QStyle *baseStyle = nullptr);

    // QScrollBarのスライダー部分の描画をオーバーライドする例
    // QStyle::drawControl は、特定のコントロール要素の描画を担当します
    void drawControl(ControlElement element, const QStyleOption *option,
                     QPainter *painter, const QWidget *widget = nullptr) const override;
};

#endif // MYCUSTOMSTYLE_H
// MyCustomStyle.cpp
#include "MyCustomStyle.h"
#include <QStyleOptionSlider> // スクロールバーの描画オプション
#include <QDebug>

MyCustomStyle::MyCustomStyle(QStyle *baseStyle)
    : QProxyStyle(baseStyle) // ベースとなるスタイルを指定(例: QApplication::style())
{
}

void MyCustomStyle::drawControl(ControlElement element, const QStyleOption *option,
                                QPainter *painter, const QWidget *widget) const
{
    if (element == CE_ScrollBarSlider) { // スクロールバーのスライダー要素の場合
        const QStyleOptionSlider *sliderOption = qstyleoption_cast<const QStyleOptionSlider*>(option);
        if (sliderOption) {
            // スライダーの矩形領域
            QRect sliderRect = sliderOption->rect;

            // カスタム描画
            painter->setBrush(Qt::magenta); // マゼンタ色で塗りつぶし
            painter->setPen(Qt::NoPen);
            painter->drawRoundedRect(sliderRect, 10, 10); // 角丸の矩形
            return; // ここで描画を完了したので、基底クラスの描画は呼び出さない
        }
    }
    // それ以外の要素は基底クラスの描画ロジックに任せる
    QProxyStyle::drawControl(element, option, painter, widget);
}
// main.cpp (MyCustomStyle の適用例)
#include <QApplication>
#include <QMainWindow>
#include <QTextEdit>
#include <QVBoxLayout>
#include "MyCustomStyle.h"

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    // カスタムスタイルをアプリケーション全体に設定
    // QApplication::style() をベーススタイルとして渡すことで、
    // 未定義の描画はOSのネイティブスタイルに任せることができます。
    a.setStyle(new MyCustomStyle(a.style()));

    QMainWindow window;
    QWidget *centralWidget = new QWidget(&window);
    QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(centralWidget);

    QTextEdit *textEdit = new QTextEdit(centralWidget);
    layout->addWidget(textEdit);

    window.setCentralWidget(centralWidget);
    window.setWindowTitle("Custom QStyle QScrollBar Example");
    window.resize(400, 300);
    window.show();

    return a.exec();
}

これはQScrollBarの直接的な描画カスタマイズとは少し異なりますが、スクロール機能を持つカスタムウィジェットを作成する際の関連する選択肢です。 QScrollAreaは、内部にウィジェット(ビューポート)を配置し、必要に応じて自動的にスクロールバーを表示する便利なクラスです。QAbstractScrollAreaはその基底クラスで、カスタムのスクロール可能なビューを実装する際に、paintEvent()をオーバーライドしてコンテンツを描画し、スクロールバーの値を手動で制御します。

利点

  • 描画とスクロールロジックの統合: コンテンツの描画とスクロールバーの値を密接に連携させることができます。
  • 複雑なカスタムビューに最適: グラフ、地図、カスタムテキストエディタなど、QGraphicsViewQListViewでは表現しきれないような、独自の描画を持つスクロール可能な領域を作成するのに適しています。

欠点

  • QScrollBar自体の見た目を変更するには、やはりスタイルシートやQStyleが必要: QAbstractScrollAreaは、描画されるコンテンツのスクロールを管理するものであり、スクロールバー自体の見た目をカスタマイズする方法ではありません。
  • 実装の複雑性: QAbstractScrollAreaを直接使用する場合、スクロールバーの値とビューポートのオフセットを自分で管理する必要があります。
#include <QAbstractScrollArea>
#include <QPainter>
#include <QScrollBar>

class MyCustomScrollArea : public QAbstractScrollArea
{
    Q_OBJECT
public:
    explicit MyCustomScrollArea(QWidget *parent = nullptr)
        : QAbstractScrollArea(parent)
    {
        // スクロールバーの範囲を設定 (例: 全体のコンテンツサイズに基づく)
        verticalScrollBar()->setRange(0, 1000);
        horizontalScrollBar()->setRange(0, 800);

        // スクロールバーの値が変更されたときにビューポートを更新
        connect(verticalScrollBar(), &QScrollBar::valueChanged, this, [this](int value){
            // 縦スクロールオフセットを更新し、再描画を要求
            viewport()->update();
        });
        connect(horizontalScrollBar(), &QScrollBar::valueChanged, this, [this](int value){
            // 横スクロールオフセットを更新し、再描画を要求
            viewport()->update();
        });
    }

protected:
    // ビューポートの描画イベント
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override
    {
        QPainter painter(viewport()); // ビューポートに描画
        painter.setRenderHint(QPainter::Antialiasing);

        // 現在のスクロールオフセットを取得
        int xOffset = horizontalScrollBar()->value();
        int yOffset = verticalScrollBar()->value();

        // 描画をオフセットする
        painter.translate(-xOffset, -yOffset);

        // --- ここにカスタムコンテンツの描画ロジックを実装 ---
        // 例: 巨大な画像を部分的に描画したり、複雑なグラフを描画したり
        painter.drawText(100, 100, "Hello, custom scroll area!");
        painter.drawRect(200, 200, 100, 50);

        // 実際のコンテンツサイズに応じてスクロールバーの範囲やページステップを調整することも重要
        // verticalScrollBar()->setPageStep(viewport()->height());
        // horizontalScrollBar()->setPageStep(viewport()->width());

        // スクロールバー自体のスタイルは、別途スタイルシートなどで設定
    }
};
  • QScrollBar::paintEvent()の直接オーバーライド: 上記のどの方法でも実現できない、非常に特殊で低レベルな描画要件がある場合にのみ使用します。
  • 独自のスクロール可能なコンテンツ描画: QAbstractScrollAreaを継承し、paintEvent()でコンテンツを描画し、スクロールバーと連携させます。
  • アプリケーション全体の統一されたテーマ: QStyleのサブクラス化を検討します。
  • 簡単な見た目の変更: Qtスタイルシートを優先的に使用します。ほとんどのQScrollBarのカスタマイズ要件を満たします。