【初心者向け】Qt Widgetsでドラッグ選択範囲を表示する: QRubberBand::showEvent()の使い方
詳細
showEvent()
メソッドは、QRubberBand
ウィジェットが表示されたときに自動的に呼び出されます。このメソッドは、ウィジェットの現在の状態に基づいて、ウィジェットの外観を更新するために使用されます。具体的には、以下の処理を実行します。
- ウィジェットのペイントイベントハンドラを呼び出して、ウィジェットをペイントします。
- スタイルオプションオブジェクトを使用して、ウィジェットの現在のスタイル設定を取得します。
- ウィジェットのスタイルオプションオブジェクトを作成します。
例
以下のコードは、QRubberBand
ウィジェットを作成し、表示する例です。
QRect rect(10, 20, 50, 30);
QRubberBand *rubberBand = new QRubberBand(QRubberBand::Rectangle, this);
rubberBand->setGeometry(rect);
rubberBand->show();
このコードは、以下の操作を実行します。
QRect
オブジェクトを作成して、ウィジェットのサイズと位置を定義します。QRubberBand
オブジェクトを作成して、ウィジェットの形状を矩形に設定します。setGeometry()
メソッドを使用して、ウィジェットのジオメトリをQRect
オブジェクトで指定された値に設定します。show()
メソッドを使用して、ウィジェットを表示します。
showEvent()
メソッドは、QWidget
クラスの仮想メソッドを再実装したものです。このため、QRubberBand
ウィジェットだけでなく、他のQt Widgetsウィジェットでも使用できます。
showEvent()
メソッドは、ウィジェットが表示された直後に呼び出されるため、ウィジェットの外観を更新するのに最適な場所です。ただし、このメソッドは、ウィジェットのサイズや位置を変更するような操作を実行してはなりません。これらの操作は、resizeEvent()
やmoveEvent()
などの他のイベントハンドラで行う必要があります。
class MyWidget : public QWidget {
public:
MyWidget(QWidget *parent = nullptr);
protected:
void mousePressEvent(QMouseEvent *event) override;
void mouseMoveEvent(QMouseEvent *event) override;
void mouseReleaseEvent(QMouseEvent *event) override;
private:
QRect selectionRect;
QRubberBand *rubberBand;
};
MyWidget::MyWidget(QWidget *parent) : QWidget(parent) {
rubberBand = new QRubberBand(QRubberBand::Rectangle, this);
}
void MyWidget::mousePressEvent(QMouseEvent *event) {
if (event->button() == Qt::LeftButton) {
origin = event->pos();
rubberBand->setGeometry(QRect(origin, origin));
rubberBand->show();
}
}
void MyWidget::mouseMoveEvent(QMouseEvent *event) {
if (rubberBand->isVisible()) {
selectionRect.setTopLeft(origin);
selectionRect.setBottomRight(event->pos());
rubberBand->setGeometry(selectionRect);
}
}
void MyWidget::mouseReleaseEvent(QMouseEvent *event) {
if (event->button() == Qt::LeftButton) {
rubberBand->hide();
}
}
MyWidget
という名前の新しいQt Widgetsウィジェットクラスを作成します。mousePressEvent()
、mouseMoveEvent()
、mouseReleaseEvent()
という3つの仮想メソッドを定義します。これらのメソッドは、マウスイベントが発生したときに呼び出されます。MyWidget
コンストラクタで、QRubberBand
オブジェクトを作成して、ウィジェットに関連付けます。mousePressEvent()
メソッドで、左マウスボタンが押されたときに、選択範囲の開始点を記録し、QRubberBand
ウィジェットを表示します。mouseMoveEvent()
メソッドで、マウスが移動したときに、選択範囲を更新し、QRubberBand
ウィジェットのジオメトリを更新します。mouseReleaseEvent()
メソッドで、左マウスボタンが離されたときに、QRubberBand
ウィジェットを非表示にします。
setGeometry() と show() を直接呼び出す
最も簡単な代替方法は、setGeometry()
メソッドを使用してウィジェットのジオメトリを設定し、show()
メソッドを使用してウィジェットを表示することです。
QRect rect(10, 20, 50, 30);
rubberBand->setGeometry(rect);
rubberBand->show();
この方法は、単純でわかりやすいですが、showEvent()
メソッドで実行されるすべての処理が省略されます。
カスタムペイントイベントハンドラを使用する
より柔軟なアプローチは、カスタムペイントイベントハンドラを作成して、ウィジェットをペイントすることです。この方法は、showEvent()
メソッドよりも多くの制御を提供しますが、より複雑でもあります。
void MyWidget::paintEvent(QPaintEvent *event) {
if (rubberBand->isVisible()) {
QPainter painter(this);
painter.setPen(QPen(Qt::red, 2));
painter.drawRect(rubberBand->geometry());
}
}
この方法は、rubberBand
ウィジェットの外観を完全に制御できますが、show()
メソッドを呼び出す必要もあります。
QGLWidget を使用する
OpenGL を使用してウィジェットをレンダリングしている場合は、QGLWidget
を使用して rubberBand
ウィジェットをレンダリングすることができます。この方法は、高度なグラフィック効果を実現するのに最適ですが、より複雑でもあります。
void MyWidget::paintGL() {
if (rubberBand->isVisible()) {
glColor3f(1.0f, 0.0f, 0.0f);
glRectf(rubberBand->x(), rubberBand->y(),
rubberBand->width(), rubberBand->height());
}
}
最適な方法の選択
使用する代替方法は、要件によって異なります。単純でわかりやすい方法が必要な場合は、setGeometry()
と show()
を直接呼び出す方法を使用します。より柔軟なアプローチが必要な場合は、カスタムペイントイベントハンドラを使用します。高度なグラフィック効果を実現する必要がある場合は、QGLWidget
を使用します。
QRubberBand
ウィジェットは、ウィンドウのサイズに制限されます。ウィンドウの境界を超えて選択範囲をドラッグするには、QRegion
クラスを使用する必要があります。QRubberBand
ウィジェットは、常に最前面に表示されます。他のウィジェットの上に表示されるようにするには、setZValue()
メソッドを使用する必要があります。